見出し画像

雨の匂い

「あなたの記憶を刺激することが多いのは、なんの香り?」

あるホームページでこんな設問を見つけたのですが、「香水」「食べ物」「動植物」などの選択肢せんたくしをさしおいて、「土地や建物特有の香り」がダントツの一位だったのです。

ぼくは少し意外な気がました。

アロマを楽しんでいると、「ハーブ」や「食べ物」が最初に浮かびます。

「香水」の思い出だってあるはずです。

     ☆     ☆     ☆

でも、よく考えてみると、この結果はきわめて妥当だとうなのではないかと、思い直しました。

なぜなら、私たちの生活でもっとも多くの時間を費やしているのは、「建物の中」だと気づいたからです。

アロマを楽しんでいると、精油せいゆ(エッセンシャルオイル)の香りに特別な想いを抱きます。

でも、生活の中にも様々な香りがあります。

そして、そこに生きる私たちをいろどっていることを、改めて意識したのでした。

     ☆     ☆     ☆

それで思い出したのですが。

ブログの世界で、「雨の匂い」という言葉が話題となったことがあります。

お天気キャスターがテレビ番組で紹介したそうで、「お天気となかよくなれる本」を引用したのだとか。

さっそく本を取り寄せ、そのページを何度か読み返しました。

お天気となかよくなれる本

それによると、植物が発する化学物質(フィトンチッド)や、ある種の油分が、土壌にある鉄分を触媒しょくばいとして「雨の匂い」になるのだそうです。

そしてその匂いは、雨が降る前の相対湿度が八〇%を超えると発散し、雨とともに流されてしまうそうです。

かくもはかない香りですが、子供のころから感じていた、「雨が降る前の土の匂い」はこれだったのかと、謎が解けた思いでした。

     ☆     ☆     ☆

それとともに、人は自然環境からいろいろな香りを受けて生活していることを、あらためて思い知らされました。

ふだん気がつかない香りでも、嗅覚きゅうかくの感度を上げれば、感じるものが、たくさんあるのですね。

香りを感じることは、生活を豊かにいろどることだと思います。

・・・おわり

     ☆     ☆     ☆

天気となかよくなれる本
世界気象博物誌 Gary Lockhart〔著〕 


いいなと思ったら応援しよう!