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【2025.1.24】 ビジネスシーンを生き抜くための仏教思考

著者

松波龍源(まつなみ りゅうげん)
実験寺院寳幢寺僧院長。僧侶・思想家。大阪外国語大学(現・大阪大学)外国語学部卒・同大学院地域言語社会研究科博士前期課程修了。ミャンマーの仏教儀礼を研究するうちに研究よりも実践に心惹かれ出家。現代社会に意味を発揮する仏教を志し、京都に「実験寺院」を設立。学生・研究者・起業家・医師・看護師などと共に「人類社会のアップデート=仏教の社会実装」という仮説の実証実験に取り組んでいる。

野村高文(のむら たかふみ)
Podcast Studio Chronicle代表。音声プロデューサー・編集者。東京大学文学部卒。PHP研究所、ボストン・コンサルティング・グループ、ニューズピックスを経て、2022年に独立。制作した音声番組「a scope」「経営中毒」で、JAPAN PODCAST AWARDベストナレッジ賞を2年連続受賞。その他の制作番組に「New Connect」など。著書に『視点という教養』(共著)。旅と柴犬とプロ野球が好き。

物質面で満たされ、「心の時代」に入ったと言われる現代社会は、根底から揺らいでいる。そのなかで仏教は生きる指針になり得る。

ものごとに「絶対」はない。とすれば、1年後のことすら予測できないのはものの道理と言えよう。「はじめから世界はVUCA」なである。

苦しみに囚われないために

仏教は、「苦しみを発生させないように」という考えを根本に持つ。不確実な未来予測は、ともすると「予測通りに進まなかった」という苦しみを生じさせる。その苦しみをゼロにはできなくても、ものごとは絶対ではないということがわかっていれば、「今」なすべきことに集中できるはずだ。

仏教的考えでビジネスをする

「あらゆるものごとは因果関係と相対性を持つ。ゆえに万物に絶対的、独立的な実存性はない」とする、仏教の「中観」や、「あらゆるものはなにかに認識されることによって存在する」という「唯識」によれば、「私」という概念は「他者」がいて初めて成立する。

とすると、局所最適は周囲とのバランスを崩す可能性がある。「私」は「他者」と切り離せないので、他者の利益は必然的に自分の利益にもなると考えるべきだ。

人生が一回きりであれば、自分の寿命が尽きるのと同時に自分の利益を最大化できればよい。しかし、仮に人生が無限繰り返しゲームだとすれば、「自分と他者の利益を等しく考えて協力し、妥協点を見つけたほうが、戦略としては有利」になる。

欲望と平穏

潜在意識から生じる欲望を制御できなければ、真に心穏やかな生活を送れない。ここでヒントになるのが「唯識」だ。
(唯識・・「世界は『私』の認識があって初めて成り立つ」というもの)

欲望から得られる満足は、その対象自体には存在していない。事実に意味付けをして喜んだり悲しんだりするのは、自分の心だけなのだ。

大乗仏教では、「なぜそれが欲しいのか、それを得たらどうなるのか、得られないとどうなるのか」を考えて、「苦しみを回避できるのであれば求めても構わない」とする。

たとえ喜びを得られなくても、ゼロであれば問題ない。マイナス=苦しみにならないようにコントロールできればよいのだ。

消費者の欲望をひっきりなしに喚起してくる現代の資本主義社会においても、この考え方が念頭にあれば、無駄な消費をせずに済む。

承認欲求・バス病

SNSで「バズ」を求めることは、潜在意識的な承認欲求の表れ。それが「炎上」や訴訟にまでつながってしまうのであれば、「理性が完全に敗北した状態」と言える。

「他者に承認させたい私」は人間の根源的な欲求から生まれる。

自分の存在は、自分以外の他者から認知のリフレクション(反射)を得ることで初めて確認できるからだ。

こうして認識できた自分を評価するのは、自分自身でなければならない。

軸が他者基準になっていると、実態以上に自分を「盛ってしまう」。認識の部分まで他者に受け渡すから、現代の「バズの病」が生じてしまうのではないか。

「何かをしてもしなくても、非難する人は非難する。だから他者の声なんて気にせずに、自分の心と向き合いなさい」と釈迦牟尼も言っている。他者からの意見や批判を真摯に受け止めつつ、自分の価値は自分で決める。それができるように、仏教哲学を学んで賢くなる必要がある。

SNSで発信するときは、「利他的な情報を心がければいい」と著者は言う。自分の評価だけを目的にする我利我利亡者になってしまうと、結局は空しさだけが残ることになる。


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