見出し画像

2013年卵巣嚢腫入院記:その5 基本ずっと挨拶

 この話は、2013年に卵巣嚢腫で入院した時の、私の簡単なメモと記憶を頼りの話なので、医学的な正確性を保証するものではありません。色々な事情で細部を変えていたりぼかしたりしていたりもします。単なる曖昧な体験記と割り切ってください。

前回までのあらすじ
 手術ができる体か一通り検査したら、呼吸器検査の方だけ何故かものすごいハイテンションだったよ。

★★★

 手術に向けての各種検査の結果は3日ほどで判明し、オールクリアでした。
 予定通り入院しましょうということで、手術の説明、輸血やその際の血液製剤の説明などが行われました。
 腹空鏡手術になったので、本来は輸血をする必要はないのですが、万一のトラブルがあったり、始めてから急きょ開腹手術になりました!なんて可能性もゼロではありませんので、輸血の同意書が必要になる訳です。
 しかし担当のイケメン医師は、自信に満ちた口調で、
「この手術でボク、200ml以上出血したことありません」
と断言し、完全に”あくまで念のためのことです”ムード。

 あまりに自信に満ちており、医療ドラマもしくはアドベンチャーゲームならば、完全にとんでもない展開が待ってる台詞です。普通の人ならばここで超安心できるはずなのに、ゲーム脳なので「これはフラグ……」と恐れおののくワタクシでした。

 各種同意書の保証人は、つれあいと、実家の父にお願いしました。こういう時に家族や親類と縁がつながっている人間はラクだなと実感しました。恵まれていたと思います。

★★★

 一ヶ月後に、ついに入院となりました。
 入院予定は一週間。月曜入院・火曜手術・水曜木曜療養・金曜退院というスピード感です。さすが腹空鏡手術である。
 病院から指定された各種の入院アイテムの他、当時使っていたMacBookとiPhone、iPad、DVDドライブ、PlayStation Portableを持っていきました。本は、iPadに自炊で電子化したものを入れてました。結果からいうとこんなにいらなかった(笑)。

 ベッド周りの空間は、思ったより広く感じました。もっとぎゅうぎゅうに詰め込まれるイメージでしたが、意外と解放感がありました。
 荷物を広げてあれこれ整理し、ベッドで待機していると、次々とお医者さん看護師さんがやってきます。
 最初にいらしたのは麻酔科医の方で、麻酔についての説明。よろしくお願いいたしますと挨拶します。全身麻酔は初めてなので、緊張しつつもちょっとワクワクしておりました。穏やかで明るい感じの先生でした。
 その次に看護師さんから手術前後の流れの説明。よろしくお願いいたしますと挨拶します。手術が終わって呼吸器を外す時に、すでに麻酔が切れてるので喉がとても痛いけど、ガンバレ……という励ましを受けます。ビクビク。
 そして手術の施術をする主治医の先生、あとサブの先生。よろしくお願いいたしますと挨拶します。さすがにもう何度もお互い説明し説明されているので、さらっと終わりました。

 入院の最初の仕事は、挨拶なんだな……と実感しました。基本、ずっと「よろしくお願いいたします」と言ってる感じです。

★★★

 振り返って今ちょっと残念に思っていることがひとつだけあって。
 退院して数年後、とある本で「麻酔科医は非常に重要なポジションなのに、黒子に徹しているために注目されず、見落とされがちで、お礼も言われないことも多い。麻酔科医たちは、自分が裏方であることに慣れてはいるが、手術の後に年賀状などをもらえると励みになるだろう」ということが書かれていました。
 あー確かになー。私も手術の後、結局麻酔科の先生に会うこともお礼を言う機会もありませんでした。病院宛に年賀状を送るくらい、してもよかったのになと、今になって思います。
 もし今後の人生でまた手術を受けるようなことがあったら、そうしよう。

★★★

 夕飯は美味しくいただきました。この病院でいただいた病院食は、特別美味!という訳ではなかったですが、味気ないとかまずいとは思わなかったので、毎回美味しくいただけました。ありがたい話です。病院食がまずいという時代ではもうないのだな……。今後もそうあってほしい。
 夕食後、手術に備えて排泄を促すということで、何と座薬を入れてもらいました。自分ではやれないので看護師さんにやっていただくことに。しかし入院中は色々心のスイッチが切れていたので、恥ずかしいとかそういうことは感じなかったようです。というかほとんど記憶がない(笑)。
 覚えているのは、入れてもらったのにお通じがなかった、ということだけです(笑)。たぶん緊張していて交感神経が優位になりっぱなしで、排泄どころじゃないだろ!という体になっていたのだと思います。

教訓:入院したらずっと挨拶回りだぞ。あと麻酔科医の方に年賀状出そう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?