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かき氷を求めた夏

かき氷が食べたい。

例年より早く夏が始まり、息をするのも億劫なほど気温が上がり続けるのに比例するように、わたしの「かき氷への憧れ」も加速していた。

この感情はわたしにとって初めてのもの。

それまでかき氷に対して特段興味はなく、どちらかといえばただの氷じゃん、言ってしまえば水じゃん。くらいの感覚だった。

2年前に友人に連れられ初めて大きなかき氷と対峙したときにはその美しさと美味しさに感激したものの、かき氷にハマる!ということは特になかった。

それが、なぜか今年は食べたい。無性にあの大きくて、各店こだわり抜いた独自のシロップがかけられ、しまいにはクリームなんかも乗せられたかき氷が食べたい。

夜な夜なインスタグラムでかき氷の写真を眺めていた。先日放送されたマツコの知らない世界でのかき氷特集も真剣に見た。

そして、暑さが落ち着き始めた9月。思った。

「かき氷シーズン、終わっちゃう・・・!」

猛暑の中長蛇の列に並ぶ根性は持ち合わせていないものの、寒空のした凍えながらお店へ向かうこともしないだろうと感じたわたしは、誰を誘うでもなく休日にかき氷を食べに行くことを決めたのであった。

SNSに投稿されるかき氷写真を見て、旬のフルーツであるいちじくを出しているお店をいくつか見つけた。いちじく大好き!なわたしはいちじくに狙いを定め、見つけ出したのが武蔵小山にあるはいむる珈琲。

本日のメニュー

見た目もかわいらしく、いちじくだけでも3種類メニューのバリエーションがあり、万が一お目当てが売り切れだったとしても他に食べてみたいと思うものがいくつもあるほど豊富なメニューに惹かれた。珈琲と名がついているもののなぜかラーメン&かき氷屋というところがまた興味をそそる。

13時ごろお店につくと一組だけ並んでいるお客さんが。タイミングが良かったのか 5分と経たずして席が空きすんなり入店。お目当ての「いちじくミエルフロマージュ」を注文した。

いちじくミエルフロマージュ

か、かわいい・・・・

毎晩のように画像を検索していたかき氷が、目の前に。1人で来ているので声は出せないが、じぶんの中で小さな自分が小躍りしているような妙な高揚感があり、いちじくと同じカラーのオーラが店内に漂っているようにさえ思えた。

シロップのかかった部分から一口いただくと、いちじくの香りが広がる。瑞々しくておいしい・・・

いちじく果肉も上だけじゃなく中にたっぷり入っているし、はちみつチーズクリームが濃厚でアクセントになり、最後まで飽きずにいただけた。

終わりが見えてきた頃にじぶんでもまさかの思いがよぎる。「もう一杯、食べようかな・・・」

現に店内にはふたりほど、お一人様がいたのだが両者ともに2杯目をオーダーしていたのだ。すごい、かきごおラーだ!と感心して見ていたがこれはたしかに甘すぎずさっくり食べられる。カロリーも低いはず、だって水だもん(現実逃避)

まあでもかき氷初心者なので無理はしてはならない。店外に一組待っているひとたちも見えたし、自分が食べ終わった時点で他のテーブルが空きそうな様子もなかったので、席を立つことにした。

この武蔵小山に来ることを決めたのにはもう一つ理由があった。

そう!サウナ!!

はいむる珈琲の場所をGoogleマップで調べた時に出てきた♨️マーク。
サウナもある銭湯。しかも温泉ということでかき氷をいただいた後は寄って帰ろうとわくわくしていたのだ。

すごい綺麗な上に、お湯は黒湯で温泉。
しかも露天風呂のスペースがとても開放感があって、空が大きく見える。なかなかここまで屋外を感じられる銭湯は少なく、椅子の置かれたいわゆる「ととのいスペース」での幸福度がめちゃくちゃ高い。

サウナ水風呂を経て休憩しているあいだ、ふんわりと自分の中へ込み上げては空へ昇っていくかのような「しあわせ」のきもち。
念願のすきなものを食べて明るい時間にお風呂に入り、何も考えない時間を持てること。そりゃ人生多少の不安はあるものの 仕事があり、挑戦ができ、こうして自分を充す方法を知っているということになんの不満があろうか。

とてもいい

これは冬の寒い時にまた来たいなあとサウナ3セットを終え、露天風呂にぽこぽこ浸かっていると、おばあちゃんに時間を聞かれた。17時30分くらいですよ、と答えると、彼女はおなじ湯船にはいりじぶんの生い立ちを語って「男は金だよ」ということをひたすら説いた。とりあえずニコニコしながら相槌を打っていたわたしに「あなた素敵ね、とてもいいわ」と言ってくれた。

会話の内容なんかきっとどうでもよく、一期一会の出会いの良さが上回る。

たのしい。

ゆっくり起きて都内で行ったことのない駅に降り立ちかき氷を食べサウナに入る。ちょっとした小旅行のような休日でした。


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