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『謎解き地下遊技場』 クリアしました

 ストイックに、パズルだけで勝負。

 どうやら、みんなが楽しみにしている「地下謎への招待状」シリーズは、今冬はお休みのようで……まあ、2023年版が2023と言いつつ12月末から始まり2024年前半にずっとやってた状態なので、あれが今年の分なのだと言われればそんな気もするのですが(笑)。
 その代わり、ということなのでしょうか、テレビでもおなじみの東大クイズ王・伊沢拓司さん率いるQuizKnockさん製作の謎解きタイトル『謎解き地下遊技場』が、今冬初参戦です。

 物理キットも限定で発売されていたものの、基本はスマホのブラウザのみでプレイするタイプの周遊謎解き。最近増えてきましたね。ブラウザ上アプリという特性を活かしたユニークなパズルが次々と出題されてます。
 謎解きタイトルとして完成度は高いと思いましたが……正直、うーんと思う部分も多く。評価が悩ましい作品でした。


スマホひとつで手応えのある謎と格闘せよ

 シリアルコードを購入して、スマホのブラウザ上アプリで出題される謎を、現地にある様々な風景やポスターをヒントに解いていくタイプの謎解きです。
 最低限スマホだけあれば解けるので、非常に身軽に動けます。ワタクシ、バインダーを持って行ってしまったのですが、単に邪魔になっただけでした……(笑)。
 アプリ上で謎解きをするタイトルはいくつかプレイしましたが、その中ではアプリの安定性は高かったです。フリーズしたり再読み込みが必要だったりする場面が少ない(少ないだけで、ない訳ではない)。クリア済みの章の答えを参照するのもできるようになっているので、そこもありがたい。

 ただ正直、操作性はわかりにくいというか、「何をどうすればどんなことができるのか」という説明は最低限しかないので(謎に絡んでる部分もあるのでしょうがないんですが)、便利機能も気付かずに終わる人とかいそうです。
 あとルートを分岐させる仕組み、ぶっちゃけいらなかった。これがあるからといって特に何か楽しみが増す訳ではないので。完全に「人が分散しないと困るので……」な運営上の都合にしか見えないのが難点。

難しいけど、ヒントもあるよ

 謎解きでよく出るド定番の手法を使った謎解きから、アプリ操作を活用する謎、さらに途中で物理的なパーツが配布されての工作謎も、ちゃんとあります。
 バリエーションは豊富ですし、アプリ上でなければ絶対にできないタイプの謎もいっぱいあるので、パズルが好きな人にはたまらない作品かと。

 後半になっていくと、紙と筆記用具が欲しい……!と思う場面が結構ありましたので、スマホと一緒に持ち歩けるメモ帳&筆記用具など持って行くと、解きやすいのではないかと思います。

 そんなこんなで、難易度はかなり高目でした。
 その代わりヒントは充実しているので、どうしてもノーヒントで解き切らないと納得できない!という剛の者以外は、どんどんヒントをオープンしてプレイするのがよいかと思います。ほんと、わからないと全然わからないな、という謎が結構あったので。

パズルで勝負だ、観光情報など不要よ

 ストーリーやバックグラウンドなどはありません。シンプルに「この謎を解いてみせよ!」というタイプの謎解きです。
 そしてストーリーどころか、行く場所についての観光情報や豆知識なども一切ないので、自分から積極的にあれこれ見たり探したりしない限り、
 謎を解く → 次の場所に行く → 謎を解く→ 次の場所に行く……
という単調なループになります(笑)。

 ぶっちゃけ、パズルのパーツとして風景を使っているだけで、特にパズルの内容と場所がリンクしている訳ではありません。
 また行くところも、割とメジャーなスポットで「この謎がなければ行かなかったな〜」みたいな感動はないので……正直、ふとした拍子に
「これ東京メトロに乗る意味あるのか?」
という悪魔のささやきが聞こえてきてしまうのは、否定できない。

 以前私は、周遊型謎解きに関して、

周遊・街歩きの謎というのは、ただどこかの場所が答えになっている難しいパズルを解ければいいのではなくて、行った場所や道のりと、今格闘しているパズルが有機的なつながりを持った時に、体験としての輝きが生まれるもの。

『メトロタイムゲート』 クリアしました

と偉そうに書いたことがあるのですが(笑)、そんなことを書いた『メトロタイムゲート』はストーリーという要素で、強引ながら有機的なつながりを作っていました。
 このタイトルはそういう要素もないので、率直に言って周遊型謎解きではなく、「屋外に設置されている連続パズル」もしくは「手間のかかるスタンプラリー」だと思います……。

 全クリしても、割とあっさりしたエンディングで「これで終わり?」という感じで、アンケート入力などもないので、ますますそんな印象に……(苦笑)。

プレイしている人は多めです!

 地下謎からの招待状シリーズの流れで、チャレンジする人がたくさんいると思われ、道中で遊んでいる人をいっぱい見かけました。
 広い場所が選ばれているのと、スマホひとつでできるという特性上、詰まった人が床に座り込んで格闘する……ということにはなりませんが、周囲に同目的の人がわんさかいる中での謎解きなので、「あー○○かー!」などと思わず叫んでしまうと白い目で見られる可能性はあります。

 タイトルの方で「この謎は座れるところで」とか指定される訳ではないので、休憩のタイミングや考えるスペースの確保は、全部自分で判断しないといけません。そこはある意味、今までの地下謎で鍛えた沿線情報が役立つとも言えますが(笑)。

名舞台作家が名映画監督になるとは限らない、みたいな話で

 ……QuizKnockさんは、やはり「手応えのあるクイズやパズルを作る!」という団体なんだよなぁと思います。そしてその実力通りのハイレベルの内容を展開してくれたとも思います。
 でも周遊型謎解きというのは、クイズ・パズル単体の面白さだけで成立する訳ではないジャンルなんですよねぇ。
 周遊型謎解きの完成形・頂点に近い存在である「地下謎からの招待状」シリーズの位置に開催されてしまったせいで、なおさらそこが比較されてしまい、弱みが強調されてしまった悲しさがあります。
 終わった時の感想が「地下謎はやっぱり偉大だったなぁ」「2025年は地下謎復活して欲しいなあ」になってしまったのは、私にとってもQuizKnockさんにとっても切ない話でした。

 まあでも、スマホひとつでぐるぐる回って遊べるというのは、天候を選ばない強みがあるので、「真冬 or 真夏は遊技場」「春はメトロタイムゲート」「秋は地下謎」という3本立て(笑)で開催していただければ……! そすれば、年間3回以上、1日乗車券を買って乗り倒しますので!


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