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小さな風と大きな風

風情って風のことか

きょーび暑けりゃエアコンですわね。
当然のように思ってますけど、
あれって考えてみりゃ、
かなり自然に逆らったもんですよね。

涼み方が無理矢理です。
冷蔵庫のドアを開けて顔をつっこんでるのと
同じようなことですからね。
風情というものがありません。

そう言えば風情って風の情ですね。
風流も風だなあ。

風情と言えばやっぱりうちわ、扇子でしょう。
自然の風にこしたことはありません。

団扇の風は内輪止まり

しかし、うちわの風なんてーのは、
「それほどじゃない暑さ」を
前提にしてますよね。

スローなリズムでゆるゆるとあおぐ。
それでなんとか、
涼しさが保たれるレベルの暑さなわけです。

それ以上の暑さになると、
あおぐ手にもチカラが入り、
手の前後往復運動も速度が増し、
あおげばあおぐほど汗が出てくる、という
いわゆる「本末転倒」な事態に陥ります。
風情も何もあったもんじゃありません。

風の涼しさってのはすべからくそうです。
そよぐのが「高原の風」だからキモチいいんで
「サハラの熱風」ではまったく意味がない。

外気がある温度を超えると、
空気を動かすと逆に熱くなりますからね。
熱い風呂はかき回すとよけいに熱くなる理屈。
中東のヒトが長袖を着ているのも
そういうわけらしいですよ。

扇風機の風情

そういったわけで(どういうわけだ?)
思い出すのが「扇風機」です。
あれって一応、
自然と科学の共存をはかってますよね。
風のキモチよさを技術で再現しようとする、
人間がまだ自然を舐めていないころの作品です。

ところがそれにギリギリ風情を感じていたのも
過去の話になってしまいました。

今や扇風機はお姉さんの首に引っかかってるか、
工事の人のジャンパーの脇に内蔵されてるもの。
これを風情と呼んでいいのか。
そしてこれすら機能しなくなってきた。
それこそ砂漠で扇風機使う人なんていない。
熱風掻き回してどうする。

というわけで、
扇風機はサーキュレーターと名前を変えて、
エアコンとの共存で
生き残りを目指すことになりました。
この地道な助け合いには、
ちょっと情けを感じたりもします。

もうこうなったら中途半端な風はダメだ。
もっと大きな風を。

…と思ってたら台風が来ました。
台風は秋だろ。ホント風情も季節感がない。

そこそこの風なら桶屋も儲かるが、
強すぎると損害しかないですから。

なるほどわかりました。
風情って「途中」にあるみたい。
あっちかな、こっちかな、って漂うところに
風情って発生する気がします。
だから風なんじゃないかな。

今の気候みたいに極端から極端だと
漂う「間」がないもんなあ。

次回の言葉は「台風」です。


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