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剪定鋏について忘れないように

剪定鋏といっても沢山の種類がある。庭木剪定用、果樹剪定用、、、。

その中でも一種独特な進化を遂げてきたのが「りんごの剪定鋏」。

剪定鋏の歴史

明治30年代に津軽型と言われ現在の剪定鋏の基礎となった鋏を三国定吉氏が作り上げ独特な形を作り上げ進化を遂げてきた津軽地方の剪定鋏。昭和にはこの辺だけでも10〜20件ほど鍛冶屋さんがあったそうですが、現在は数件、、、。この鋏製造業の実情を知るものとしては今後の存続に不安を感じています。

剪定鋏の良さとは?

剪定鋏の良さとは?生産者によって何に重きを置くかは異なります。

購入価格が安いものがいいのか?錆びにくいものがいいのか?切れ味の良さなのか?今の時代海外製の剪定鋏すらワンクリックで購入できちゃいます。

私の剪定鋏に求めることは、「切れ味のよさ」「疲れにくい」この二つに重きを起きます。

「独狐の鋏」

どの分野にも名品や名工と言われた物や人物は存在し、数ある剪定鋏の中でも名品といわれる鋏が「独狐(とっこ)の鋏」。

津軽型剪定鋏の最高峰と言われている鋏です。

初代今彦弥氏から二代目今秀尚氏に受け継がれ、野鍛治として鎌や鍬を作っていたがりんご農家が多い地域だったため、試行錯誤しながら剪定鋏を作り始め、生産者の意見を取り入れながら今の形となった。

使っている鋼自体は決していい物ではなく、それでも「全鋼造り」により作り上げたものは切れ味の良さはもちろん、キレの持続、何よりも疲れにくい。

アサリは紙一枚。そうすることで刃こぼれもし難い。

残念ながら、平成5年に今秀尚氏がお亡くなりになり、現在では「幻の鋏」と言われるまでに。

コピー商品

作者がいなくなった今、「独狐の鋏」をモデルとした剪定鋏も多数販売されています。しかも剪定鋏の価格帯ではかなり高価なモデル。私も何度か購入し使用してみました。あくまで個人的感想ですが形だけ似せたものが多くとても使えたものではありません。切り刃自体が柔らかく刃が潰れやすい、機械研ぎしているため、キレが止まる。今の時代、昭和よりもいろんな技術が向上しているのは誰が見ても明らかなのに、なぜ昭和に作られた鋏の方が切れるのだろうか?

生産者としての心構え

本物の切れ味や疲れにくさを知ってしまった私はもうこの鋏無しじゃいられません。研ぐほどに切れ味が増していくというのも手打ちの鋏の魅力の一つ。

このような手打ちの剪定鋏は大量生産のものに比べ使用後の手入れなどは大変ですが段々と自分の手に馴染んでくるもんです。今、私が使用している剪定鋏は数丁ありますが全て15年以上経っていて、刃もだいぶ小さくなってきましたが切れ味や使いやすさは大量生産のものに比べ格段に違います。

りんご栽培において収穫量や品質を決める大きな要素を占める剪定。りんごの木は毎年剪定されるわけですから切れる道具を使うことがりんごの木に対しての最低限の礼儀ですし、その剪定作業に使う道具を大切に使うという心構えが最も大事で切れ味を楽しむという心の余裕も必要だと思っています。


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