(過去の連載を転記します)義両親との不仲は離婚の理由になる? 手順とポイントを弁護士が解説夫婦や家族の問題解決を得意とする佐藤正子弁護士が読者からの相談に分かりやすく回答するこの連載。
第3回目は、「夫の両親と馬が合わず困っているが、夫は何も協力してくれません。夫と離婚することはできるのでしょうか?」という、妻からの質問です。
初出:wezzy(株式会社サイゾー)
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同居している両親とギクシャクしているのであれば、本当に大変でしょうね。私は諸事情があり、結婚前に夫に「両親との同居は無理」と伝えていました。が、別居していてもそれなりに気を使うものですよね。
離婚には3つあります。協議離婚、調停離婚、裁判離婚です。このうち、裁判離婚は原則として、調停離婚の後にしかできません。
一番多いのは協議離婚です。この協議離婚は、裁判所に行く必要はありません。話し合いで離婚すること(子どもがいれば親権者も)を決めて離婚届にサインして印鑑を押し、役所に提出すれば良いのです。話し合いで離婚を決めますので、夫の両親と馬が合わないことが理由でも、相手が納得すれば離婚できます。
調停離婚とは、裁判所で調停という話し合いの手続を経て離婚することです。話し合いでは相手と顔を合わせることはほぼありません。顔を合わせることになっても良いかと調停のときに聞かれても、断れば顔を合わせないように手配してくれるはずです。それが難しい場合は、弁護士に依頼して同席してもらうと顔を合わせないで済むでしょう。
夫の両親と馬が合わず、夫がそれに対してどのような態度なのかについて調停で話すと、調停委員という裁判所の職員が相手に伝えてくれます。相手さえ納得すれば離婚できます。
調停でも離婚ができない場合、裁判離婚を目指すことになります。裁判離婚は、離婚事由が認められれば相手が納得しなくても裁判所が離婚を決めてくれます。
離婚事由は法律で決められています。夫の親と馬が合わないのは、法律の決めた離婚事由のうち、婚姻を継続しがたい重大な事由があるといえるかどうかが問題となります。夫の親は配偶者ではないので、たとえば暴言を吐かれてもすぐさま離婚ができるというわけではありません。距離を置く、会わない、電話もとらないなど対応方法はなくはないはずです。
ただ、暴言に対して夫が両親を諌めることもなく、むしろ同調して責めてくるような場合に、夫との婚姻関係を続けることが難しいのであれば、それは離婚事由にあたり得ると考えます。相談者さんの夫は無関心ということですが、全く妻の言うことを無視しているのであれば、夫の両親との関係だけではなく、夫と妻の間でもいろいろなエピソードがありそうです。
離婚とは夫婦の問題なので、あくまで夫との関係で、夫との両親との不仲が問題になります。夫の両親との不仲について夫がどのような態度なのか、いろいろとエピソードを積み上げれば裁判で離婚が認められやすくなると思われます。メモなど作って弁護士とよく相談してくださいね。
2021.09.03
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