【Vol.686】部下と“一緒に”取り組む!
【本のタイトル】
誰もが人を動かせる!あなたの人生を変えるリーダーシップ革命
【著者】
森岡毅
【引用文章】
何もかも上司が決める組織では、人は育ちません。自分のプランと思えるものを発動しないと、その結果が自分の責任だとは思えないのです。失敗したら自分の責任と思えないのであれば、意思決定の訓練ができません。したがって、ギリギリの状況での判断力の土台になる胆力「ガッツメーター」が育たない。どんな立場であっても、その役割なりの意思決定の権限がなんであるかを明確にして、その範囲で意思決定のドキドキをできるだけ練習させるべきだと私は考えています。もちろん取れるリスクの範囲だけを割り当てていくことになりますが。
そして、上司が目的と戦略さえ見ていれば、部下の繰り出す大抵の戦術は的を大きくは外しません。それが「一緒にやること」の意味です。目的と戦略とは、その方向に飛んだら正解があるという揺るがない指針だからです。したがって、丸投げ完全放牧の上司は無能であり、しかも無責任です。存在する意味がありません。一方で、完全に部下の仕事を奪う上司も理不尽であり、存在する価値がありません。だから上司の立場にある人は、目的と戦略だけは一緒に知見を加えて、議論の末に決断して明確に縛る。その方向性に沿って、戦術段階では達成すべき期待値を明確に示した上で、本人に必死に考えさせて飛距離を出させるのです。それが不合格の50点だと困りますが、70点でも、80点でも、90点でも、その時に取れるリスクに応じて本人のパッションを可能な範囲で買うことにしています。それからできる限り良い結果を出すようにできる限りの支援をしてあげてください。
そして、もしも失敗したとしても、自分が挑戦させて失敗したのですから、少なくとも本人のキャリアが拓けていくように、自分の信用貯金で何とかするのが上司の器量だと私は思っています。もちろん、本人のパフォーマンスは評価で公平にカウントするのは前提ですが、そもそも取れる範囲のリスクしか部下には与えていないはず、しかも目的と戦略をしっかり見ているのですから、上司は部下の出した結果に全責任が負えるはずです。その前向きな失敗は部下の貴重な財産になりますので、決して失敗ではなく組織の未来への投資なのです。つまり取れる範囲のリスクで部下に挑戦をさせて、成功だけでなく失敗も経験させることができる上司は、非常に有能なリーダーといえるでしょう。
そうやって部下の意見を容れるやり方を続けていくと、少なからず嬉しいことが起こります。上司は自分のことのほうが正しいと思いがちなのですが、本当のところは何が正解かはやってみないとわからないものです。部下の考えの方が自分の予想を裏切って高得点を取ることだってあるのです。私もその頻度が高まってきましたが、それはリーダーシップ冥利に尽きる心の底から嬉しい瞬間です。自分一人で出せる限界を遥かに上回る成果を、自分が他者を活かせたことで実現できたのです。それこそがリーダーシップの本質です。
【具体的アクション】
リーダーシップ力を高めるために、部下と“一緒に”取り組む!