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相反する2つの感情が
笑いたい気持ちと泣きたい気持ちが、同時にやって来たことは、ありますか?
私は、あります。
昨年、合唱の発表会で、貼り紙係りに任命された私は、久しぶりに書道用具をひっぱり出して来て、意気揚々と書き始めました。しかし、全然上手く書けません。ようやく最後の1枚を書いた時、それはやってきました。
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「静かに閉めてくさい」
「ください」と書きたかったのに。これを見た瞬間、私には、爆笑と同時に涙が襲ってきました。
感情が昂る中、私は、これは「笑い泣き」とも違うし、「泣き笑い」ともなんか違う。あとで調べよう。と、考えてもいました。
この時の涙の理由
では、この時の涙の裏には、どのような感情があったのでしょうか。
私は貼り紙係りに任命されてからというもの、下手な字は書けない…という使命感に燃え、毎日のように、練習を重ねておりました。一ヶ月以上前から始めたので、日程は、余裕のはずでした。それなのに、やればやるほどダメな部分が目につき、何回も書き直すようになりました。紙を切っては書き直し、また切っては書き直す。というとても非効率な作業を、延々とくり返しておりました。
あんなにあったはずの時間も、用意した紙も、どんどんなくなり、私は、切羽詰まってきました。あと1枚、もうあと1枚……と思いながら、ドツボにはまっていく私。そして、あ、これはまだましかも。と思いながら書き切ったのが、この「静かに閉めてくさい」だったのです。
「もうだめだ」
その瞬間、集中がぷつんと切れ、私は書くのをやめました。
いつもこうなのです。
他の人は、仕事をサクサク進めて、余裕を持って終わらせて行くのに、私は細かいところが気になって、作業は遅々として進まず、結局いつもギリギリになってしまう。なんでか、いつもボロボロの状態になり、取り残されて、いつまでも、ここにいる。まるで人生の縮図じゃないか。そう思って、惨めな気持ちになってしまったのです。
では、なんなのか
では、この時の感情を、どう表したら良いのでしょう。
「笑い泣き」というのは、おかしすぎて、涙が出てくることです。けれど私は上述したように本当に悲しくもあったので、これは違います。
では、「泣き笑い」はどうでしょうか。
泣き笑いは、泣きながら笑うという意味なので、その意味では合っています。しかし、そのニュアンスが、違うような気がしたのです。例えば、「泣き笑い」は、嬉し泣きする時にも使われるのですが、私は嬉しくて泣いているわけではないので、これは完全に違います。もう一つの意味は、悲しすぎて、諦めの境地というか、そんな感じで、ふっと笑うということです。悲しみを超越した笑いなので、その笑いは、悲しみに由来しています。しかし、私の笑いは、「くさいになってる〜笑」という、悲しみとは全然別の所から出てきた笑いなので、これも違うのです。
一つの、書き間違いという事象から、笑いと悲しみという相反する感情が、偶然同時に生まれたのです。しかも、精神的に追い詰められていたからこその、爆笑と号泣だったと思います。余計におもしろく、絶望的でした。こんな体験は、人生で初めてだ。と、私は思いました。そう思うと、「静かにしてくさい」が、とても立派なもののように、思えてきますね。
と、いうわけで、これは、笑い泣きでも泣き笑いでもなく、「泣きつつ笑い」としたいと思います。
ちなみに、その時の顔は、泣きたいのに、心の底から笑いも込み上げて来て、どっちの感情にも対応しようとした結果、グニャっとよじれた感じがしました。今までに使ったことのない顔の筋肉を使いました。その顔は母しか見ていなかったのですが、「ブサイクだった」とのことなので、周りの視線を気にしつつ、泣きつつ笑いしましょう。