この駄文に神宿は登場しません
雨の匂い
私はこれが大好きだ。
コンクリートの何かしらの成分なのか。
とてもいい香りとは言えないものの、なぜか嫌いではないあの匂い。
雨に打たれる憂鬱を感じながら、どこかその匂いで心落ち着いている。
そんな矛盾を抱えて、雨にも風にも少しずつ負けながら、トボトボと歩くのだ。
ところが土砂降りの日には、私の嗅覚はそれを感知しない。
むしろ感じるのは、カエルが轢き殺されてしまった生臭い匂いだ。
だから私は、小雨が好きだったりする。
雨の音
私はこれが大好きだ。
と言っても、寝起きや勉強中、読書中、極めて限定的なシチュエーションにおいてこれを聞くのが好きだ。
雨粒がコンクリートに当たる音。土に落ちること。屋根で弾む音。
リズムなんてないはずなのに、どうしてか小気味良い音。
オーケストラ、とまでは言わないものの、少しずつ違う音が正体不明の心地よさを伴って無尽蔵に響き続ける。
ところが小雨の日には、私の聴覚はそれを感知しない。
雨の日特有の気怠さだけが体を支配する。
だから私は、土砂降りが好きだったりする。
実に現金な生き物である。
雨の日は少し寂しい。神宿でも聞くとしよう。