ドアを開けたら、違う世界。
あれは小学校低学年の頃だろうか、台所仕事をしている母となにかの歌詞本を見ながら歌を歌っていた。
(この歌の事、前にも書いたかな? でも覚えてないから書いちゃえー。
内容はまた違う事だと思うしー(笑)
歌詞本を見ながら、「次は、〇〇〇。」とタイトルを言うと、母が歌う。
私は歌詞を見ながら、歌ったり、聞いたり。
「じゃあ、次は、『あすは雨』(だったかな?)」
「えー、その歌、知らないわぁ」といいながら、
母はそのタイトルから即興で歌を作ってうたった。
歌を作った、なんて言えない程の短くて単純な歌だけど、半世紀近くたった今でもその歌を覚えている。
「今日は、雨。
明日はいい天気~
明後日は、また雨。
明々後日はいい天気~。」
(節はさすがに伝えられないねぇ。)
っていう、なんのひねりもない、でたらめ歌詞の
まんまな歌 ← 歌か?(笑)
雨が降るとその歌を思い出すので、先日も母にうたってみると
なぜかいつも母は、うふふ、面白い。と笑う。
「このうた、お母さんが作った歌なんだよ」というと、
「やだぁ~、そんなことある訳ないですよ、うふふふふ」とまた笑う、
毎回のやりとり。
あの時のなんてことない歌が、今母の笑いにつながるなんて思いもしなかったから、雨が降るとつい歌ってしまう。
夕刻のやや赤っぽくて薄暗い台所で野菜を洗ってる母の背中や、ごちゃっとしたテーブルの上、その隣に立って小さな歌詞本をめくっている自分。
今でも昨日のことのように浮かぶ情景と、歌を聞いて、うふふ。と笑ってる、ほぼ記憶もなくなっているだろう目の前にいる母。
同じ、母と私なのに、まるっきり違う二人のようだ。
ドアをあけたら、半世紀近く経った世界でした。
くらいの、ドラえもんの世界。
(ドラえもん、のび太がイラつくから見ないけど)
母とほぼ毎回同じやりとりをしてるのだけど、
今回は、なんだかとても不思議な感覚になってしまいました。
あの時は半世紀近い前の世界じゃなくて、
すぐ隣で流れている、同じだけど、違う、
もちろん今とも繋がってるけど、
別の世界なのかもしれないな。
半世紀弱も前とは思えない。
今でもはっきりくっきりしている、あの台所と母の背中。
今の自分は、ドアを開けて台所のテーブル横にに立っている、
小っちゃな自分の一歩後ろにそっと立ち、
母の背中を見ている。
今の自分だから、小っちゃな自分から見た母の背中の位置と、
自分から見ている背中の位置は当然違う。
目線を上げて見ている背中と、目線を下げてる今の自分。
すぐそこにある半世紀前の今。
パラレルワールド…
ひゃー、なんだかおかしな話になってしまったー(笑)
おしまい。