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最後の夜(第51話)
SNSで大反響だった実話
「小5と余命宣告」続編(第51話)です。
父ひとり、子ひとりの家庭で育った娘が
小5の時に、その父の余命宣告を受け
その後の覚悟と成長を描いた実話。
脚色は一切なし。
むしろ、各方面に配慮し
わざわざ抑えて書いているくらいです(笑)
ということで、
これは長~く続く連載ものです。
思い込みという鎧を背負い、
重くなっているアナタに
非常識で自由な世界をお届けしています。
最終話まで読んでもらえたら
世界は、
自分が思っているより
ずっと優しくて
人生は、
覚悟を決めて動くだけで
意外にも簡単に思い通りになる
ということに気づけるかもしれません。
初めての方は、1話からどうぞ。
カナダでの生活に、どんどん慣れてきた。
新しくできた友達たちと
レジャーを楽しめるほど。
と、いっても
みんな、地図と辞書は必須だ。
みんながみんな
同じ語学学校に通う外国人だから。
台湾、ブラジル、韓国 等。
今みたいに、スマホやポケット翻訳機なんてないし
コミュニケーションは
英語とボディーランゲージだけ。
(意外と通じるw)
この学校に入学したばかりの頃
先生に勧められて本屋で購入した「英⇔英辞典」が
大活躍だった。
知らない単語を、英語で説明しないといけないからね。
と、いつも重たい辞書を
持ち歩いているにもかかわらず
結局、通じ合ってるような?
ズレまくっているような?(笑)
ま、細かいことはいいよ!
ここ、外国だし、ノリでいこうぜ♪
それぞれの国独特の
イントネーション(なまり)があって
聞き取りづらさもあるけれど
逆に、そのなまりが、
その人がどこの国の人か想像できた。
彼らいわく、日本人は
本来、聞こえないような
語尾をハッキリ発音するんだって。
スチューデン「ト!」
スクー「ル!」
って。(笑)
なるほど!納得!
だって学校でそう教えてたもんね...
英語っぽく発音するのが恥ずかしくて
わざとカタカナっぽく読んだり...。
放課後に、彼女たちと過ごす時間が増えて
色々教えてもらった。
外から見た日本、日本人のイメージ。
なんで留学しようと思ったの??
トークから始まった各国の留学(教育)事情。
もちろん、ティーンエイジャーらしく
キムタクなどのアイドルの話題や。
恋バナや化粧品、ファッションの話題も。
そして、気づいた。
お互いの国の言葉が全くわかんないのに
英語だったら、こんなに様々な国の人たちと
会話できるんだ!!!
英語って、スゲーね✨
そして、思い出した。
そもそも、なんで、
英語を話せるようになりたかったのか、を。
英語、話せたらさ
なんか、かっこいいじゃん!!
みーーんなとお喋りできて、楽しそうじゃん!!
そう、実は動機、これだけ(笑)
うん、いま、すっごく楽しい!
そして、
他国の子たちと友達になれて、嬉しい!
それで十分じゃん!
この後の目標?
んなもん、なんでもいいよ!
楽しいからもっと学びたい!
それで十分!!
着いたばかりの3週間前が嘘みたいに
開き直りに開き直りを重ね、
留学生活を満喫しまくっていた♪
なにかのきっかけで
もう1年以上バンクーバーに住んでいる
という日本人の女の子とも仲良くなった。
ビサのこと、アパート事情、ここでの仕事事情 等々
暮らしぶりを教えてもらう内に
今度は絶対、年単位で、ここで暮らそう!!
と、決めた。
一旦予定通り、帰国して、
父を見送ったら、またすぐ戻ってくるぞ!
今回の滞在期間は、1か月間だけ。
生活に慣れてきて、
楽しくなった頃に帰国。。。
いよいよ明日、日本に帰る。
という前夜。
お世話になっていた
シャアハウスのオーナーが
私の最後の夜だから、と
夜、私たちを連れ出してくれた。
ガイドブックに載らない特別な場所に✨
そこは、小高い丘になっていて
バンクーバー空港が一望できる秘密の場所だった。
夜のバンクーバー空港は
たくさんの飛行機が放つ光で
キラキラと金色に輝いていて
私がそれまでに見た夜景で
一番美しくて、感動的だった。
先生やオーナーの優しさ
友だちのこと、
ここでの生活を思い出しながら...
ここで、こうやって
このキレイな夜景を目にしている
自分を称えながら
目に溜まった涙のおかげで
光が余計、幻想的に見えた...
ありがとう!!!
わたし、よくやった!
なんとも言葉にできない
胸いっぱいの素敵な時間を過ごし
他の子たちと大はしゃぎしながら、家路へ。
笑い声とともに、玄関に入ったら、
電話のベルが聞こえた。
「Satomi、日本から電話よー!」
部屋の中にいた別のルームメイトが私を呼んだ。
「Hello?」
まだ、ご機嫌が止まらない。
弾んだ声で、玄関先の電話を取ると
日本にいる姉からだった。
「あんた、いつ帰ってくるの?」
「明日だよー♪ なんで~?」
「お父さん、危篤だに!!」
それまでのご機嫌が、一瞬で消えた…