もう二度と食べられないものをテーマにした本、『つぶれてしまった旨い店』。
15年以上も前のこと。上京3年目の私はDJとレコードのことばかり考えていて、やりたい仕事もなかったので日々クラブに入り浸っていた。渋谷のOrgan Barで出版業界の方たちと知り合い、若さと勢いと生意気な発言しか取り柄がなかった私を面白がっていただいたのが転機。雑誌の編集部に立ち入らせてもらった後に「私もライターになろう」と思い立ち、千駄ヶ谷にある編集プロダクションで働き始めた。
同編集プロダクションの仕事は主に街の情報誌、特にグルメ特集が頻繁だったので、都内の飲食店をとに