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11.宇山

宇山のプレーは読めない。
フェンシングは基本、駆け引きが大事だが、相手が宇山の場合、動きや考えを読もうとすると沼にハマる。
僕とは同い年ということもあり一緒に懐かしのバンドの話から最近の曲についての話もよくする。
好みの音楽の方向性は合うがフェンシングの方向性は多分違うんだろう、僕と宇山のフェンシングは全然違う笑

ただ、その宇山とフェンシングでシンクロしたなと思った瞬間が二度ある。

一度目は2019年3月のアルゼンチンで行われたワールドカップで日本が初の団体優勝をした時。
日本は決勝でスイスと対戦し8点差ほど離されていた(記憶が少し曖昧)。
しかし宇山がその試合で8点差をひっくり返し見事日本は初優勝を飾る事が出来た。

その時の宇山の試合を見てて僕は鳥肌が立った。
ステップのリズムや剣を叩く音(タイミング?)が全てが完璧に思えたからだ。
また相手が迷ってるのも手に取るようにわかる。
「宇山そこだ!」「相手がびびってるぞ!」
と会場で僕は声を枯らしながら叫び、次の動きを勝手にイメージした。最高の動きを。
そのイメージを宇山が次々と現実に変えていた。
感覚としては格闘ゲームでコマンドを入力し、コンボが決まる様な感じだった。
宇山の追い上げに感化される様に試合会場、観客席が異様に盛り上がり、大きなスタンディングオベーションの嵐。

そして二度目はこの東京オリンピック初戦のアメリカ戦
日本はリードを許し見延さんに代えて宇山。
彼が動き出した瞬間僕は彼のステップのリズムや剣を叩く音が全てがまた完璧に思えた。
相手選手が困惑してるのが画面越しだが手に取る様にわかる。
宇山はその試合をすでに支配していた。
まるで指揮者の様。

宇山が点を取ればベンチは盛り上がる、自然と僕も声が出る。
途中で点を取られてもプレーを否定しない。
「ナイストライ!」「惜しかったぞ!」、むしろ勢いを殺さない為にその姿勢を褒める。
エペジーーンではそうしてる。
するとピストに立つ宇山はエペジーーンの期待を力に変える。
また、宇山はエペジーーンを鼓舞する様にプレーをする。
お互いの相乗効果でエペジーーンは何倍、何十倍にも強くなる。

いきなりキツい場面での交代、あのフェンシング。
改めて宇山、マジでかっこよかった!

エペジーーンの危機を救う救世主!

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