Webと紙のどちらが「自由」なのか。
23歳から31歳までの約9年、私は紙の世界で生きてきました。
新卒で紙の専門商社に入社後、ペーパーレスが叫ばれる一方で、世の中ではスマホが普及し、どんどんIT化が進んでいきました。
Googleマップがない時代はどうやって知らない場所に行けてたの!?もう思い出せません。
…とまあ、テクノロジーの恩恵にあずかりつつも仕組みは全然知らないまま。なんとなく、便利!すごい!でも難しそう!くらいの感覚だった気がします。
そのときの私にWebと紙のどちらが「自由」だと思いますか?と聞いたら、多分「Web」と答えたんじゃないかな。
だって、紙は印刷したら最後、修正できないけど(最悪の場合、刷り直し…)、Webなら簡単に修正できるから。だからこそ、SNSやブログで好きに発信できる。
紙媒体は好きだけど、自由度とハードルの低さは圧倒的にWebの方が上、そんな認識でした。
ところが色々あって、3年前に思いがけずWebメインの会社に転職することになります。
そこで思ったんですよね。果たして思っていたほどWebは自由なのか?
確かに好きに発信できる、ですが、こと仕事に関しては「見られなければ意味がない」と初めて気づいたのでした。そして、発信しただけでは勝手に誰かが見てくれるわけではないことも。
で、見られるためにはどうすればいいのか?その答えの1つがSEOです。
SEO…Search Engine Optimization の略。
日本語にすると「検索エンジン最適化」。
特定のキーワードで、Webサイトを検索結果の上位(1ページ目の上の方)に表示させるように対策すること。
日本では7割以上の人が検索エンジンとしてGoogleを使っているので、「SEO対策=Googleの検索結果の上位にあげること」といっても差し支えないと思います。
SEO対策の詳細はこのnoteの趣旨とは異なるので割愛しますが、検索上位にあげるためには、ユーザーが検索しそうなキーワードを文章に入れる必要があります。私が勤めていた会社では「とにかく文字数多く!文章内にいっぱいキーワード散りばめて!」という傾向が強かったです。
つまりは文章として魅力のある表現<SEO対策に有効な表現なのです。
わかりやすいように具体例を出してみます。ちょっとやりすぎくらいに盛りましたが、下記の文章をご覧ください。フィルムカメラについて紹介する記事の冒頭を想定しました。
レトロでおしゃれな写真が撮れるフィルムカメラ。実は、新しくフィルムカメラを始める人が増えてきています。ですが、初めての方はどんなフィルムカメラを選べばいいか難しいですよね。
そこでこの記事では、フィルムカメラ初心者の方におすすめのフィルムカメラをご紹介します!
何回フィルムカメラって言うねんーー!!(笑)っていうくらいキーワード「フィルムカメラ」を盛り込みました。こうすることで、Google側が「あ!この記事はフィルムカメラについてのページなんだな、ユーザーに有用な情報が載ってるから『フィルムカメラ』の検索結果ページの上位に載せよう!」と判断するわけです。
続いて「フィルムカメラ」をそこまで盛り込まずに書いた文章です。
レトロでおしゃれな写真が撮れるフィルムカメラ。実は、新しく始める人も増えてきています。ですが、初めての方はどんな機種を選べばいいか難しいですよね。
そこでこの記事では、初心者の方におすすめのフィルムカメラをご紹介します。
2個目の方がすっきりしてて個人的には好きなんですが、これではGoogleが「フィルムカメラ」の記事だと認識してくれないかもしれません。SEO対策の観点から見ると、1個目の文章の方が適しているといえます。
キーワード詰め込んだだけ・文字数多いだけの中身のないサイトはもう通用しないとは言われていますが、やはりまだある程度キーワード詰め込みの傾向は残っているのではないかなあ、というのが個人の実感です。(ここはSEOのプロの意見が聞きたい)
その点、紙媒体の文章にはSEO対策は必要ありません。SEO対策はページをユーザーに見つけてもらうために行うもの。紙媒体の場合、読み手が文章を読むときにはすでにその媒体は手に取られているので「見つけてもらう」手段を講じる必要がないのです。
(もちろん、読み手が途中で読むのやめないよう、魅力ある文章にする必要はあります)
そういった意味では紙の方が文章の自由度は高いのかな、と。Google先生を意識しなくてもいいわけですから(笑)。
別にSEO対策が悪だ!と思っているわけではないでのすが、「Webが自由で紙は不自由、とは言い切れない」というのが紙とWebどちらの業界も見た、今の私の答えです。
どちらにもいいところがあるからこそ語り合いたい
私は紙業界からWeb業界に転職して、どちらの世界も覗きました。どちらにもいいところがあるし、どっちも好きだけど、実際は紙業界にいる人は紙だけ、Web業界にいる人はWebだけを極めがちなので、交わらないんですよね。
業界を横断して語り合えたら面白そうなのになあ、と思います。
noteとSEO
最後に、このnoteの話をちょこっと。
noteを始めるとき、最初はブログにしようか迷いました。色々調べていくうちに、SEO対策を頑張ってブログの検索順位を上げる努力をするよりは、元々あるプラットフォームを使った方が便利だし多くのユーザーに届きそうだと考え、noteを選びました。noteがSEOに強くなっている、という記事も見かけましたし。
それに何より、検索順位を上げることよりも文章の自由度を優先したかったのでした。個人の活動ですしね。
実際、書くときにSEOはほぼ意識していなくて、タイトルに「紙」か「ペーパー」を入れるくらいしかやっていません。
それでも記事によっては「クラフト紙 種類」で検索すると1ページ目に来ていたりするので、ありがたい限りです。
なので、タイトルに検索キーワードになるような単語を入れておけば、あとは内容がともなってさえすれば、ある程度気にせず書いても大丈夫とも言えるのではないでしょうか(たぶん)
このnoteは、紙というアナログな物質をWebで発信して情報化していくという試みでもあります。Webは更新し続けることに意味があると思っているので、これからも細々と続けていく所存です。
皆さんは、Webと紙のどちらが「自由」だと思いますか?
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