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夜の世界へ(第18話)

SNSで大反響だった実話
小5と余命宣告」続編(第18話)です。

父ひとり、子ひとりの家庭で育った娘が
小5の時に、その父の余命宣告を受け
その後の覚悟と成長を描いた実話。

脚色は一切なし。
むしろ、各方面に配慮し
わざわざ抑えて書いているくらいです(笑)

ということで、
これは長~く続く連載ものです。

初めての方は、1話からどうぞ。





突然、いなくなってしまった

バイト仲間のリカちゃん。



その死をしっかり味わい尽くしながらも

ぼぉーっとやり過ごせる日常ではなかった。



というのが、
逆に良かったのだと思う。



やることがある

やるべきことがある

というのは、

実は幸せなことなのだ



学校にバレないように

人目につかない

飲食店洗い場のアルバイト。


とは別に

違う仕事も増えていった。



スナックを経営している母親を入口に

夜の世界に入っていくのは

ごく自然な流れだった。


店のお客さんの相手をすることは

ほとんど無かったが

「コンパニオン」の仕事が回ってきた。


「コンパニオン」とは、宴会の席で、
お客さんにお酒をついだり、話をしたりして
場を盛り上げる女の子たちのこと。


若い子からお年寄りまで
年齢層は、けっこう幅広い(笑)


どんなに年齢がいってても
「女の子」!と呼ぶらしい(笑)



冬は特に宴会が多い。

人数が足りなくて、

どうしても!の時だけ

声がかかった。


って言ったって、

中3だからね。


客だって、気づいていたと思うけど

ま、みんな酔っぱらいだから

どうでもいいんだろうけどね。



初めての席は、こわかった。




ホントに大丈夫?

ホントはいけないことなんでしょ?


それをサラッと

「大丈夫、大丈夫!バレやしないから」

と楽観視できるのが、彼女の才能。




「人が足りないから、お願い!!」


とお願いされて、

ホントは、イヤだったけど。。。


なぁんて、

被害者ぶることは、ない。


本当にイヤだったら

ちゃんと断るよ。

断れるから。


躊躇したのは、

不安や心配という気持ちがあったから。

それを断る理由は、なかったのだ。


母が困っているなら...

という優しい気持ちも ない。


まさに、

お互いの利害が一致していただけの話。


だって、それが仕事でしょ?



私にとったら収入源が増える。

という有り難い話だった。


しかも、

時給650円の洗い場のアルバイトで

1日立ちっぱなしで稼ぐ金額以上の額を

たった2時間でもらえるんだから。




人間の適応力はホントに素晴らしい。


不安や罪悪感は最初だけ。

回数を重ねると麻痺してくる。


楽しいまでは言わないが、

イヤではなくなってきた。


だんだん、

そっちの仕事を優先にするようになり

またそーゆー知り合いも多くなってくる。


色々な誘いが入ってきたが

私の野生のカンは

これまた、結構いい働きをするのだ。



(私にとって)悪いコトを

企んでる人は、よく感知した。


「まだ子どもだから、上手く使おう」

って考えてるんだろうな。って。


好意的な表情や

耳障りの良い言葉の裏に

潜んでいる真意。


「悪意」ではなく「真意」

悪意という言葉を選ばないのは

そーゆー人たちに悪意はないからだ。


こいつをどうにかしてやろう!

という悪意や敵意なんかほとんどない。

みんな自分のことで頭がいっぱい。

そこまで他人に関心もない。


そういう世界。


だから、


自分の身は自分で守るしかない


警戒心の強さからくる

セコムもビックリな高感度なセンサーが

しっかり機能していた。



相手と自分、どちらか一方だけの

メリット(得)しかない誘い。

これは、十分な警戒が必要だ。


さらに、何をもって

「メリット(得)」というのか、

これまた人それぞれ。




ちょっとタイムスリップして
余談部屋に入ります。


もう20年くらい前かな。

ビジネス交流会で知り合った社長さんが、
いつも私に良くしてくれていたのが
不思議で不思議で仕方なかったのよね。


その会社の社員でもないし、

仕事で絡んでる訳でもない。

もちろん、

ご近所さんでも

男女の仲でもない。

なのに、ご馳走してもらったり

結婚や出産のお祝いとか、

その後もご家族の集まり
(レジャーとかX'masパーティーとか)

一家で誘ってくれたり。。。



「なんで誘ってくれるんだろう?」

「なんでこんなにしてくれるんだろう?」

「なにが目的だ?」


まだ警戒心が強かった当時の私は

本当にわからなくて、よく考えていた。


ビジネスに繋がるから。

情報を取りたいから。

ヤリたいから。等々

わかりやすい打算があった方が、

むしろ安心できたのだが、

そーゆーのは一切見えなくて。



相手のメリット = お金や仕事


なんていう

つまんない考えしか無かった

当時の自分には見当もつかなかった。



わからないけど、遊ぶ!


今なら、その方がよく言葉にしてくれた

その理由を、素直に受け取れる。


面白いから

楽しいから


ただそれだけなら、なおさら

こんなにしてもらったら申し訳ないなぁ

なんて、

またイロイロ考えちゃってたんだけどね(笑)


この20年近くお付き合いが続いているのも

そーゆーことなんだよね。

私も楽しいから、ご一緒させてもらっている。


若い頃ならともかく

もうある程度年齢いくと、

楽しめるって、

結構貴重で大事なのよね


余談部屋、退出(笑)





まぁ、そーゆー野生のカンで、

なんとかなっていた部分が大きいけど

どうしても折り合いをつけられない人がいた。



こちらも超レアキャラ、

やりたい放題の父親だ。


口癖は「もうすぐ死ぬんだぞー!」

でも、全然死なないことから


彼の「死ぬ」は

非常に軽いものになっていた(笑)



同じレアキャラでも、

母親は一緒に住んでいなかったので

そんなに被害はなかった。

(わたしはね…)



問題は父親だ。


彼と一緒に暮らしていた家の中で、

唯一、私が掃除をするのは自分の部屋だけだった。

(私は部屋が汚いのは耐えられない)


とにかく自分のテリトリーを

守っていたつもりだった。。。


学校と仕事で家にいる時間は少ないが

部屋にはテレビもテーブルもあって

居心地の良い自分のプライベート空間を

整えていた。



そこに、私の留守中に勝手に入り込んで

好き勝手くつろいで、散らかしたまま知らんぷり。


時には、そのままTVつけっぱなしで

堂々と寝ていたり。。。



私のテリトリーを

無神経に、踏み荒らしにくる...



思春期真っ只中の、中3女子にとったら

もうほんとうに、耐え難きことだった。



帰宅して

「勝手に入るなーって言ってるだろー!」

って、いつもブチ切れていた。


そんな血管が浮き出てくるような

イライラした家庭生活の中

また私にとってショッキングな事件が起きた。





通帳から、全てのお金が消えた・・・





人生最大の親子ゲンカ(第19話)

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