竹屋釜めしー群馬県片品村ー
群馬県がリンゴの産地であることは、あまり知られていない。青森や長野の存在が大きいからだと思う。農林水産省の資料によれば、両県での収穫量が全体の80%弱と、圧倒的な量を占める
群馬県でのリンゴ収穫量は、全国の1%程度。まあ知名度は低いが、リンゴはうまい。とくに「ぐんま名月」という品種は、甘みがつよく、酸味も感じられ、みずみずしくて美味しい。
この時期になると、美味しいリンゴをもとめ、群馬県を旅する。馴染みのリンゴ園があるからだ。「ぐんま名月」も美味しいが、ぼくは「こうたろう」という品種がお気に入りだ。
リンゴ狩りを楽しんだ後は、これまた馴染みの竹屋で、釜めしを食べるのがお決まり。そう、ここで紹介したいお店だ。
国道120号線(日本ロマンチック街道)を日光方面へ進み、片品村の「道の駅尾瀬かたしな」が見えてきたら、お店はすぐそこ。カーブする道沿いなので、行き過ぎないように注意したい。数台分の駐車場がある。
入り口を入ると、正面のまどに尾瀬大橋が映る。そして、その先に尾瀬方面の山並みが浮かぶ。この景色が気持ちいい。
このお店は、中年の御夫婦二人で切り盛りしているようだ。なんどか訪れているが、いつも二人だけ。それが、家族的な雰囲気を醸しだし、とても居心地がいい。
店内は、椅子席と畳の席があり、コロナ対応時の名残が、いまでも感じられる。のんびり食べたいなら、靴を脱いでの畳がおすすめだ。
メニューは各テーブルに置かれている。みると、各種の釜めしのほかに、うな重や天重を選ぶことができる。釜めしが目的なので、他のメニューを頼んだことはないが、いつかうな重(国産)は食べてみたいと思っている。
メニューの裏面には、一品料理や飲みものが書かれている。個人的には、日本酒の水芭蕉がおすすめだ。フルーティーでスッキリ美味しい。川場村に造り酒屋があり、道の駅田園プラザでも買えるので、自分へのお土産に買い求めたい。
さて釜めしだが、一般的には二種類がある。
ひとつは、大釜で炊き上げた飯を、釜の形をした陶器に盛り付けたもの。代表格は、横川駅で売られている峠の釜めしだろう。それ以外にも、奥多摩の方にいけば、同様の釜めしを食べることができる。
大釜で炊き上げた米は、ふっくらして美味しい。ぼくも、横川へ行けば、かならずドライブインに立ちより、峠の釜めしを食べるし、お土産に買って帰る。
それに対し、もうひとつが、小さな羽釜をつかい、米から炊き上げるもの。ここ竹屋の釜めしは、こちらのほうで、炊きたてが食べられるのが、最大の特長だ。
注文してから炊き上げるので、30分くらい待つ覚悟が必要だが、待っても食べたいのが、この釜めしなのだ。
なにしろ、ご飯が美味しいし具材も美味しい。それと、羽釜で炊くので、お焦げが楽しめる。この香ばしさは、陶器の釜めしでは味わえない。
片品村は、群馬県でも奥地にあるので、食べに行くには、それなりの時間と余裕が必要だ。でも、個人的には食べる価値があると思っている。
とくに、街にハロウィンの装飾があらわれるころ、付近の山々が錦秋にそまり、さまざまな味覚が楽しめる。吹割の滝や丸沼高原へドライブするなら、ぜひ昼食は竹屋をお勧めしたい。
おわり