はたらくってなんだろう

勤めていた頃、私は本当に仕事ができなかった。部署を渡り歩き、ようやく多少はマシに出来る様になった場所で毎日必死だった。
仕事自体は好きだったけれど、人間関係が本当に辛かった。自分が少しでも嫌なことをされると悪鬼の如く暴れるのに、自分が他人にそれを嬉々としてする一部の先輩の姿に、ああ、こんなに人間って汚いんだと絶望した。最悪だった。本当にいつでも辞めたかった。

辞められなかった。だって、こう言ってくれた人がいたから。

ありがとう、あなたがそばにいてくれたから頑張れた。

それまで感じていた苦しみは、まばゆい光で包まれてきえていった。

こんな私のすることでもいいんですか。
貴女の心と体に寄り添えましたか。
その後も本当にいろんなことがあったけれど、その度にあの日の出来事を思い出して踏ん張った。
はたらくことは他人と繋がること。人と人との繋がりは、苦痛と癒しを運んでくる。
いいものも悪いものも、不平等にめちゃくちゃに。
それがわかったのは辞めた後だった。だいぶ病んでいたと思う。何度か職場内でカウンセリングを受けたけれど、カウンセラーは早く「問題ない」に丸をつけたい様にみえた。はいはい、そうなんですね、もう落ち着きました??みたいな。
落ち着きたいのはそっちだろ。
不信感は拭えず、ただ徒労に終わった。

出産を機に、こんなハードワークをしながら赤ちゃんを育てるなんて無理だ、と悟った。
バリバリ働いてる人たちもいるけど、私には無理だ。それまで培ったスキルを捨てても、続けて病み続けるよりマシだと思った。

職場の人間関係から離れて、全部が全部そうじゃないけれど、改めてあの場所が異常だったんじゃないかと思うようになっていた。どんなに無能扱いされてもここしかないって思い込んでた時間は無駄だったかもしれない。
ただ、そんな自分の味方をしてくれた人達もまたいたのだということだけは忘れてはいけないと思った。
きっとこうして人生は巡るんだろう。
次はもう少しお手柔らかにお願いしたい。

#はたらくってなんだろう

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