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生産者訪問#3|有機純米酢|河原酢造
福井ツアーレポ①:1823年創業、福井県大野市で7代続くお酢屋さん〈合名会社 河原酢造(こうばらずぞう)〉。原料となる有機米の1/3量を自社栽培し、お米からお酢づくりまで一貫して自分達で作っています。
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純米酢とは?
純米酢は、「純粋にお米だけで作った酢」のこと。
お酢がどうやって作られるかというと、
米麹とお米で甘酒をつくる
↓
酵母(アルコールをつくる菌)を入れてどぶろくをつくる
↓
酢酸菌(お酢をつくる菌)を入れてお酢をつくる
ザックリ言ってこんな感じ。
酵母や酢酸菌は原材料表示にならないので、原材料「米」以上!ってこと。
お酢は本当は時間がかかる発酵食品で、むかーし昔は高級調味料だったんです。
ちなみに、〈米酢〉は、お米の他に麦なども使っていて、その中でのお米の割合が多いお酢のこと。
米酢とは?
米の使用量が穀物酢1Lにつき40g以上のもの(米黒酢を除く。)をいう。
お酢のつくりかた
全面発酵と表面発酵
お酢の製造方法は大きく2つ。
タンクに入ったアルコールに酢酸菌と空気を送り込んでチャッチャと数時間で作れちゃう〈全面発酵法(速醸法)〉→近代的。大量生産型。お酢の酸味がキツくなりがち。
タンクに入ったアルコールに酢酸菌を入れて数ヶ月ひたすら待つ〈表面発酵法〉→伝統的。時間がかかるが、まろやかな酸味とうま味がある。
〈表面発酵〉に見られる、酢酸菌膜。酢酸菌は空気が好きなので、桶の表面でしか活動しない。
酢酸菌の働きで表面にあるアルコールが酢に換わると、アルコールよりも比重の重い酢は桶の下に沈んでいく。同時に、比重の軽いアルコールが上に行き、酢酸菌がそのアルコールを酢に換えていく。
自然の対流が起こり、ゆっくりじっくりお酢になる。
初期の段階ではシナプスのように菌糸が張り巡らされるが、時間が経つと下の写真のように分厚くなるらしい。
人もお酢も、時が経つと面の皮が厚くなる(笑)。
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伝統製法〈静置発酵〉
〈表面発酵法〉をしているお酢の中で、醸造アルコールを原材料に使わないつくり方をしているものを〈静置発酵法〉と言う。最も古いつくりかた。
全国的に、お酢のメーカーは醸造アルコールを原材料として購入し、酢酸菌を加えて酢をつくっているところがほとんど。
そんな中、河原酢造さんは、自社で麹をつくり、アルコールをつくり、伝統的な静置発酵法でお酢をつくっている、とても希少なお酢の蔵。
自社栽培の有機米
そして、さらに河原酢造さんのすごいところは、自社でお米をつくり、さらにさらに、そのお米が有機栽培米というところ!
原料となるお米の1/3量を栽培し、残りは農家さんから仕入れているそう。
1.4haの広さに紙マルチという紙を田植え時に田んぼに敷いて、初期の雑草を抑えている。紙マルチは40日で土に還る。
抑えは効くけど、紙代もバカにならないのだとか。
日本酒づくりとの違い
自社でアルコールから作っている河原酢造さん。お米はアキサカリという地元の飯米(酒米ではなく、普通に食べられているお米)を使用。
日本酒はたいてい、玄米を30%以上磨くけれど、お酢の場合は10%磨く程度=白米と同じ程度。日本酒では雑味となるお米の外側の部分がお酢では“うま味”となる。アミノ酸度は日本酒の5倍あるそう。
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そして、90%ほどに削ったお米は、ガシガシ洗う。酒は水流と気泡で優しく素早く洗うのが肝だが、削りがすくないお酢のお米は糠臭などを取り除くためにガシガシ洗う。「いい米を作ることやきちんと洗うこと。これらの原料処理がいいお酢を作るための命です」と河原さん。
酢も腐る?
「お酢は発酵の最終形態だから腐らないでしょ?」と思っていた私。そして、「酢酸菌が生きていても問題なさそうなのに、なぜ加熱殺菌をするのか?」という疑問を河原さんに伺った。
酢酸菌を殺菌しないと、今度は酢のなかにある酸を酢酸菌が消費し始めて(過酸化と言う)、変な香りになってしまいます。うちでは瓶詰の前に80℃で殺菌しています。
開封前は無菌状態ですが、空気中にも酢酸菌はいて、開封後に酢酸菌が入り込む場合があり、味が変化してしまいます。酢酸菌が働きやすいのは35℃前後なので、特に夏場は冷蔵庫に入れたほうが味が変化しにくいです。
クセが少なくバランスの良い味
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こだわりのお酢は、特長が際立って、料理に使いにくい場合も多い。
けれど、河原酢造さんのお酢は、酸味がしっかりしていてうま味もあり、クセが少ないキレイな味。どんな酢料理でも際立ち過ぎずにうま味もしっかり加えてくれるとても使いやすいお酢だな。
〈老梅(ろうばい)〉という名前は、
・老=ゆっくりと時間をかける
・梅=昔ながらの酸味料
から来てるそう。
とてもお値打ちなおいしいお酢でした。
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