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アンチドーピングについて
お久しぶりのnoteです。
今回は…というほど書いてはいないのですが、
花粉症についてのこのツイートにちょっと反応があったので、ドーピングについて書いてみます。
花粉症、プロスポーツ選手はステロイドが入っている内服薬が使えないので(点鼻と点眼は可)、治療が限られちゃうんですよね。
— 佐藤 秀之 / Hideyuki Sato (@Hideyukisato12) March 5, 2023
ユース世代のうちに舌下療法をしておくか、花粉時期の前にレーザーをしておくか
市販薬やサプリを選手に勧めるのは🙅です(特にサプリはドーピングの可能性があるので)
なお、サムネ写真のドーパンは特に今回のnoteとは関係ありませんが、どうしてこんなバンド名なんでしょうか、ドーピングパンダ。
はじめに
そもそもドーピングがどうしてしてはいけないのか。
スポーツ界でドーピングというものが注目されたのは何といっても1998年ソウルオリンピックのベン・ジョンソン。
100m9秒79と、当時ライバルだったカール・ルイスに圧倒的差をつけて優勝したのですが、試合後のドーピング検査でステロイドが検出されてあえなくアウト、その数年後にもドーピングで引っかかり、陸上界から永久追放となりました。
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と言わしめた筋肉。
ドーピングがなぜいけないのか
実は、Jリーグが選手向け?の資料を作っています。
一言でいえば
・ドーピングをした時点でフェアではなくなる
・スポーツの価値が下がる
ということでダメということになっています。
…で、ドーピングはもちろんダメなのですが、気をつけなくてはいけないのが、
◯本人に悪意がなくてもドーピングになってしまうことがある
◯ドーピングと判定されると選手生命が終わる
ことなのです。
サッカー関係で言うと…
最近では名古屋グランパス・シュヴィルツォク選手のこれ。
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AFCから4年間の活動停止という厳しい処分が下されました。(その後、サプリメントが原因だと提訴し、それが通ってポーランドのチームに入団したようですが)
そして、20代は知らないかもしれない、川崎フロンターレ 我那覇選手の冤罪事件。
実際、我那覇選手は全く悪くないのですが、具合が悪くて病院で点滴をした事が悲劇を生んでしまいました。
これら両方とも、繰り返しますが
本人に悪意はなくてもドーピングととられてしまうことはあり、そうなると被害は甚大
なのです。
では、実際どういうものがドーピングにあたるのか
こちらが、代表的な「使用して良い薬」になります。
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使って良い薬は比較的多いのですが、気をつけなくてはいけないのが
①ステロイドの経口、注射、経直腸はダメ
(ケナログなど、口内炎のステロイド塗布薬すらダメなのです)
②漢方薬は全て「ダメとはいえないが、漢方薬は全ての含有物質が明らかになっているわけではないため、禁止物質を含まないと断定することが困難」
③市販薬も同様で、上記と完全に一致するもの以外は添加物などで引っかかる可能性がある
です。
選手が薬物を使う時にそれが使って良いものなのかどうかを確認するのもチームドクターやトレーナーの仕事になります。
なお、病気の治療上どうしても使わなくてはいけないものに関しては、TUE(Therapeutic Use Exemptions=「治療使用特例」)の書類を申請して、許可を得た上で使うことが認められていますが、この書類も年1回書類を書いて更新しなくてはいけません。
ちなみに余談ですが、芍薬甘草湯という、足が攣りやすい人に使う薬があります。昔の日本リーグ時代は試合中に足がつらないように、試合前にこれを飲んだりしていたそうです👽
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サプリメントについて
結論から言うと、基本ダメ、使うなら自己責任です(たまにSNSでサプリを宣伝している選手もいますが…)
実際、大手メーカーなどは「ドーピングにかからない厳しい基準で…」など謳っていますが、
数年前から日本スポーツ協会も、サプリの分析やら認証は行わなくなり、「サプリはあくまで自己責任で」というスタンスになりました。
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一番のポイントが、サプリは医薬品ではなく「食品」に分類されるため、商品の成分表にすべての原材料を表示する義務がないということです。
実際、昨年ラグビーで選手が一人ドーピング違反で5ヶ月の資格停止となっているのですが、
その選手は禁止物質を含まず、ドーピング違反にならないと確認した上で、サプリメントを摂取。サプリメントには禁止物質が含まれているとは表示されておらず、製造者も禁止物質が含まれていないと考えていたそうです。しかし、理由は不明とのことだが、当該サプリメントに禁止物質が混入していたことが、体内から禁止物質が検出された原因だった。
…とのことでした。
さすがに情状酌量の余地があるということで出場停止期間が減ったようですが、世の中に(ドーピングに関して)100%安全ですというサプリはない、と言うことです。
個人的には、大塚製薬や森永など大手のもので運悪く引っかかってしまったら仕方ないとは思いますが、「自然由来の物質しか使っていません」みたいに謳っているものに関しては一番手をつけてほしくないと思っています。
チームやプロスポーツ選手にはこの手のサプリメーカーが次々と寄ってくるのですが…それが魔の手にならないことを願うのみです。
(もちろん、プロテインなど必要なものもあるんですけどね)
栄養ドリンクについて
これがまた難しいところなのですが、リポDやユンケルは、ドーピングに対して大丈夫だよ、とHPにも書いてあります。
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しかしこれがまた曲者で、ユンケルと言っても
ユンケル黄帝液、ユンケル黄帝ロイヤル、ユンケルスーパー黄帝液etc何十種類もあり、もちろんそれぞれ成分が変わってくるんですよね。
ですので、大手の会社が「この製品は大丈夫」と言っているもの以外は、『わからないからやめておいて』になります。
レッドブルに関しては、数年前はドーピングにも大丈夫となっていたのですが…
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たぶん大丈夫だとは思いますけどね。
外国人選手、試合前に飲んでること多いですし。
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点滴について
点滴についても決まりがあり、入院して手術するなどの医療行為に際しての点滴は認められますが、それ以外は基本ダメです。
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ビタミンB群の点滴、いわゆる『ニンニク注射』。ビタミンBに関しては禁止物質ではないのですが、それを外来で点滴することはアウトになります。
これは2009年のですが、よく出場停止にならなかったな…というやつです。
ちなみにニンニク注射の中身であるビタミンB群(ナイロジン)の薬価は58円、生食100mlの薬価は130円ぐらいですから…ウン千円かけてするものなのかどうかというと…
まとめ
ドーピングというと、筋肉増強剤やステロイドのイメージですが、今では実際は金メダルを取らないと国にいられなくなる、みたいな国の選手しかそんな露骨なことはしないわけで。
実際に引っ掛かっちゃうのは「知らなかった」のケースがほとんど。
ですので、ファンの方も差し入れなどには十分に気をつけてくださいね。