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『鉄道探偵と40年越しのスーブニール』 クリアしました

 これおかしいよな、というところはちゃんと伏線でした。

 何と今年で10周年だそうです。恒例となった、都営地下鉄・京王線(順不同)の周遊謎解き「鉄道探偵」シリーズ、2024年版をプレイしてきました。

 助手がどんどん育っていって、かえって協力プレイする相手がいなくなっていく鉄道探偵K氏、今年はついに探偵業とは関係なかった秘書さんが駆り出されることになっております(笑)。そして明かされる、人間模様……。

 去年の『氷点下2℃の幻影』と同じテイストで、いいところも悪いところもほぼ同じというか似通ってるなーという感想になりました。楽しくプレイしましたが、やはりあと一押し……もう一押しが欲しい!


あまり駅から出ません

 過去の鉄道探偵シリーズでは、駅から離れたスポットまで行く必要があったり、駅から駅まであえて徒歩で移動する謎があったり、都営と京王がクロスする華麗な乗り換えを駆使したりと、歩く場面・都会の鉄道路線ならではの面白さを活かした移動ギミックが多かったのですが、去年あたりから、その辺はほとんどなくなりました。
 今回も、基本駅構内や改札外すぐのところで、必要な情報は全て揃うような配置になっています。

 個人的には、もうちょっと駅を離れて周辺の街を味わう要素が欲しいな〜と思うものの、他の方の感想を拝見すると、「乗り換えで歩き疲れた」「寒くなくていい」といった肯定的な意見も多いので、この辺は好みが分かれるところなのかも知れません。
 特に京王線は、どうしても移動時間が長くなりがちで、あまり駅から離れた移動ギミックを仕掛けられないという制約もありますしね。

 都営編の方に顕著でしたが、駅からは出ないものの、駅の施設やパブリックアートをフルに使う謎になっているので、歩きはしないけれど「駅」を活かしている謎は多いです。
 そういう意味では、ちゃんと「鉄道探偵」ではあります。

難易度は低め、エクストラ編は「ややこしい」けど面白い

 謎の全体的な難易度はかなりマイルドです。私とつれあいは、さすがに謎解き慣れしているので謎についてはノーヒントで解きました。
(途中音声を使った謎があり、聞き取れなかったので、音を書き起こしたヒントだけは閲覧。謎の骨格は見当がついていたので、音の書き起こしを見ればすぐに解けました)
 また、今回の鉄道探偵ではヒントを見るのにタカラッシュのハンターズヴィレッジのアカウントは必要なくなり、当然ハンターズポイントの消費も必要なくなったので、詰まっても安心してヒントを見られます。これはとてもよい変更ですね! 特にここ数年の鉄道探偵は、謎解き初心者でも勧められる感じの難易度・謎の作りになっているので、ヒントは障害なく参照できる方がいいと思うのですよ。
 ただ、まぁ、タカラッシュさんの謎はヒントの出し方がうまくないという傾向がずっとあって、今回も「ヒントは見れたがだがしかし」になっている人が……いるのではないかと……ちょっと余計な心配が(笑)。

 都営編・京王編を解いた後に挑戦できるエクストラ編は、このところずっと工作系の謎で締めくくられていたのですが、今回は違いまして、いい感じにひねった論理パズルというか真相究明タイプの謎になっています。
「ちょっと謎が簡単すぎたな〜イマイチだったかもな〜」と手応えのなさを感じていたところへ、このエクストラ編の謎が来たので、最後に「あ、こういうことか!」というアハ体験を味わえて、いい終わり方ができました。都営編・京王編で「ん?ここは何でこうなってるの?これおかしいぞ?」と何となく引っかかっていたところが、しっかり回収されたので、満足です。
 エクストラ編のヒントは実はないのですが、解答は12個ほどの空欄を4つの選択肢の中から穴埋めしていく形になっているので、最悪全部しらみつぶしに選択していけば、わからなくても進むことはできると思います(笑)。

年を取るとしみじみこういうストーリーが沁みるのだ

 ストーリーは、鉄道探偵らしく、ハートフルな内容です。
 忙しい母親(たぶんシングルマザー)と思春期の娘とその友人の人間模様、「初恋の人」のことが思い出せない老紳士というふたつの軸で展開した物語が、最後に交差して……という物語は、オーソドックスな王道。悪い人は出てこない、安心して味わえるストーリーとなっています。
 結構無理のある展開というか部分はあるのですが、物語全体として「こんな感じのリアリティ」というラインは守られていて、それを遊んでいるこちらも共有できるので、あまりそこをつっこもうとは感じずに進められます。

 最後に明らかになる全体像は、決してただハッピーハッピーという訳ではなく、ほろ苦い人生の味わいもあるのですが、暖かい気持ちで前を向く結末です。私も年齢を重ねたためか、途中の様々な要素に色々なことを考えてしまって、涙もろくなってしまってな……。
 最後の謎が、一番難しく、しかし理不尽ではなくて難しすぎないというゲームバランスとあいまって、しみじみと締めくくれました。

 という訳で、全体として難易度がちょっと低めなので、「手応えのある謎を……!」という向きには正直オススメしにくいですが、初心者やあまり体力・時間の余裕に自信のない方でも楽しく遊べる作品なので、そういう方は気軽に遊んでみてほしいですね。
 でももうちょっと鉄道らしいギミックも……次回は期待したいかな……!(笑)

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