言葉のことばかり【亜麻色】
「亜麻色の髪の乙女」の
「亜麻色」ってどんな色?
「亜麻色の髪の乙女」という曲がありますね。
これ人によって「アレね」と思い出す曲が違う。
60代の僕だとヴィレッジ・シンガーズ。
🎵 亜麻色の〜長い髪を〜
グループサウンズですね。売れました。
これが2000年代に島谷ひとみのカバーで
またそこそこヒットした。
しかしこのタイトルには元があって、
ドビュッシーの曲だったりします。
聞けばみんな知ってる曲。
それぞれにそれぞれの良さがあると思うけど
それぞれの乙女のイメージが
ちょっとづつ違うような気もします。
どんな色の髪なんだろう。なんて
そもそも亜麻色の髪ってよくわからん。
友だちにいます?
で、辞書ひいたら(三省堂)
『黄みを帯びた薄い茶色。亜麻糸のような色』
だって。
なんだ。茶パツじゃん。
それもそうとうヤバい色だな
「黄みを帯びた」って…。
そういう意味ではいまどきっぽいな。
この歌が作られた時代なんて
そんな髪の色のひと、いなかったもんね。
あ、そもそも日本人じゃないよな。
そうか、これって
「あこがれのブロンド」の歌だったんだな。
そもそも亜麻って何?
しかしだいたい
「亜麻糸のような色」の「亜麻糸」って何?
で、また辞書ひいたら(三省堂)
『 アマの繊維から紡いだ糸。
高級ハンカチーフ用の極細糸から
帆布・漁網用の太い糸まで作られる。 』
だって。…すごい糸だな。汎用性広すぎ。
しかしそうなると
「漁網用の太い糸」な髪の乙女か…?
イメージが…。
となると次は当然
「亜麻」って何?ってことになるわけで、
「亜」って「いまいち」っていう意味だよね、
亜熱帯とか。イマイチな麻ってことか?
で、さらに辞書ひいたら(三省堂)
『アマ科の一年草。中央アジア原産。
高さ約1メートル。
夏、白または紫青色の五弁花が咲き、
黒褐色の種子がなる。茎から繊維をとり、
種子を亜麻仁(あまに)といい、
亜麻仁油をしぼる。
北海道・東北地方で栽培される。』だって。
しっかり日本っぽい植物なんですね。
はい。まとめましょう。
「北海道東北で栽培される中央アジア原産の
アマ科の一年草の繊維から紡いだ糸
のような黄みを帯びた薄い茶色の髪」
を、風がや~さしくつつむ~♪
色の名前はイメージの言語化
色ってそもそも形のないものだから、
名前をつけるのは難しい。
形はないけれど、
身の回りには「ある」ものなので、
それの名前を借りることが多い。
「亜麻糸のような色」みたいに。
いや、借りると言うよりは
無限にある色の中で、
そのものの色に近いものを選んでみた。
って感じですね。
そうするしか色を言葉で表現することが
できなかったということです。
無理やりです。
あれみたいな色、ってことなので
正確ではないです。
亜麻糸だって濃いのも薄いのもある。
正確に表そうとすると記号になります。
デザインやる人はわかると思うけど、
RBGとかCMYKとか
ちなみに亜麻色はR:199 G:184 B:151で
C:00 M:11 Y:30 K:30で
webカラーだと#C7B897です。
正確かもしれないけど味気ない。
間違えないためには必要だけど。
やっぱイメージの方がいいよね。
ただ名前をつけると
それを知らない人には伝わらなくなる。
伝統的な色の和名には
素敵なものが多いけど、
そのもの自体がもう見当たらない。
ってのが多いよね。
色の名前を英語に訳すのがまた難しい。
時代や文化の違いでなんかズレる。
ピンクというと誰でも知ってる色だが、
日本語の桃色とはちょっと違う。
ピンクにはナデシコという意味もあるらしく
じゃあ日本語でナデシコ色って言っても
よくわかんないし。
それぞれの文化が背景にあるので
あんまり共有できないみたいだけど、
なんかそれがいいとこな気もする。
色は無限にあるから
名前も無限にあっていいはずで、
そう考えると今の時代の色の名前は
あっさりしすぎててつまらない。
空色ってどの空だよ。
次回の言葉は「見栄を張る」です。
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