秋山歌謡祭で泣く
近ごろ涙もろいのは更年期のせいか。
すべてを更年期のせいにしたくはないが、少し前に映画『Perfect Days』を見て以来、涙腺が緩くなっているのか、先日『秋山歌謡祭2024』を見て泣いた女がここに。
秋山歌謡祭といえば、もともとはメ〜テレこと名古屋テレビが昨年放送した開局60周年特別番組。
カリフォルニア在住のわたしがなぜ地方局の歌謡祭の存在を知ったかというと、「ロバート秋山の『クリエイターズ・ファイル』」の熱心な視聴者であるがためにYouTubeを開けば秋山さんの関連動画が出てくるからであった。
ちなみに秋山歌謡祭は、ロバートの秋山ではなく、“アーティスト”秋山竜次の歌謡祭。いわば単独コンサート。何がどうなってそうなったかは、ロバートのファンならおそらく誰もが知っている“メモ少年”の存在がかかわってくるのだが、その話まですると長くなるので気になる人はググってください。
ともあれ、昨年好評だったその特別番組が今年も開催されることをわたしはまたYouTubeで知った。もちろん今年もテレビ放送だけでなくYouTube配信もあって、わたしは昨年と同じくらい、いやそれ以上に腹を抱えて笑った。
泣けたのはエンディングである。
アーティスト秋山竜次が歌い上げたのは、昨年もトリで歌った名曲『願い』。
自分の願いと、街角で調査した名古屋の人たちの願いを、秋山さんが熱唱するのだが、爆笑しながら聞いているつもりがいつのまにか涙していたのだ。
なぜ。
これを書いている今は見終わって数日が経っているが、なぜあんなに泣けたかはやっぱりよくわからない。ただ、大の大人が本気で馬鹿をやっている、その姿に心を打たれたというのはある。
だって、秋山さんにレーザービームなどを投射して派手に演出したい、というためのクラウドファンディングで500万以上が集まったって、そんな豪快な無駄遣いは大人だからできるこそ。その500万円には「そうしたら楽しい」という純度100%のワクワクしか入っていないってなんかすごい。
実を言うと、ロバートのことを以前は面白いと思ったことがなかった。2010年ごろからテレビを見なくなったのでそもそも触れる機会も少なかったのだが。
海外に出て、日本が恋しくなって、時々YouTubeの動画をあさるようになって、芸人さんたちのチャンネルを見るようになって、そこで発見したのがクリエイターズ・ファイルだった。
秋山さんにこんな才能があったということを、わたしはテレビの秋山さんを見ていた時には気づけていなかった。
秋山さんに限らず、テレビではそこまで面白さや魅力を感じられていなかった人が、YouTubeのチャンネルでは腹が捩れるほどおかしかったり、素敵に見えたりすることって多い。
わたしにとっては江頭2:50なんかもそうだ。
そういえば、母親が昔わたしによく言っていた。
「結婚相手が見つからなかったら外国に行けばいい。日本では受けないというだけで、広い世界のどこかにはあなたが最高に魅力的だという国なり人なりがいるはずだから」
それってきっとテレビがダメならYouTubeってのと同じ理屈だ。
もちろん、ロバートも江頭2:50もテレビでも面白かったんだろうけど、テレビというプラットフォームではわかる人にしかわからない輝きだったのが、プラットフォームを移動したら、それだけでいろんな人にわかる輝きになっているってことだと思う。
ってことは。
わたしだって場所を変えればもっと輝く可能性があるってことじゃ?
30代と一緒にいるとおばさんだけど、70代とつるんだら若い人になる、みたいな。
なんていうのは冗談だけど、自分を磨くっていう気概はいくつになっても大事にしたいと思う一方で、そろそろ、今まで磨いてきた自分を光らすという方向に舵を切って、自分探しならぬ自分を光らせる場所探しに入ってもいい年齢なんだろうな、などと思い始めている。
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