図書の国 ― プルーフ・リーダー ―
今日も一通りの物語を読み終えた。
「読み終えた」とは言っても、僕のこれは仕事なのであって、楽しく読書するという行為からは程遠い。
気付けば部屋は暗く、僕の机以外の照明はすべて落とされていた。いつの間にかみんな帰ってしまったようだ。
だだっぴろい部屋、それぞれの机に山と積まれた物語たち。彼らはこれから世界へと羽ばたいていくたまごたちだ。僕たちはそんな彼らが人々にしなやかに受け入れられるように、ほんの少し体裁を整える手伝いをしている。
世界中の本が一堂に集まり、生まれ、死