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日本橋に春の訪れを告げる「三井家のおひなさま」
三井記念美術館で開催される「三井家のおひなさま」を今年も観に行ってきました。
三井家の女性たちが大切にされてきた雛人形やお道具が一堂に公開され、豪華な逸品が並べられる華やかな展覧会。
毎年この時期に開催されるため、私も楽しみにしている展覧会の一つになっています。
また今回は特別に京都の「丸平文庫」(古くからある京都の丸平大木人形店の資料室)が所蔵する雛人形も展示されるとのことで、そちらも楽しみにしていました。
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そもそも三井家とは
日本三大財閥の1つ。江戸時代中頃に日本橋で「越後屋呉服店」を開業。急速に業績を拡大し幕府の御用を承ることになり、のちに両替商もはじめ幕府の為替御用を受けるようになり莫大な財を築き、江戸時代を通して豪商としての地位を保ち続ける。
明治時代に入り銀行・貿易・海運・鉱山・繊維など全産業にわたる財閥を確立したが、戦後GHQの財閥解体によりグループの経営権を失った。
そんな豪商三井家に嫁がれた女性は大名出身の女性たちも多く、旧富山藩主前田家から伝わったものや、結婚後に三井家で新たに作られたもの、また三井家で生まれた女性の初節句に際しあつらえられたものなどさまざまな年代や種類の贅を極めた逸品揃いのひな人形やひな道具が展示されています。
特に会場の冒頭では独立したケースにさまざまな人形や道具が収められ、一つ一つが浮かび上がるような展示方法でとても雅やかな雰囲気でした。
江戸から令和に至るまでのひな人形の時代による変遷
今回の展示では三井家に伝わるもののほか、京都の丸平大木人形店所蔵のお雛様も展示されていて、宮中や華族、財閥家に愛された歴代の大木平蔵の優美で雅やかな内裏雛を中心に、大木家の初節句を祝ったお人形、明治天皇皇后の人形など多彩なお人形を見ることができます。
まず最初に目に入るのが三井高棟氏の夫人苞子(もとこ)の旧蔵品「享保雛」
江戸時代中期(享保年間)に流行した享保雛は豪華な衣装に丸っこい体型。面長で能面のような顔立ちと金襴や錦など上質な織物製の装束をつけ、男雛の袖が左右に跳ね上がっているのが特徴。比較的大型のものが多い。この時期の江戸では大型の雛飾りを競い合う流行があり、享保6年には幕府から8寸(約24cm)以上の雛人形を禁止する触書まで出たそうです。
また時代とともに人形だけではなく婚礼道具のミニチュア版も雛壇に飾られ一層豪華になっていきます。
今回の展示では1室だけ撮影ができる場所があったので、私もカメラに収めてきました。
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また雛人形だけではなく御所人形や市松人形、風俗衣装人形などさまざまな世相や風俗を題材にした人形も展示されていて、桜の樹の下で無邪気に遊ぶ可愛らしい子供の人形も楽しむことができました。
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丸の内の静嘉堂文庫美術館でも「岩崎家のお雛さま」が開催中
今回な時間がなくて行けなかったのですが、丸の内にある静嘉堂文庫美術館でも三菱4代目社長の岩崎小弥太が孝子夫人のために丸平大木人形店であつらえた「岩崎家雛人形」が展示されているそうです。また岩崎小弥太の還暦を祝して特注した御所人形も展示されているようなので、時間のある方は見に行ってみてはいかがでしょうか?「三井家のおひなさま」の半券を提示すれば入館料が割引されるようです。
いつの時代も子供の成長を願う気持ちは同じ
最近は住宅環境も変わってきて一般家庭ではひな祭りに豪華な雛飾りをする家も少なくなってきましたが、親が子供を慈しみながら成長を願う気持ちはいつの時代も同じ。江戸時代に日本橋ではひな人形の市が立ち多くの人で賑わったと言われています。美しい雛人形を眺めながら日本の伝統文化に触れ、心温まる時間を過ごすことができました。ご興味ある方はぜひ日本橋に訪れた一足早い春を感じにお出かけされてはいかがでしょうか。
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