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【世界教室】vol.5 カンボジアで体感した教育とインフラと平和

2011-12年、海外から日本の学校とオンラインで繋いで行うライブ授業「世界教室」と世界の街を走って旅する「旅ラン」をしながら世界一周約40ヵ国へ🌎 海外に行けない今だからこそ、一緒に行った気分になれるバーチャル冒険記を連載しています♪  世界教室&旅ランの詳細はこちら

カンボジアのシェムリアップでは、「Relax & Resort Angkor」というゲストハウスを拠点に有名な遺跡群を巡った。部屋は掃除が行き届いていて、テレビ、冷蔵庫にエアコンまで備わっている。おまけに、悪くはない朝食と夕食まで付いてツインルームが900円という、バックパッカーにはなんとも有難い宿だ。

しかし、この宿の決め手はそれだけではない。「敷地内でカンボジアの子ども達に青空教室を開放しています。見学可能です。」という情報を見つけたのだった。

どんなものだろうと早速覗いてみると、夕方薄暗くなってきた頃、小学生から中学生ぐらいの子ども達が徒歩や自転車で続々と集まってきた。自転車と言っても、子どもにはサドルが高すぎるような、今にもバラバラになってしまいそうな自転車に見えた。

青空教室は予想以上に開放的な空間で、簡易な屋根の下にベンチ椅子がいくつか並べられていた。子ども達はひとつのベンチに4人ぐらいが押し合いながらも仲良く座る。辺りが真っ暗になった後も、授業は豆電球ひとつで続けられた。

子ども達は先生に続いてテンポ良く英単語をリピートする。どの子も熱心に、そして意味なんて関係ないくらい楽しそうにしていたのが印象的だった。やらされ感とはまるで対照的だった。

授業終わりにひとりの男の子に声をかけると、
「学校の勉強じゃ足りないからここに来ているんだ。
 僕は将来シェフになりたい。」と話してくれた。

10歳そこそこの子が澄んだ目でハニカミながらもしっかりと夢を語る姿に、素直に感心させられた。

日本は自由があり過ぎる分、何を選んで良いのか分からなくなる人も多いのかもしれない。豊かさとの反比例。幸せな悩みではあるけれど、彼との会話は、将来そうした迷える子ども達のサポートにも関わっていきたいと思わせてくれた。


翌日宿で出会ったカンボジア人の話では、近年カンボジアは教育に力を入れていて、幾つもの学校を建設しているらしい。しかし、大半は教師の数が足りずに開校出来ないままだと言う。確かに、シェムリアップの街には建設中なのか、はたまた建設がストップしているかのような建物がいくつか目に留まった。

そして、旅ラン中「国のインフラってこうして発展していくんだ!」ということをひしひしと体感した。

土の道→凸凹過ぎるかえって危ないアスファルト道→綺麗なアスファルト道→歩道まで整備されたアスファルト道や高速道路。

徒歩→自転車→バイク→大量のバイク→車。

ジャングル→開発ビル群(混沌と公害付き)→ビル街と自然の共存。

同じアジアでありながら、これまで周ってきたマレーシア、シンガポール、タイとは明らかに違うカンボジア。土の道を走りながら、カンボジアだけポツリと置いてきぼりにされてしまったと思わずにはいられなかった。意外と最近まで続いた内戦や戦争によって、発展から取り残されてしまったようだった。

街を歩いていると、地雷で足や腕が無かったり、顔が変形している人も多く見かけた。アンコールワットなどの遺跡観光で賑わっている反面、街を良く観察すると戦争の怖さも身近に感じる。

せっかくなので地雷博物館も訪れてみることにした。それは、一万個を超える地雷を撤去した人が作った博物館。撤去だけでなく、字が読めない人でもわかる看板を作って被害防止に力を入れていたり、地雷の被害によって親を亡くしたり不自由になった子ども達を受け入れる役割も担っていた。

普段生活しているエリアを一歩外れれば、地雷の危険、命の危険がある国。
戦争が終わった後も何十年と影響が残っている。


ゲストハウスに戻ると、青空教室からは子ども達の元気な声が聞こえてきた。世界平和を願わずにはいられない平和な夜。

→vol.6

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