見出し画像

自然と写真 浅間国際フォトフェスティバル

夏の楽しみが1つある。避暑地軽井沢にほど近い御代田という町で『浅間国際フォトフェスティバル』というフォトフェスティバルが毎年開催される。このフォトフェスティバルには浅間山麓で開催されるからこそ訪れる価値があると、毎年写真と空を見ながら思う。

 浅間山麓の美しい自然と、その土地ならではの文化
 写真の楽しさを五感で感じるアートフォトの祭典

浅間国際フォトフェスティバル

2023年今年のテーマは『イメージの実験場』

加速するデジタル化に加え、CHAT GPTに代表されるようなAIの登場により、私たちの日常はデジタルとアナログの境がますます曖昧になっています。写真は、その180年余りの歴史の中でテクノロジーの進歩とは切っても切れないメディアとして、常に進化してきました。アート写真のジャンルにおいて、写真家たちの中には最新技術を駆使する一方で、同時に、古い技法やアナログの手仕事なども積極的に取り入れたり、ハイブリッドに掛け合わせたりしながら、新たな表現の可能性を探る人たちも増えています。 アーティストたちは、まさに現実と向き合い、イメージを媒介とした実験を繰り返す研究者のような存在なのです。

戦争、災害、人権問題、環境問題、人種、ダイバーシティなど、世界が様々な問題に直面し、混迷するこの時代、今年のPHOTO MIYOTAは、現在と未来を映し出す”イメージの実験場”として、国際的なアーティストたちが新しい気づきを与えてくれる場となることを期待しています。

PHOTO MIYOTA 公式Web

毎年、屋内外で展示される写真は写真展という規定概念に囚われることなく五感を刺激し、それでも浅間山麓の景色と調和した心地よい体験をくれる。今年の一番の驚きは浅間山を背景に展示されていた ジュリー・コックバーン氏 の『Selected Portraits, 2014–2021』、、、でも、裏から観ると ドーラ・ライオンストーン の 『Nachtluftschlösser, 2022』という展示。FLATLABO によるプリントで、メッシュターポリンというメディアに両面プリントすることで実現しているそう。

ジュリー・コックバーン|Julie Cockburn 『Selected Portraits, 2014–2021』
ドーラ・ライオンストーン|Dora Lionstone 『Nachtluftschlösser, 2022』

敷地中央にある御代田写真美術館の外壁には毎年印象的に写真が展示される。今年はハナ・ウィタカー の『Ursula, 2022』。幾何学模様や色鮮やかなグラデーション、女性のシルエットで女性に押し付けられてきたイメージに対する疑問を投げ掛けている。

ハナ・ウィタカー| Hannah Whitaker 『Ursula, 2022』
ハナ・ウィタカー| Hannah Whitaker 『Ursula, 2022』

グレゴリー・ハルペーン『19 winters / 7 springs , 2003 –2023』は、過去20年間にわたり故郷であるニューヨーク州バッファローで撮影されたもの。かつて工業都市として栄えたバッファローの建物やそこで暮らす人々、変わりゆく季節、時間の流れが展示されていた。特に心が惹かれたのが、家の形を模した立体オブジェ。オブジェの表面には家の写真、その裏には皆既日食の写真が描かれている。

グレゴリー・ハルペーン | Gregory Halpern 『19 winters / 7 springs , 2003 –2023』

柿本ケンサク『Time Tunnel, 2022 / Translator, 2016』。Time Tunnel は、コロナ以前に撮影した数千枚の写真を、任意のテキストや歴史的な情報、また自身で撮影した画像・映像作品を学習させたAIに再現像させたシリーズ。Translator は言葉では表現できない世界、自然界に存在する目に見えない"ゆらぎ" の通訳者としての視点を表現したもの。コロナ禍を経て見えるもの、また普遍的に見えるものを可視化して見せてもらった様に思える。

柿本ケンサク|Kensaku Kakimoto 『Translator, 2016』
柿本ケンサク|Kensaku Kakimoto 『Time Tunnel, 2022』

濵本奏 |Kanade Hamamoto 『midday ghost , 2020』は、実態を持たない儚い亡霊のようなランドスケープとポートレイトで構成されている。現実に紛れ込んだ非現実的な一瞬を亡霊として捉えた写真たちが心地よい。

濵本奏 |Kanade Hamamoto 『midday ghost , 2020』

今年のスポンサーであるアメリカのファッションブランド THE ROW の特別展示も見応えのるポートレート作品。

浅間国際フォトフェスティバル は他の写真展とは過ごし方が異なる。ゆっくりと空や山を眺め散歩をしながら写真展を巡る。ところどころベンチがあって、ゆっくりと写真を観て考え事をする。一年で一番ゆっくりと写真を観て考える機会になっているのかもしれない。


今回の旅のカメラセットは SIGMA fp L に、レンズは SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary 、45mm F2.8 DG DN | Contemporary、65mm F2 DG DN | Contemporary の3本。fp L に全金属の削り出しの I シリーズレンズ で揃えた。写真と向き合う旅ではやはりこの組み合わせになる。


御代田を訪れる際に立ち寄る場所がいくつかある。気持ちのいい場所なので最後に皆さんにおすすめしておこうと思います。浅間国際フォトフェスティバルが開催されている MMoP から程近い Pace Around は森の中にある素敵なお店。雑貨、家具、食器などが置いてあり、カフェも併設されているのでお昼やコーヒーを頂くのにも落ち着いていて素敵な場所。

Pace Around

せっかく長野へ訪れたのだからその地の野菜や果物も買って帰りたい。いつも 小林農園 に立ち寄って農園の直売所で旬の野菜や果物を買って帰る。コロナ前はその場でとうもろこしを焼いてくれていたけれども今年はなかった。また復活してくれるといいな。 MMoP から 小林農園 へ向かう道は空が開けている一直線の道路を通って行くので、夏の空も楽しみな道のり。

時間があれば少し足を伸ばすのもおすすめしたい。お隣の佐久市に YUSHICAFE 天保堂珈琲 という珈琲屋さんがある。店内はアンティーク家具を配した落ち着いたカフェで、一番のおすすめはお椀いっぱいのコーヒーゼリー。しっかりと珈琲の味がするコーヒーゼリーが食べたくて、近くを通ると立ち寄ってしまう。敷地内にはギャラリーも併設されており、運が良ければ展示が行われている場合もあるのでこちらも愉しんでもらえればと思う。

YUSHICAFE 天保堂珈琲 コーヒーゼリー

他にも軽井沢含めおすすめしたい場所や景色が沢山。夏は避暑地と言われるだけあってちょっと涼しい御代田、軽井沢。是非、浅間国際フォトフェスティバルを夏の旅の候補のひとつにしてみてはどうでしょうか。



いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集