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新しい世界

新生活が始まり、半年が過ぎた。
住居を新しくし、職場が変わり、バタバタと過ごした。
これまで出会ってこなかったような人と毎日顔を合わせるようになり、
自分を見失いそうにもなった。
それでも、出来るようになりたいこと、学びたいことは沢山あって、
まだまだこれから、頑張るぞってときに。

発覚した新しい命。
小さな、小さな、命。

望んでたことだけれど、幸せを噛み締める前に、戸惑いと、これまで経験したことのない、それも長期間の体調の悪さが襲ってきた。
まだまだ大きくはないお腹に手を当てて、本当にいるのかなって思う日々。
見た目は何にも変わってないからこそ、体調の変化に心が全くついていかない。

こんなに辛い日々を乗り越えたのか。
世の中の母たちを羨望の眼差しで見つめる気分。

せっかく頑張ろうとしていた仕事にも行けなくなり、家事も全く手につかない。どれくらい寝たきりで過ごしただろう。ひとりっきりで、ひたすら布団の中に潜り込む日々。そんなときは大抵ろくなことを考えない。

楽しみとか、幸福なんかより、不安や孤独の方が強く感じる。
もうダメかもしれない。大袈裟ではなく、そんなことも何度も思った。
終わりが見えない辛さは、もう嫌だったのに。
なんだかあのときの、暗い暗いトンネルに似ている。
こんなはずじゃなかった。。。
弱音ばかり吐く、弱すぎる妊婦だった。

優しく献身的な夫のサポートで、一番辛い時期をやり過ごした。
本当に、あなたにはいつも頭が上がらない。

ずいぶん動けるようになって、ゆっくり温泉旅行にも行ったりして。
さあ、これから。幸せなマタニティライフかなと思っていたけれど。
体調の悪さも、心の不安や落ち込みも定期的にやってくる。

やっと、買い物に行き、夕ご飯を作れるようになったのに。
疲れて帰ってくる夫に、それくらいはしたいのに。
また、何にもできない日が舞い戻ってくる。

同じ時期に新しい命が宿ったあの子は、しっかり働いているのに。
私は、毎日家にいて、何にもできてない。
無意味な比較が止まらない。

妊娠前の体調とは明らかに違っていて、身体もどんどん変化する。
出産のことなんか考え出したら、怖くてたまらない。
人を育てるなんて、未知の世界。

楽しみにしていたし、願っていたことなのに。
やっぱり、心も頭もついていかない。

それでも、君の生きる世界を知りたいよ。
一緒に、家族になっていくんだね。

君にはすでに、新しい世界を見せられている。
自分に命が宿るまでは、身近に幸せな報告を聴いても、心からのおめでとうの言葉しか出なかった。妊婦さんの体調を心配する言葉は、思いつかなかった。でもこれからは、そんな優しい言葉も選べるだろうな。
私がたくさん頂いたように。

こんなに小さなときから、君は、たくさんの人に大切にされ愛されているよ。

一心同体生活も、折り返し。
まだまだ先は長いけど、こんな日々を噛み締めなくちゃ。


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