毎日風呂に入りたい
一年程前の日記を読んで、愕然とする。一年程前、いや、それより前の私はほぼ一日中寝込んでいて、碌に日中活動することもできなかったのだ。そしてそんなことはさっき日記を読み返すまで、すっかり忘れていた。
転職をした、という日記の更新を以前したが、そこから私はもう一度転職をしていて、昨日で勤務が一週間終わったところだ。フルタイムで、マーケティングアシスタントの仕事をしている。前職とやることの大筋は変わらないが、SNS運用など、新しいことにも挑戦している。
一年前の私は、一年後の自分がフルタイムで働いていることを一ミリも想像していなかっただろう。全く人生というのは、何が起こるのかわからないものである。
フルタイム勤務はおよそ六〜七年ぶりで、と今日行った整骨院の瀬術師に伝えたが、よくよく数えてみるとおよそ十年ぶりくらいになる。それまでの紆余曲折が、本当に長かった。東京時代の主治医に今の状況を説明したら泣いて喜んでくれるんじゃないかと思うくらいだ。それくらい、東京時代の生活も、結婚してからしばらくも、体調は安定しなかった。
今直近で困っているのは、毎日風呂に入れないこと、外出が調子のいい時でないと一人でできないことだ。どちらもパニック障害の発作によるもので、特に風呂に入れないのは、特に身だしなみに気をつけたい女性としても、会社勤めの身としても、忸怩たる思いである。さいわい、会社がフルリモートの勤務形態なので、リモートで会議をしているときに「風呂に入っていない」ことがバレることはない(たぶん)。
風呂に入れないのは特に冬場で、脱衣所で着替えるとき、シャワーを浴びているとき、風呂に入ってしばらく、脱衣所に戻るとき、ブラジャーをつけようとするとき、服を着るとき、そのときどきで発作が出そうになる(出る)。えづきながら「風呂に入る」をするのは大変にしんどいし、えづくたびに涙が出てくるので、本当に苦しい思いをしながら「風呂」に挑まなければならない。発作が出た時は無理矢理手元のお茶で胃の中を落ち着かせるので、ペットボトルのお茶は私の生活に欠かせないし、風呂場にも脱衣所にも勿論持っていく。確実に発作が出そうなときは事前に頓服を飲んでから風呂に入る。それでも出る。こんな苦労をしてでも、風呂に入らないと不衛生だし、最低でも週に一回は風呂に入るようにしている(というか、頭が痒くなるので一週間が限界で、週二、三回入れたらいい方だ)。週に一回しか風呂に入れない病状の人間がフルタイムで勤務をしていることがまず驚かれることかもしれないし、ある種の人にとっては特段驚くべきことでもないのかもしれない(激務の人の中にはそういう人もいるかもしれない)。まあ、他人からどう思われようが、私は私の人生を粛々とやっていくしかないので、風呂に入れず不快だなと思いながら、我慢をしながら日常をやっていく。これもさいわい、私は代謝が悪く汗をかきづらい体質なので、これでなんとかやっていっている。
でも本当は、毎日風呂に入りたい。基礎化粧品も好きなブランドのものを揃えてあるのに、全然減らない。毎日風呂に入って、基礎化粧品を塗って、ヘアオイルを塗って髪の毛を乾かし、さっぱりして一日を終えたい。でも、できない。今の私には。
一年後の私は、どうなっているかな。