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精神科 強制連行(第16話)

SNSで大反響だった実話
小5と余命宣告」続編(第16話)です。

父ひとり、子ひとりの家庭で育った娘が
小5の時に、その父の余命宣告を受け
その後の覚悟と成長を描いた実話。

脚色は一切なし。
むしろ、各方面に配慮し
わざわざ抑えて書いているくらいです(笑)

ということで、
これは長~く続く連載ものです。

初めての方は、1話からどうぞ。




私より頑張っているK子ちゃん、

似たような境遇で

同じような悩みを持つ。


頭のキレも良く、会話してると楽しい。

波長が合うって、こーゆーことを言うのかな。

会話のテンポだったり

ノリだったり、イロイロ合う人だった。


似たような2人、

頭フル回転の全力トークだから

疲れるけどね。。。(笑)



近くに住んでいた訳ではないので


「1日に1回は、

 あんたの声聞かないと!」


なぁんて言いながら、

ほとんど毎日電話で

おしゃべりしてた時期もあった。


「いやぁ、もう疲れたね。寝るか!」


しゃべり疲れたら、電話を切る。


そんな流れ(笑)



話が通じる友達、

お互いを理解し合える存在ができて

それまで以上に、

家の外に関心が向くようになっていった。



そんな中、

また、あの人(父親)が

訳のわからんことを言い出した。



「お前、ちょっとおかしいから

 病院に行ってこい!

 医者に診てもらえっ!」


突然、なにを言い出すかと思えば…

私には、全く理解できない内容だった。

しかも既に、私の名前で

受診予約を入れてあると言う。


その診療科は



「精神科」




コントでも、冗談でもない。

すごい真面目な顔して言い出した。



はぁ???(怒)

ナニ言ってんだ!?

おかしいのは、テメェだよっ!!


ある日突然、いきなり

おかしい人に

「頭おかしい人呼ばわり」

されて、黙ってられるか!!(怒)



また、恒例の

激しい激しい

親子喧嘩のゴングが鳴った。



ひと通り、

言いたいことを怒鳴り散らして

気が済んだところで、


「もう予約したんだから

 ちゃんと行けよ!!

 自分で行かないなら、

 無理やり連れて行くぞ!」



はぁ~(疲)

なんてめんどくさいヤツなんだ。。。

もう歯向かうエネルギーも残っていない。

仕方なく病院に行くことにした。





予約当日、

診察室の前の長椅子で待ちながら

診療科が書かれたプレートに目をやる。


「精神科」!!



今でこそ、柔らかいイメージの

「心療内科」という呼び名が

あったりするが

何も知らない無知な中学生から見たら

この言葉は、なんだかほんとに露骨。


気が狂っちゃった人が行くような?

そんなイメージしかなかった。。。


今なら、笑い飛ばせる話だけど

当時は、まだ中3。


一番身近な大人(親)に

「オマエはおかしい」って言われて

こんな文字の前に座らされていると

ホントに、どっかおかしいのかな?私...


なんて、不安の波が押し寄せる。




名前を呼ばれて、診察室に入るも

決して自ら望んで、ここに来たわけではない。


親に勝手に予約を入れられたので、

仕方なく来ただけです。

早く終わらせてください。



少し緊張しながらも

バイトの時間も迫っていたので

長居したくないアピール。


女性の医者と2人だけで対話する。

向こうからの質問に

私が答えていくだけだった。


特に、飾ることも隠すこともなく

ストレートに、自分の置かれている環境、

将来についてなど、自分の意志や考え、

そのために選択している行動などを

冷静に話すことになった。


私の中では、全ての行動に、

きちんとした理由や目的があるのだけど、

それを、アイツに話すのはイヤだ。


どうせ理解しようとしない上に

自分の考えを押し付けてこようとするから。



診察は、あっさりと終わった。

その医者は、私にこう言った。


「いや~、すごくしっかりしていて

 ビックリしています。」



こうなりたくて、

なったわけじゃないけどね。。。


喉まで出かかって
言葉にするのを、止めた。


誰かに話したところで、

なにも変わらない。


これ以上長引いたら、

バイトに行く時間が遅くなるだけだ。



「はあ、そうですか、

 おかしいのはあの人の方ですから

 あの人を診て下さいよ。」


冷めた目で、そう捨てゼリフを放つと

医者は、少し微笑みながらこう言った。


「まぁまぁ。

 お父さんもあなたのことが、心配だったんですよ」


そのまま、

「父が私を受診させようと思った理由」を続けた。


私が何も話さないし、

何を考えているのかわからない。

親の言うことを全く聞かない

反抗的な態度ばかりで、困っている。


だったそうな。。。



思春期の子どもを持つ親は

みんな似たような悩みを持つのかもしれない。


さすがに精神科を強制的に受診させる親は

なかなかいないだろうが(苦笑)



この身勝手な行動が、どんどん

私をイライラさせるって、気付かないのか!(怒)

原因を作っているのは、全部オマエなんだよ!


この一件で、

私の中にある父への嫌悪感が

更に増えたということに気づかないまま、


でも、医者からのお墨付きをもらえたことで

ヤツ自身の気は済んだようだった。

(こっちは、やれやれ だ...)



まぁ、でもよかった。

誰がなんと言おうと、

私はこのままでいいっ!!

診察直前の、私のわずかな不安も消えた。



それから、また

学校(給食と保健室のベッド)と

アルバイトと親子喧嘩と

相変わらずの日常が過ぎていった。



そんな、ある日のこと。

バイト先で一番仲良くしていた

リカちゃんが無断欠勤をした。


パートのおばちゃんたちも


「こんなこと、初めてだね。

 何かあったのかしら…」


他のスタッフや社長も

みんなが口を揃えて、話していた。


サボるような子じゃないし

どうしたんだろうね。。。って。



「社長、リカちゃんから連絡入りましたか?」


気になって気になって

社長の顔を見掛ける度に質問するも、

首を横に振る日が、3日ほど続いた。


ようやく入った連絡の内容は、

とても衝撃的だった。





リカちゃんが、死んだ...





突然の死(第17話)


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