小さな会社は引き算で強くなる
【今日の読書旅】Day150
小さな会社は引き算強くなる
岩崎邦彦 著 日本経済新聞出版社 2015年
成功している企業は「引き算企業」
一方で、失敗する企業は、売り上げを増やそうと、商品や機能などを「これでもか」と足し算し続ける。
過度なハイスペックで、汎用性が失われ、ガラパゴス化してしまう。
余白があるから力強くなれるのに、それを埋めようと「足し算の競争」を繰り広げている。
❶[3セレクト]
①シンプル志向の高まり
21世紀の企業にとって大切なのは、「押す力」ではなく、「引く力」だ。「売り込む力」ではなく、「人を引きつける力」だ。強いブランドには「引力」がある。「押す力」から「引く力」へ。
「足し算」から「引き算」へ。全国消費者1000人調査では、品質に違いがなければ、「多機能な商品」よりも「シンプルな商品」が良いと回答する消費者の方が多い。
社会が複雑化すればするほど「反作用」のチカラが働く。「複雑」の対極にある「シンプル」を志向する消費者が増加している。
②なぜ、「足し算」してしまうのか
現代は、放っておけば、何もかもが増えていく「足し算社会」だ。
いつの間にか、足し算が進み、身動きが取れなくなってしまう。
機能疲労、情報疲労を起こしている人が多い。数を競う社会は終焉した。
商品、機能、情報の「引き算」が価値になる時代がきている。
それなのになぜ、企業は足し算に陥ってしまうのだろうか?
【隣の芝生は青く見える】
Q:あなたは、自分自身について、下記のA・Bのどちらに目が行くことが多いですか?(全国1000人調査)
A 自分が持っているもの・自分が持っている能力(30.5%)
B 自分に足りないもの・自分に足りない能力(69.5%)
Q:あなたは、友人について、下記のA・Bのどちらに目が行くことが多いですか?(全国1000人調査)
A 友人が持っているもの・友人が持っている能力(81.9%)
B 友人に足りないもの・友人に足りない能力(18.1%)
結果からいえることは、私たちは「隣の芝生は青く見える」ということだ。
人は、自分が「持っているもの」ではなく、自分に「足りないもの」に価値を見出してしまう。
「これがダメだから、あれも売ってみよう」という足し算思考は、長期的には間違いなく有害になる。
足し算によって、顧客の要望に答えてきたつもりが、逆に、顧客が離れてしまうという現象が起こる。
③「強み」の条件
強みには3つの条件がある。
1、顧客にとって価値があるか
2、独自性があるか
3、自社の専門性や独自の技術を背景にしているか
ひとつの「強み」を徹底的に伸ばすことは、10の「弱み」を改善するよりも、はるかに有益。何かを引き算するということは、別の何かに徹底的にこだわるということだ。
強みを磨き、メリハリをつけると、小さくても力強くなる。
THISISAPEN(「あれもこれも伝えよう」と受け手のことを考えていない売り手中心発想の伝え方)
This is a pen(「メリハリ」と「余白」で選ばれる企業の伝え方)
絞れば、買い手の知覚品質は高まる。
【絞ることのメリット】
✔︎価格競争に巻き込まれにくい
✔︎口コミに乗りやすくなる
✔︎パブリシティに乗りやすくなる
✔︎リピート客が増える
✔︎ブランド力が強くなる
【引き算企業】(事例)
・グーグル(グーグルのトップページはシンプル)ググるという人はいても、ヤフるという人はいない。
・スターバックス(「紅茶」と「スパイス」を引き算して「コーヒー」に焦点を絞った)
・無印良品(ブランドを引き算している「無印」)
・鶴岡市立鴨水水族館(「クラゲ水族館」)
・CoCo壱番屋(スタートは喫茶店→カレー専門店)
・さわやか(コーヒーショップさわやか→炭焼きレストランさわやか、出店エリアも「静岡」のみという引き算)
・アップル(i phoneには、ホームボタンが1つしかない)など
+1:引き算思考(偉人の言葉)
「学んだことを忘れてしまったあとに残るものこそが教育である」(アインシュタイン)
「何をしないかを決めることは、何をするかを決めるのと同じぐらい重要だ」(スティーブ・ジョブス)
「何事かを成し遂げられるのは、強みによってである。弱みによって何かを行うことはできない」(ピーター・ドラッカー)
「完璧がついに達成されるのは、何も加えるものがなくなった時ではなく、何も削るものがなくなった時である」(サン・テグジュペリ)
❷[マイエピソード]
静岡県立大学経営情報学部教授の岩崎先生が沼津市で経営セミナーをされた際に、「弱者の戦略」について学ばせていただきました。
小さな企業の勝ち方を、とてもわかりやすく教えていただきました。
先生の本は、事例も豊富なので、すぐに自社に置き換えて実践しやすいです。
岩崎先生の「小さな会社を強くする ブランドづくりの教科書」「スモールビジネス・マーケティング」もおすすめです。
❸[今日からのアクション]
絞り込みについて、戦略になるため公開しません(🙇♀️)
note記事執筆者について
個人がハイパフォーマンスを発揮できる「心と身体の造り方」や「学びの効率化」「読書コーチング」など、個人の生活やビジネスの生産性を上げるサポートや講座を開催しています。