現場の先生方の声が聞こえるような研究は面白い【論文備忘録】
こんばんは、"もっちゃん”です。
記事に興味を持ってくださり、ありがとうございます。
今回は【論文備忘録】です。
興味を持った論文について、簡単にキロクしていきます。
⓪今回取り上げる研究:前田菜摘・浅田匡(2020)小中学校教師は校内研修をどのように捉えているか —尺度項目ならびに比喩生成課題の回答から—.日本教育工学会論文誌 43(4),447-456
今回は教育工学会の論文誌です。
公開されているものになりますので、みなさんアクセスできるものになります。
①要旨
本論文の抄録をそのまま転載させていただきます。
現場の校内研修に対する現職教員の認識調査になります。
教職大学院にいると、どうしても校内研修の道は避けては通ることができないようにも感じています。
その際のヒントになるのではないかと思い、今回取り上げてみました。
②質問項目と先生方の回答の面白さ
本研究の面白いところに、その質問項目が挙げられると思います。
質問紙調査ということで、前半の尺度項目はイメージしやすいところかと思います。
個人的に興味深いと思ったのは後半の「比喩生成課題」になります。
本論文の言葉を使いながら簡単に説明すると、
対象の先生方に対して、
「校内研修とは〜のようだ、なぜなら〜だからだ」
「研究授業とは〜のようだ、なぜなら〜だからだ」
といった形式で書いてもらうものになります。
これはとても面白いと思いました。
探索的に調べる上で、非常に有用な調査法だと思いました。
そして、なんとなく現職の教員が対象となると、けっこう面白い比喩がたくさん用いられることが予想されます。
本研究での分析では主に文章の後段が用いられています。
本論文のメインとは異なるところではありますが、これに対する先生方の回答も論文に載せられています。
これがまた面白い!
「あぁ〜、確かに!」
「その気持ちわかる〜!」
みたいな例えがたくさんあります。
さすが先生方、例えがうますぎる!
ご興味のある方は、ぜひご覧になっていただきたいと思います。
研修に対するポジティブな認識もあれば、もちろんネガティブな認識もあるので、正直ここにピックアップして書きづらいものもあります。
けっこう辛辣な例えもありますが、納得できるものでもあります。
③個人的に気になるところ
個人的に気になるところは、この調査における
「学校間の違い」
になります。
もちろん、校内研修に対する認識は、教員個人が持ち合わせているものになりますが、
校内研修それ自体は、各学校で独自な側面も大きいように思います。
特に異動経験のない先生方にとっては、勤務校の校内研修がほとんど全て、というように感じます。
学校間で差があった時が面白いなぁと思います。
差があったとすれば、
校内研修を洗練していくことで、教員の研修に対するイメージもポジティブなものになりうる
ということのような気がします。
学校を改革する
というより、
学校“から”改革する
ということにつながるのではないでしょうか。
また、
自分の学校の校内研修の実状を確認する
というような尺度の使い道がより明確になるようにも思います。
④自分の勤務校でもやってみたい
個人的には自分の勤務校でもやってみたいように感じています。
自分の学校で実施するとなると、なんとなくいろいろな倫理的な配慮が必要な感じもしますし、ハードルは高いですが…。
知った仲だからこそ、もう少しぶっちゃけた話を聞くことができるかもしれないし、はたまた逆かもしれません。
現場での活用に向けては、何かしら考えなければいけないように思います。
もし自分が研修担当者とか研究主任である場合は、がっつりやってみるのも良いかもしれません。
その後の校内研修の見通しが立つかもしれないなぁと思います。
そんなことを考えた研究でした!
参考にもなるし、現場の先生方の生の声が垣間見えて、とても面白かったです。
教職員としての「学校あるある」的な要素ですかね。
自分の今後の研究にも生きてくるといいなぁ。
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