保険料を免除された期間の年金はもらえない?
収入が減ったり失業などで国民年金の保険料を支払えないときに、申請により保険料が免除される制度があります。
免除を受けた期間については年金が減額されますが、免除期間の年金はその全額が不支給になるわけではありません。
免除期間と年金額の関係はどのようになっているのでしょうか。
免除期間は加入期間として扱われるが年金額は減る
経済的な理由で保険料が払えないときは、保険料を免除する制度があります。免除を認められるかどうかは世帯の所得状況によって決まり、前年所得が一定の金額以下の場合に申請をして承認されると免除を受けることができます。
保険料免除のパターンは「全額免除」「3/4免除」「半額免除」「1/4免除」の4種類があります。
承認を受けた「免除期間」とただの「保険料未納期間」には大きな違いがあります。
未納期間は年金制度に未加入の期間となるわけですから当然その期間の分の年金はもらえません。
免除期間は加入期間として扱われ年金額の計算に反映されるのです。ただし、保険料を全額納付した場合よりも年金額が減額されます。
老齢基礎年金額は加入期間の長さで決まる
老齢基礎年金の計算式を見てみましょう。
まず、免除期間がない場合の老齢基礎年金は次の式で計算されます。
20歳から60歳になるまで40年加入で満額の777,800円を受けられ、不足する期間があるときはその分減額された年金額になります。
老齢基礎年金の年金額は「加入期間」の長さによって決まるのです。
全額免除期間の老齢基礎年金は1/2に減額
免除期間がある場合の老齢基礎年金の計算式は次のとおりです。
たとえば、全額免除された期間はその月数に1/2をかけて年金額が計算されます。つまり全額免除期間の分の年金は1/2に減額されることになります。これは基礎年金の財源の1/2が税金によってまかなわれていることによります。
3/4免除期間は5/8、半額免除期間は3/4、1/4免除期間は7/8の年金額になります。
10年以内なら免除期間の保険料を「追納」できる
このように免除を受けた期間については年金額が減ってしまうのですが、10年以内であればいったん免除された保険料を後払いするかたちで納付し、満額の老齢基礎年金に近づけることができます。
これを保険料の「追納」といいます。
ただし、追納が免除を受けた年度から数えて3年度以降になった場合は、免除当時の保険料に加算がついた額を納付することになります。
また、3/4免除・半額免除・1/4免除を認められた期間は、それぞれ1/4・半額・3/4の保険料を納付することになりますが、保険料を納付しないとその期間は「未納期間」になってしまいます。
年金を満額に近づけるためにできること
老齢基礎年金を満額に近づけるには、「未納期間」を作らないようにすることが肝心です。
経済的に年金保険料を支払うことが難しい場合には、免除制度が利用できるかもしれません。免除制度を利用したり、余裕ができたときに追納することは、未納によって年金額が減ることを防ぐ工夫といえます。
※国民年金には、こうした免除制度のほかに、納付猶予制度や学生のための学生納付特例、産前産後の保険料が免除される制度などもあります。
※保険料免除が受けられるかどうかの承認基準(所得の基準)については日本年金機構ホームページをご覧ください。