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「終わらないエチュード」を作詞したこと

わたしにとって最後のnotall music awardが終わりました。

昨年舞台に合わせて作詞した新曲「終わらないエチュード」が4位。たさきさんが作詞曲した「あふれゴリラ」とタイに並び、1、2、3位には6人体制からの曲がランクイン。しかも1位に輝いた「DREAMIN' City」は実はマネージャーY本氏が作詞したことがサプライズで明かされ、あまりにドラマチックな展開になりました。やっぱもってるよね、notall。

NMAが終わったら、thePresentのときのように少しエチュードについて書ければ、と思っていたので記します。

●もう一度、やりたかったこと

オリジナルメンバーのnotallとしての終わりについて、話し合いや相談を重ねながら具体的になってきた2021年初秋。ついに3月12日の豊洲PITが決定したことでそれは現実のものとなり、「notallでやっておきたいこと」について考えるようになりました。わたしにとってどうしてももう一度挑戦したいことのひとつが「作詞」でした。

ラストライブまでにあと2曲作ろうとしていること、そのうち1つが2021年12月上演の舞台での劇中歌になることを聞いたのち、舞台曲の方を担当することになりました。

スケジュールに余裕のあった稽古の前の期間に曲をもらい、舞台の脚本・演出をしてくれた小暮さんの意向も聞きつつ、Y本さんからも「ファンのみんなが笑顔でいながらも、ほろっと泣いてしまうような曲」というリクエストを受けました。わたし自身もメロを聴いてどこかノスタルジックな印象を受けたのでその方向性ですすめることに。

the Presentときは完全なる「自己表現」だったのが、今回はちょっとしたテーマもありつつ、でも自由度も高かったので書き初めまでにめちゃくちゃ時間かかったあ〜〜

●「エチュード」との出会い

舞台の本読みまでにとにかく音源を聴き込み、文字がハマる音の数の洗い出しをしていました。音源は駅まで歩くあいだ、朝・夜の家の中、カフェ、、、となるべくいろんなところで聴いたような記憶があります。

そうしていくうちに、今回はフックとなる言葉が欲しいなあ・舞台とリンクさせたいなあという思いが生まれ、辞書を開いてみたり舞台用語のリストを眺めているうちにたどり着いたのが「エチュード」というワードでした。
演劇・芝居の世界においては「即興劇」、音楽用語では「練習曲」という意味をもつ「エチュード」は響きもかわいらしい上に、舞台の内容にぴったりだったのです。


(※「舞台暴走中」は「舞台制作中と本番中のあらゆるアクシデントにより、舞台がはちゃめちゃになってしまう」という舞台制作のお話。その劇中劇のためにこの曲を練習するシーンがあったり、劇中劇がほぼ即興劇になってしまうというところにとても意味がリンクしてた)

エチュードを、サビの終わりに置く。そしてそれをタイトルにする。最後の最後に「thePresent」と命名したときとは真逆のところから始まっていきました。

時期的にもnotallの活動終了発表を控えていたことや、舞台をやるという普段のライブ活動とは違ったルーティンになることの影響は自分の中で大きかったようで、「非日常が終わる」雰囲気と、学生の時の文化祭や体育祭の終わりに感じる切なさみたいなものを表現したいと思いました。

●制作過程

まずは自分が描きたい情景、伝えたい想いを思いつくままに書き連ねて、そこからサビへと落とし込んでいきました。

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ただ、いれたい言葉・書きたいことは浮かびつつも、本当にこれでいくのか?みたいな疑問がずーっとあったので、舞台の本読み以降に本格的に取り掛かろう!と一時中断したのです。

そして本読み後。台本をいただいたときから自分の膨大なセリフ量に怯えていたのですが、実際に役者の皆さんと本読みを行って、改めてこのセリフを覚えなきゃいけないことにめっっっっっちゃくっちゃ焦りまして。1週間後の本格的な稽古開始までには絶対終わらすぞ、そしてセリフも覚えなくては、との考えで、本読みからの3日間くらいを作詞につぎこみました。

でも、本読み後は、言葉にできないのですが変化したものが確実にあり、今の自分のリアルな状況と舞台のストーリーをうまくリンクさせながら紡いでいくことができたと思います。自分がこの舞台を終えたらどう思うのか、そんなことに思いを巡らせていました。

2番のBメロ「夕焼けの夢を見た」は最初の方から思いついていたフレーズで、当初は1番に置いていたのですが、もっと具体的に「伝えたいこと」の核となるものをいれたくなり、本読み後に台本から抜粋できる部分はないかと読み返し「正解はないなんて正解のような答え」が生まれ置き換えたり。

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最後まで悩んでいたのが落ちサビ。
ここに、ステージに立つ者としての魂を込めたいなと思って、色々と回りくどい表現を何個もあてはめてみたりしたのですが最終的にはシンプルになりましたね。
目をつむって、ここだけはライブで歌う自分たちの姿や、そこにいてくれるみんなを何度も何度も思い浮かべ、それこそラストライブでの光景さえもイメージして書いてしまいました。

みんなの前でこれを歌える、そんな幸せを噛み締めています。

●終わりを控え、いま思うこと

レコーディングの際にわたるスペシャルさんが「未来じゃなくて、過ぎてく日々、【過去】に魔法をかけるって面白いね」って言ってくれました。☻

「過去は変えられないけど、未来は変えられる」とよく言いますが、それはそうだなと思いつつ、この歌を書きながらわたしは「過去も変えられるのではないか」と思うようになったのです。起こった事実は事実として取り消せないけれど、その出来事の意味は未来によって変わってくるのではないかと。わたしたちも今でこそデビュー当時にお客さんがいなかったことを笑い話にできるけれど、当時は全く笑えなかった。でもそこから今日に至るまでの過ごし方によって、あの時期があったからこそ今があると思えるし、変わるきっかけとして必要だったと思える。それは過去さえも変えていると言えるんじゃないかなと思うんです。

これまでわたしたちがみんなに届けてきたものが、みんなのこれから過ごしていく毎日の中でいつまでも輝いていてほしいし、一緒に過ごした日々が更に輝くようにすごしていきたいな、と。


2022年3月12日、わたしのnotallとしてのラストライブ。

いよいよリアルに感じられる空気になってきました。

どんな日になるのか、どんな感情になるのかわからないけれど、そこで全てが終わったり時計が止まったりするわけではなくて、わたしもみんなも日常として時間は過ぎていく。
3月12日が過去になっていく日々の中でどんな魔法をかけられていくのか、そんなことを楽しみにすると、これから先も怖くないなあって思わせてくれる。そんな出会いにたくさんの感謝を込めて。

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「ここに残すよ、だから笑って」

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