NMEAシリーズ VTGとGSV
GxVTG - Course Over Ground and Ground Speed
利用頻度:AA
概要:対地方位(Cource Over Ground)、対地速度(Speed Over Ground)
GNVTGの実際のデータ(1秒間隔の場合)
GNVTG,010.0,T,016.5,M,002.5,N,004.8,K,A*4D
GNVTG,010.0,T,016.5,M,002.5,N,004.8,K,A*4D
GNVTG,010.0,T,016.5,M,002.5,N,004.8,K,A*4D
解説(1行目を例に)
知っておくとよい情報
方位は真北と磁北の2種を含んでいる。真北は子午線に沿った向きを0°とする。磁北は磁気子午線に沿った向きを0°とし、両者には偏差がある。
方位は対地方位である。船首方位や車の姿勢角とは区別される。(いわゆる横滑りした状態だと、対地方位と船首方位はずれる。)
速度は対地速度であり、鉛直方向の速度情報は含まない。
RMCの速度はノット単位しか含んでいないが、こちらはkm/h単位で速度が含まれている。
時刻情報や日付情報を含んでいないので、GGAやRMCと一緒に利用するとよいと思う。
GxGSV - Satellites in View
利用頻度:A
概要:可視衛星数。可視衛星の仰角、方位角。SNR。
GxGSVの実際のデータ(1秒間隔の場合)
GPGSV,2,1,08,01,40,083,46,02,17,308,41,12,07,344,39,14,22,228,45*75
GPGSV,2,2,08,20,55,120,46,22,67,38,41,29,18,300,39,30,70,209,45*75
解説(1行目を例に)(上の例の2行目のチェックサムは適当です。)
知っておくとよい情報
可視衛星の衛星番号やSNR(信号対雑音比)が含んであり、受信環境を分析する際に利用される。
GSV1行で4衛星分の情報しか格納されないため、8衛星の可視状況であれば2行で出力される。
衛星をトラッキングができていないとカンマ区切りフィールドは空欄になる。
NMEAセンテンスの最初の2文字をTaiker IDといい、衛星システムを示している。つまり、GPGGAの場合はGPS衛星によるGGA。GLGGAはGLONASSによるGGAセンテンスということになる。マルチGNSSで測位・観測を行う場合GNGGAとなる。通常はGNのTalker IDを利用することになる。2000年代前半まではGPS衛星しか飛んでいなかったため、GPGGAが標準だったと思われるが、マルチGNSSが主流の昨今ではGNで統一されがちである。(古いGPS受信機はGPのtalkerIDにしか対応していないことがある。)一方で、GSVのセンテンスに限ってはGNは使われない。可視衛星を衛星毎にTalker IDで表現している。
GPGSVはGPSの可視衛星、GLGSVはGLONASSの可視衛星、QZGSVはQZSSといった具合である。
可視衛星を出力しているだけであり、計算に使用する衛星を出力しているわけではない。GGAの位置計算で使用されている衛星の情報(使用衛星)はGSAというセンテンスに格納されている。
コメント
VTGとGSVは、GGAとRMCについでよく利用されるNMEAセンテンスである。自動車関連の製造メーカーが利用する開発/解析プラットフォーム(AutowareやMatlabなど)の入力仕様としてGGAとVTGがよく利用される。速度情報を含むためであろう。VTGの方位はあくまでGNSSアンテナの対地方位なので、車や船が進行方向とは別に横方向にすべっているような場合(横滑り)、VTGの方位と車体や船の船首方向とずれが生じる。
GSVはGNSS信号の品質を簡易的に解析ができるため、簡易的な信号の品質チェックに用いることができる。典型的にはSNRが44dB以上にはなるといわれているが、仰角が低い衛星や電波環境が悪い場合は44dBに満たなくなる。高精度の測位を確実におこなうにはSNRが良好である必要があるのでGSVはよく使用するセンテンスである。