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慣れればたぶん見分けられる

昔、オヤジがよく言ったんですよ。
「おまえらが聴く曲は、みんなおんなじだなあ」
「アホか、全然違うわい!」
そう言ってたはずなのにいつの間にか
「なんか流行る曲は、みんな同じでわかんない」
と、言うようになる。
そしてその時、ハッと思うわけです。

これがオヤジ化というものか!

なぜおんなじに見えるのか

確かにオヤジから見れば、いまどきのうたは
みんなおんなじに聞こえる。
しかしこの理由はですね、
「オヤジはいまどきのうたを聞かないから」
なんですね。

外国の人が、
日本人の顔はどれも同じだ、と思うように。
スケートをやらないボクが、
フィギュアスケートで優勝したヒトが
どこが他よりよかったのかわかんないように…

その世界を外から見ていたのでは
その中の「差」なんて
よくわからないもんなんですね。

それが証拠に、
仕事でCMのタイアップ曲を探すために
いまどきの曲を
山のように聞くはめに陥ったとたん
聞き分けられるようになってきたりする・・

アイドルマニアのひとは、
誰も知らないような
女の子の顔まで見分けられますが、
鉄道マニアのように、
キハとクハの区別はつけられない。

すべては「慣れ」です。

日本野鳥の会のヒトも、
はじめから双眼鏡で
鳥の数は数えられなかったでしょう。

修行です。

ただ、オヤジになると、
そんなもんを聞き分けるために
修行を積むつもりなんて、毛頭なくなる。
そういう意味では、
それが「オヤジ化」なのかもしれません。

オヤジが見分けるもの

オヤジにはそんなことよりもっと、
見分けなければならないことが
ありますからねえ・・

どの派閥に属すれば出世できるか。とか
どの病院が腰痛にはいいのか。とかね。
そういうのが見分けられないやつらは
オヤジたちに「まだまだこどもだなあ」と
言われてしまうのかもしれません。

まあ結局のところ、
自分の目の前にあっていちばん大切なもの
それを考えることにさして苦労はいらない
ってことなのかもしれません。
そこに歳は関係ない。

歳くってから犬を飼い出した友人の
これまで見たことのない笑顔を見ると
いきなり飼い主の達人になってるなあと
思ったりするわけで、
そこに慣れはいらないようにも感じる。

歳取って
いい病院を見分ける技を身につけるより
よっぽど価値があるような気がします。

次回の言葉は「転ばぬ先」です。

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