DTM コンプレッサーとは【COMP】
いきなりですが、近年は、いろんな所で「最後は、マスタリングで音圧をあげよう!」という文言をよく聴きます。
決してこの言葉を否定してるわけではありません。
しかし、この言葉だけをいざ受け止めてみると、以下のような感情が芽生えないでしょうか?
MIXの段階では、とりあえず音圧のことは考えなくていい。
MIXの時は、音圧のことを何も考えずに、マスタリングの時に、はじめて音圧のことを考えて、すべてを補う。
仮に、こういった思考のサイクルでMIX作業を行っていくと、(おそらく)行きつくところ、以下のような思考になってしまわないでしょうか。
コンプレッサーの役割が曖昧な理解のままになる。
「とりあえず使う」といったことになりがちになる。
・・・と考えてしまいます。
少しだけ話しをそらしますが、
2MIXの段階で、ダイナミクスのレンジが少なく、綺麗な(整った)波形をつくることができれば、以下のようなメリットがあります。
マスタリング時に、無理やり圧縮をかけて、音圧を稼ぐ必要がない。
マスタリング時に、苦労なく音圧を調整(コントロール)することができる。(強くも弱くもできる)
整った2MIXを書き出すために、MIXの段階でダイナミクスの調整をになうのが、一般的なコンプレッサーの大きな役割ではないでしょうか。
もちろん他にも用途は、あると考えます。
「音圧」のこともふまえて解説すると、話が複雑になりかねないので、ここでは「音圧」のことは、いったん置いておきます。
そういうことで、今回は「コンプレッサーとは」をテーマにします。
個人的に、昔ややこしいと感じていたコンプレッサーに対する想いを、まずは語ってみたいと思います。
「音量」を調整するものなのか、「音圧」をつくるものなのか困惑していた。
コンプレッサー内にある各種機能の理解があいまいで、コンプレッサーを使う目的が明確に、もしくは的確にイメージできない。
コンプレッサーの種類によって、ボタン(つまみ)があったりなかったりするので、めちゃ困る。
おそらく、はじめてコンプレッサーという存在を見た時、上記のような感情に近いもの、誰もが感じたのではないでしょうか。
この記事を読むと、コンプレッサーの基本概念が理解できます。
まず、ココでは、個人的に思うコンプレッサーの基本的な考えを明記したいと思います。
もちろん、キャリア・ジャンル・機材・性格など、いろんな要素で個々の見解に相違があって当たり前でありますので、繰り返しになりますが、一つの個人的見解として、ぜひこれからの記事もご覧ください
僕が思うコンプレッサーの基本操作。だからややこしく感じてしまう。
コンプレッサーと聴いて、自身が瞬時に思い浮かび機能が4つあります。
それが以下です。
Threshold
Ratio
Attack
Release
この4つを「コンプレッサーの基本機能」として、ひとくくりにしてしまうと、特に初心者のかたは、かなり混乱するのではないでしょうか?
ちなみに、実際に僕がそうでした。
基本的なコンプレッサーの操作/概念を理解するには、もっと細かく分類する必要があると感じています。
ですので、以下のような枠組みをつくり、MIX作業する方が理解も深まるはずです。
Threshold と Ratio でワンセット
Attack と Release でワンセット
4つをバラバラでいっきに考えるよりも、2グループに分類した方が、スッキリし、さらに理解もしやすいと思います。
そして、個人的に「Threshold と Ratio 」の操作が、コンプレッサーの基本だと考えています。
Threshold:なぜ、そこから圧縮がはじまるように設定するのか。
Ratio:なぜ、その比率で圧縮するのか。
何かしらの理由があるはずです。
場合によっては、答えもひとつだけじゃないかもしれません。
こういったことを念頭におきながらMIX作業を行うことで、そのトラックにコンプレッサーをインサートする理由が見えてくるはずです。
※Attack と Release 、音圧については、また違う機会にしたいと思います。文章が長くなってしまうので、割愛させてください。今回は、あくまで基本的な考え方にスポット当てていきたいと思います。
「過程」を無視して「結論」だけを学ぶと、コンプレッサーの理解はとても険しい道となる。
コンプレッサーについて語る記事や解説をみて、個人的に「つい気になってしまう」モノが2点ほどあります。
コンプレッサーを使えば音圧が上がります。
ゲインリダクションをみて、マイナス〇dbになるように設定しましょう。
上記二つとも「ちょっとざっくりしすぎている」と思ってしまいます。
「コンプレッサーを使えば音圧が上がります」
なぜコンプレッサーを使うと、結果的に「音圧が上がる」かの仕組みを理解する。
「ゲインリダクションをみて、マイナス〇dbになるように設定しましょう」
Threshold・Ratioなど、どういったイメージで、そこを狙うのか、裏付けを含めて解説があってもいいのではないかと思います。
上記のことを何も考えずに、真っ先に本や動画などに書いてある(説明してある)設定を自身の楽曲でそのまま引用して、適切なサウンドとなる確証は「ない」と考えた方がいいと思います。
【結論】コンプレッサーとは?
Steinbergの公式HELPのサイトでは、Compressorとは以下のような説明文で解説しています。
Compressor プラグインは、オーディオのダイナミックレンジを圧縮し、音量の小さい音を大きくしたり、音量の大きい音を小さくしたり、その両方を行なったりします。(steinberg.help参照)
「まさにその通り」という印象を受けています。
やはり2MIXを意識して、ダイナミックレンジを調整して、できるだけデコボコの波形にならないように整えるのが、本来の目的だと、個人的に感じています。
基本的な概念として「Compressor=音圧をつくるもの」という認識は、あまりにも乱暴に感じる場合が多いです。
もちろん例外もあります。
ただし、コンプレッサーは「音量を調整するモノ」と考えて、MIX作業をすると、かなりしっくりくることが多いのも事実です。
そもそもの話で、僕が常に想ってることがあります。
それが以下です。
「楽曲は、ひとつのトラックでできるわけじゃない」
「全てのトラックを鳴らした時の印象が大切」
めちゃくちゃ当たり前の話ですが、人は「曲」を聴くのであって
「スネアのコンプ感強いな・・」
「EQの処理が甘いな・・」
なんて考えないですよね?
そう思う人は、MIX経験者以外は存在しないはず。
何回も何回もスネアのトラックを聴きながら、コンプレッサーを駆使して、
「音がいい感じで」
「音圧も高くてかっこよく」
というものを何十分、何時間もかけてできたところで、トラック全体で聴いたときに、マッチしているかどうかは、やってみないとわかりません。
ひとつのトラックのサウンドを「かっこよくするために、コンプレッサーを使う」という認識だけでは、後々の処理で収集がつかなくなる可能性があります。
ですので、トラック全体(もしくはマスタートラック)のオーディオの波形の整い具合も考慮しながら、ひとつひとつのトラックに、必要であればコンプレッサーを使うべきではないでしょうか。
あくまで今までの話は、個人的な見解であり、仮に違う考え方で上手くいってるのであれば、それに越したことはないと思います。
まとめ
今回の「コンプレッサーとは」をまとめます。
コンプレッサーとは、
トラックのダイナミクスの差(幅)をなくすもの(小さくするもの)。
その目的は、
マスタリングの際、綺麗に音圧をあげること。
そして、今回の記事では省きましたが、MIXの段階で、コンプレッサーを活用して音圧を上げることは可能。
こういう説明だと、なんとなくでも、コンプレッサーの基本的な考え方が、ご理解いただけるのではないでしょうか。
そのためには、各トラックの波形やメーターとは、にらめっこが続きますね。
今回は、基本的な考え方を自分なりに解説させていただきましたが、他のAttackやRelease、音圧などをふまえると、より複雑に考える必要が出てくるので、今回は、この辺にしたいと思います。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました!
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