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2013年卵巣嚢腫入院記:その4 痛い時も痛くない時もある

 この話は、2013年に卵巣嚢腫で入院した時の、私の簡単なメモと記憶を頼りの話なので、医学的な正確性を保証するものではありません。色々な事情で細部を変えていたりぼかしたりしていたりもします。単なる曖昧な体験記と割り切ってください。

前回までのあらすじ
 手術の方式や日程を決めるために腫瘍マーカー検査を再度実施したりもしたけど、なんだかんだで手術は半年後と決まったよ。

★★★

 手術の日程が決まった時には「ずいぶん先だな〜」と思ったものですが、のんびり生きていると、あっという間に日付は近づいてくる訳です。

 日程が決まったのが3月。そして7月から、手術のために月経を止める目的で、ホルモン注射が行われました。私が受けたホルモン注射は「GnRHアゴニスト(商標名ゾラテックス)」だそうで、と書いておいてなんですが、素人にはさっぱり何がなんだかわからないですね。
 大きい病院にはこういう注射などを行うための専用の「処置室」というものがあるものですが、例に漏れず私もその処置室にてホルモン注射となりました。ベッドが並んでカーテンで仕切られている空間で、おなかを出して処置してもらいます。
 実際の注射針は、私の視界では「細目の焼き鳥の串くらいの太さかなぁ?」と見えました。でも今思うと、ほんとにその太さだったのかわかりません。緊張していてより太く(もしくはより細く)見えたんじゃないかと思うこともあります。打つ部位は、おへその少し下。
 歯科の麻酔注射の針なんかに比べると太いので、痛いのかなぁとドキドキしていたのですが、採血の時の「ちくっずきっ」とあまり変わらなかったです。むしろ針を刺したまましばし時間経過を待たねばならない採血と違って、すぐに終わるのでラクでした。
 このホルモン注射で1万円弱でした。3割負担でこれか。医療費控除ってありがたい。

★★★

 8月初旬に、いよいよ手術に備えての各種検査詣でとなりました。
 コースメニューは
前菜:採血の5本盛り
プリモピアット:呼吸検査のハイテンション
メインディッシュ:X線ソテーのレントゲン
デザート:冷たいゼリーを塗っての心電図
です。(意味不明なたとえをするな)

 採血は試験管5本分ということで、人生最長の採血となりました。長いアンド長い。痛みはそこまでではないのだけれど、緊張と「動いてはならぬ」違和感で余計長く感じます。しかし問題なく終了。

 呼吸検査は、遠い遠い昔小学生?くらいの時に健康診断らしきもので1度だけやった記憶が、あるようなないような……なので、記憶がちゃんとしているものとしては人生初と言っても過言ではない。
 この呼吸検査の人が、初老の婦人だったのですが、部屋に入るや否や「ハイッそれではこれを持って!」「限界だと思っても全然限界じゃありませんのでっ!出せる限りの力を出してネ!」とこちらを圧倒するハイテンション。物静かな病院の空気でひとり熱い修造領域結界を展開します。
 実際にやることは、器具に息を思い切り吹き込むというアレなのですが、思ってたレベルと違う。
「ハイー吸って吸って吸ってーーー!まだ吸ってー!まだ吸えるーー!」と圧をかけられながら息を吸い。
「さあ吐いてーーー!吐いて吐いて吐いて!まだ!まだまだ!そんなもんじゃない!もっといける!いけるいけるいける!」と血管切れる勢いで励まされるというか怒られるというか、体が裏返ってもまだ足りぬほどに息を吹き込まされます。
「ハイッ!大丈夫です!よくできましたね!」
 幼稚園の先生ノリの褒め言葉で締めくくられた時には、目の前に星が飛んでました。

 クラクラしながら「あ、ありがとうございました……」と部屋を出たら、次の検査の患者さんが部屋に入っていくのが見えました。
 そして部屋の中から再び、「ハイッそれではこれを持って!」というあのスーパーテンションの大声が響いてきたので、心の中で「頑張れ……!」とペンライトを振っておきました。
 静かな静かな検査関係エリアの一角で、なぜあの空間だけあんなに熱かったのか未だに謎です。あの検査の人だけがそういう人なのか、それとも実は「呼吸検査はなかなか人間本気を出さないので、必死に盛り上げないと正しい結果が出ないので、検査人は超盛り上げていこう!」という職業ノウハウがあるのかも知れない……。

 レントゲンと心電図は、普段の健康診断等でもやるもので、実にスムーズに終わりました。

★★★

 検査で引っかかるところがなく、順調に進んだため、予定よりも診察時間が早まって、その日の診察は普段より早く終わりました。
 最後に処置室で、ホルモン注射があったのですが、前回と同じ注射・同じ針なのに、何故か2回目の時は結構痛く感じました。と言ってもまあ、刺している間「う〜〜ズキズキする〜」と思う程度で、終わってしまえば何てことないというレベルです。たまたま、刺したところが痛点を刺激した、みたいなことなんでしょう。
 痛みって同じことをしても結構波があるんだなぁとわかったのは、収穫でした。

教訓:痛い注射も痛くないこともあるので何とかなるさ。あと呼吸器検査はテンション高いから気分上げていけ。

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