オフィスを作っていく上でこだわったアクセシビリティの話
こんにちは。
freee で障害者雇用担当をしているsatokoです。
新しいオフィスを作っていくにあたり、メンバーにどんなオフィスだったら行きたくなるか意見を集め、それを具現化したのが新しい大崎オフィス。
障害のあるメンバーにとってもできる限り同じ体験ができるよう、そこのエッセンスを入れるのが私の役割でした。
なにから始めよう?
プロジェクトが始まった当初、freeeに在籍している障害者は身体障害者(視覚障害者、下肢障害者)と精神障害者でした。
そのうち、freeeが直接雇用している視覚障害者や精神障害者の方にはどういうことに気を付けてほしいかをドキュメントベースでヒアリングしました。
具体的に挙がってきたものとして、視覚障害のメンバーからはエレベーターで「行き先ボタンを点字で表示してほしい」「タッチパネルではないボタンを設置してほしい」「到着時の方向(上か下か)、階数の音声アナウンスがついてほしい」と。
精神障害のメンバーからは執務内に「パーテーションで区切られているブースがほしい」など、障害によっても求めるものは多種多様。
共用部のものに触れる場合は、ビル側との交渉も必要になってくるため、全部を叶えることは難しいけれど、それでも工夫してできるところがあれば、突き詰めてやっていこうと挑戦していきました。
ちなみに車いすへの対応は一般的な配慮内容を基に計画をしていて、当事者に直接ヒアリングするということはしていませんでした(これが後に大きな過ちだったと気づきます)
車いすへの配慮として考えていたのは
段差はなし(あればスロープをつける)
セキュリティドアは重くて開けるのが難しいので、自動ドアあるいはスライドドアに変更
セキュリティセンサーは車いすに座ったままでも届く高さにする
などです。
さて、どうする…?
オフィスの設計で具体的に何をしたのかは他のメンバーの記事をご覧いただくとして、私自身は主要なMTGには全て参加して、アクセシビリティに触れる部分があれば、都度発言するという感じでした。
初期段階で頭を悩ませたのは、五反田オフィスより倍以上増えた会議室の名前です。
freeeの会議室名は五反田オフィス時代の時から10階は雲の名前、9階はツバメの名前、8階は会計用語、6階は人事労務用語、地下1階は地下に生息する生き物など、それぞれテーマを決めていました。
大崎オフィスでも同じようにテーマを持って会議室の名前をつけようということになりましたが、そもそも構造がよくわからないのに、どこに何があるのかがイメージしにくく、慣れないうちは障害のあるなしに関わらず迷ってしまうと思います。そして、視覚障害者にはさらにつらい…
あと、大崎オフィスのフロアはロの字型になっていて、構造的に目立った特徴も少ないため、自分が今どの位置にいるかも分かりにくくなっています。
元々ビルがエリアを色で区画分けしていたので、色の濃淡で分けるかという話も出たこともありましたが、色の違いによる表現は視覚障害者や色弱者にはわかりにくいため、その話はすぐになくなりました。
最終的には、フロアを四つに区画を分けて、それぞれのエリアを四則演算(+ー×÷)で割り当てることになりました。
これだけ広くかつ数が多いと、障害者でなくても会議室がどこにあるかわからないよねということで、色々な種類のマップやサインを制作することになりました。
また、会議室や場所を示す全てのサインには、はじめから点字を入れています。
あとからつけたものと比べると、使用者からしても触り心地はやはり違うみたいです。
当事者からの率直な感想
◆視覚障害の場合
【良いところ】
移転途中の段階から、どうすればわかりやすくなるかをこまめにヒアリングしてもらえた。
当事者としての意見を正直に言うことができた
可能なものについては対応してもらえた
対応が難しいところは、どういった理由で難しいのかをフィードバックしてもらえた。
困ったことがあったら相談に乗ってくれるとわかり、安心した。
全社員に開放される前に下見をさせてもらえた
設備について説明してもらえた
点字がついている箇所を事前に教えてもらえた
メインの出入口はもちろん、時間帯によっては使わなければいけないいくつかの出入口について、実際に歩きながら解説してもらえた
点字がついていることで安心できる
会議室の名前がわかる
ドリンクサーバーで飲みたいドリンクを自分で選ぶことができる
共有スペースの入室可能/不可能状態がわかる
会議室名などの点字表示について、事前に細かく確認し、必要があれば修正することができ、実用的な点字表示になった
【困ったところ】
ソフト面では、事前の相談がなく、アクセシビリティが発展途上のシステムが導入されてしまった
オフィスに入館するためのセキュリティシステム
アプリ読み上げソフトの対応が不十分だった
導入が告知された後に判明した
自分で登録しようとして完了まで到達できなかった
執務エリア内で通路とそうでない部分が床材の違いなどから容易に分かるようになっていないという、五反田オフィスでも存在した問題が引き継がれてしまった
見えないと使いづらい設備が少なからずある
牛丼の自販機
1台くらいは見えなくても簡単に使える電子レンジがあるとよかった(今あるやつもちゃんと覚えれば使える可能性はあるけど、見えていれば覚えなくても使えるわけで…)
◆聴覚障害の場合
【良いところ】
執務室へ入る部分のドアや会議室のドアはガラス張りだったので、使っているかどうかが見えてよかった
【困ったところ】
階段から共用部(エレベーターホールがある廊下)に出る扉はガラス張りではないため、突然人が来るのでは?と怖く感じるときがある
◆下肢障害(車いす利用者)の場合
【良いところ】
だれでもトイレが各フロアにあって、広くて使いやすい
エレベーターが広い
ビルに入っているコンビニが広い
各部屋の入口がフラット
【困ったところ】
絨毯の材質なのか、車輪への抵抗を感じる
開き戸が重い(自動ドアは通りやすかったが、それ以外の開き戸が重くてつらい)
リフレッシュスペースのカウンターが高い
段差によっては入れないところがある
今後について
3回建てないと理想の家は作れないという言葉がありますが、私も初めてオフィス移転に加わり、色々気づかされることがたくさんありました。
そして、理想のものに近づくには、まずは当事者に聞いてみるのが鉄則だと痛感しました。
当事者からの率直な感想にもありましたが、今回のオフィス移転プロジェクトでは、車いすを使用しているメンバーへのヒアリングが十分でありませんでした。
今回はご本人達から新オフィスを利用してみての感想を率直に言ってもらって気づけた部分もたくさんあります。
構造上の問題だったり、予算上の都合上だったりで、全部をクリアすることは難しいかもしれませんが、みんなで意見を出し合うことで、よりみんなが使いやすくなるよう工夫したりHackできたりしたらいいなと思っているし、実際その方向で話を進めていってます。
移転直後にはできていなかった部分も少しずつ形になっています。
たとえば、五反田時代にもやったタッチパネル式のコーヒーマシンに点字をつけるHack。
使っているうちに気づくこともあると思うので、使っている人が不便を感じながら我慢して使うのではなく、「実はこう思ったんだけど」と率直に言い合える関係を作っていくことも改めて大事だなと思いました。
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