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貯金の理由(第20話)

SNSで大反響だった実話
小5と余命宣告」続編(第20話)です。

父ひとり、子ひとりの家庭で育った娘が
小5の時に、その父の余命宣告を受け
その後の覚悟と成長を描いた実話。

脚色は一切なし。
むしろ、各方面に配慮し
わざわざ抑えて書いているくらいです(笑)

ということで、
これは長~く続く連載ものです。

初めての方は、1話からどうぞ。





ちょっと油断したために

あっさりと奪われてしまった

必死に貯めてきた貯金、40万円。


何よりも大事だった。


それを失ったショックは、

かなり大きかった。。。


だが、それで当時の生活が

変わってしまったわけでもない。

電気やガスが止められることはあっても

県営住宅の家賃は、滞納してても

追い出されることはなかった。


中学校にもそのまま通うことができて

給食も食べれていた。

その父親が入院しても、大変じゃない。


全ては、生活保護のおかげ。


当時は、そこに深い感謝も出来なかったけど

そうやって私たち親子は、

社会のシステムに助けられてきたのだ。


十分にありがたいことなんだけど

だからと言って、何でもかんでも

サポートしてもらえるわけではない。


中3で、必死で貯金をしていたのには

ちゃんとした理由があった。


異常なまでのお金への執念が

生まれたのは

ただ今後の為に。

とか

万が一に備えて、、、

なぁんていう

ぼんやりとした理由ではなく

明確な目的があったからだ。



海外留学がしたい。


これ!

この想いがすごく強かった。


行ってみたいなぁ~

行けたらいいな~


なぁんていう憧れではない。


口先だけの目標でもない。


ちゃんと現実味を帯びた

自分の夢だった。


かと言って、


その ありがたい生活保護も

さすがに留学費用まで

出してくれる訳ないのは、百も承知。


これを叶える為には、何をしたらいいか。

どうしたらいいか。

の結果が、アルバイトだった。


資金があったって

話せなくちゃ、現地で困る。


ということで

バイトの傍らに週1回程度だけど

英会話スクールにも通っていた。


その費用は

年間で30万円くらいだったが

その支払いは、先払いで既に終えていた。


だから、あのお金が無くなった時

支払った後でよかった・・・と

少しホッとした。



良く言えば、

熱心に勉強している。なのだが

悪く言えば、ただの 英語かぶれ。


英語で考えようと いつも意識していた。

理由より先に、結論を伝えて、
相手をビックリさせてしまうのも

自分の意見をはっきり言う、
言い過ぎるのも

No!をはっきり言える、
言い過ぎるのも

悪いと思っていないと、謝らないのも

今も日本語がちょっとおかしいのも?

多分、この影響がすごく大きいんだと思う。

手帳は、全部英語で書いていた。

書くために、辞書で単語を調べて

を繰り返して。。。



そのぶ厚い英和辞典は、

単語を調べるために開くのだが、

面白くて、ついつい読み出しちゃう。

全然、飽きなかった。

3行くらいの簡単な英語日記も毎日書き

ひとり言も、寝言も、英語。

学校の英語の授業は、もちろん起きている!

身銭を切って、英会話スクールに

通っている身としては

タダで英語を教えてもらえるんだから

寝てたら、もったいないっしょ。


今でも、そう思う。

学べるって、

とてもありがたいことなの。



お金を奪われたという一時の絶望に

浸りきっている時間も

そこで、

ヘソ曲げてグレてる時間も

私にはもったいないのだ。


行動は、今までと変わらない。

仕事をし、金を貯め、勉強する。

ただ、それだけ。

ただ、それをひたすら繰り返すだけ。

何が起こっても、ブレない!


そして

その軸を支えるのは、

明確な目標。

大事なことは、

いつだってシンプル。




冬になると宴会が増える。

母親に、コンパニオンの仕事を

できるだけ多く自分に回してくれるよう

お願いした。

出来るだけ効率的に、稼ぎたい。



そんな私の執念は、

神様には届かなかったのか

また新たな事件が起きる。




母親が逮捕された...





→ 母親の逮捕(第21話)


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