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16歳の部屋探し(第33話)

SNSで大反響だった実話
小5と余命宣告」続編(第33話)です。

父ひとり、子ひとりの家庭で育った娘が
小5の時に、その父の余命宣告を受け
その後の覚悟と成長を描いた実話。

脚色は一切なし。
むしろ、各方面に配慮し
わざわざ抑えて書いているくらいです(笑)

ということで、
これは長~く続く連載ものです。


思い込みという鎧を背負い、

重くなっているアナタに

非常識で自由な世界をお届けしています。


最終話まで読んでもらえたら

世界は、

自分が思っているより

ずっと優しくて

自分は、

自分が思っているよりも

ずっと軽くて自由なんだ


ということに気づけるかもしれません。

初めての方は、1話からどうぞ。





突如スイッチが入った部屋探しモード。


不動産屋さんに直行するも

今の私では、部屋を借りることができない?!

そんなショッキングな現実を知った高2の春。。。


なら、次は身近な人に話してみよう。

何か方法が見つかるかもしれない。


今度は、別に住んでいる母親に話してみた。

「じゃあ、うちに住みなよ。

 家賃入れてくれたら、助かるから」


彼女の特性は、十分理解していた。

「自分の利益=金」を第一優先に考える人。


私のために...ではなく、アテにしてるのは私の金。

考える間もなく、拒否した。

一緒に暮らすのは、ムリ!


父親と暮らしてきて、これだけストレスなんだから

もう人と一緒には住みたくない!

きっと私がワガママだから

人と暮らすっていうのは合ってないんだ。


こんな状況でも、

しばらく耐え忍ぶ。

とか

諦める

という発想は、全く思い浮かばなかった。


こうなったら、仕方ない。

他人にお願いごとをするのは、好きじゃないけど...



藁をも掴む気持ちで

勤めていたコンパニオン会社のママ(雇い主)に

頼んでみることにした。



当時26才のママ。

ほぼ毎日、出勤する私とは

ほぼ毎日会えるのだけど

他の女の子もいたり、言いづらい話でもあったので、

結局、電話で伝えることにした。


仕事が入っていない夜を選んで

団地内の集会所の前にあった、公衆電話に向かう。

(家の電話は、料金未納で使えないため)


こんな迷惑な頼み事

ほんとは他人にしたくなんかないよ...


そんな気持ちでいっぱいだったが

勇気を出して、覚悟を決めて電話を掛けた。


長ったらしい前置きを散々して

「行くところがないので、絶対に迷惑を掛けない!

 って約束するので、自分の代わりに

 アパートの契約者になってもらえないでしょうか...」


ママは、一瞬の間も空けることなく

こう、返してきた。


「あー、ごめん、そういうのはやんないって決めてるんだ。

 親からも、借金の保証人とか絶対ハンコ押すなって散々言われてきたし

 それで苦労してる人も、見てきたし。。。


(そうだよね、、、やっぱそうだよね)


とは言え、こっちもカンタンに

引き下がる訳にはいかない。


「じゃ、寮とか社宅みたいなカンジで、

 会社の名前で借りてもらう部屋に

 他の女の子たちと住まわせてもらうとかは?

 家賃とか掛かるお金は、給料から天引きしてもらえれば...」

「なんとかお願いします!!」


ママの不安が解消されるような

提案も持ちかけて、頭も下げた。


「ごめんね。何度頼まれても、できない。」


「あんたのことを信用してない訳じゃなくて

 やらない!って決めてるだけだから」


その後の会話のことは、覚えてない。。。

フォローのような言葉を

たくさん並べてくれたような気もするけど

留まることなく、私の頭の中を通り過ぎていくだけだった。


ほんの一瞬も考えることなく、返ってきた言葉たち。


あぁ、結局は、

わたしって信用されてないんだな…


ルーズな夜の世界の女の子たち、

遅刻、無断欠勤はなんて全然珍しくない。

飛んじゃう子だって、フツーにいた。
(↑ある日突然連絡が取れなくなること)

「Mちゃん、ホストにハマって、いよいよ風俗行きだって」

「Rさん、またシャブで捕まったみたい。
 今回は2度目だから、しばらく出てこれないね」


まるで、映画のワンシーンみたいな

そんな会話、珍しくもなんともない世界。

どんなに一生懸命、無遅刻、無欠勤で

真面目に働いていても

結局ママは、私のことを

「いつ飛ぶかわかんないような

 ルーズな女の子たちの一人」

としか見てないんだね…


確かに、深い信頼関係を築くほど

長い年月、お世話になっていた訳でもなく

「ママー、大好きぃ~💕」

と黄色い声で、媚びへつらったこともなく

かわいくなかったんだと思う。

もし私が逆の立場でも、きっと断っただろう。


そんな簡単に人を信用しちゃったら

この世界では、どんどん流されていく。


ヤバイ誘惑がいっぱいで、

清純さなんかどんどん失い、

女の子同士の醜い争いも多く

最後は、自分が何をしたかったのかすら

見失ってしまいそうな場所。


その世界で「ママ」としてやっていく為に

必要だった決断。

間違ったことは、何も言ってない。


頭では、わかっている。

彼女を責める気持ちも、恨む気持ちもない。


ただ、、、


悲しかっただけ...

寂しかっただけ…

虚しかっただけ...


そのまま崩れるように、

その場にしゃがみこんで、一人で泣いた...

声が漏れないよう、必死に両手で押さえて。


受話器を置いた公衆電話から出てくる

テレホンカードの音だけが響いていた




愚かで非力な自分を

あざ笑うように・・・




→ 次なる一手(第34話)


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