ドッペルゲンガーさんへ
駅のトイレで、「おはよう」と声をかけられた。見てみたら、全然知らない人だった。「あ、ごめんなさい」と言われた。誰かに間違われたみたいだ。こっちは悪くないのに、思わず「すみません」と言ってしまった。自分は何を謝っているのだろう。「お知り合いと、似てしまってすみません」だろうか。「紛らわしい格好をして、すみません」だろうか。それとも、「前を横切ってしまって、すみません」だろうか。わからない。そして、自分は、誰に似ていたのだろう。わからない。きっと一生わからない。自分に似ている人。近くて遠いその人。今、何をしていますか? 私はあなたに間違われて、ちょっと恥ずかしかったけど、なんだか嬉しかったです。