2024振り返り
りんごの収穫も11月17日で全て終わり、ご予約いただいてる分は発送済みとなりましたので少しだけ余裕のある日常となってきました。
春から不安なスタート
記録的に降雪量の少なかった昨年。雪害による枝の欠損などの被害はなかったものの平年よりも開花が早まった春。りんごの花が咲き始めると周りの農家では主力品種のふじの花が少ないという。昨年の猛暑の影響なのか?花芽形成が出来なかったのだと思う。とにかく花が咲かないということは実にならないという事になるので生産者としては一大事だ。幸い当農園では例年通り開花量は十分。花の質もよく意気込んで人工授粉もやった。しかし不受精果(カラマツ)が多く、着果量が少なくなってしまった。出来ることはやったつもりだが春から自戒するスタートとなった。
近年、この不受精果(カラマツ)が非常に厄介だ。気候変動により開花が早まり遅霜により落花もある。いくら良い花芽が出来たとしてもしっかりと受精させることが出来なければりんごは実らない。今年に関しては交配用に使用するマメコバチが前年の猛暑により巣の中で死んで活動が低下したという。当農園では出来る限り人工授粉をしているが今年はほとんどの品種が一斉に開花した、、、通常品種ごとに開花は少しずつずれて咲くのだが一斉に咲いてしまっては交配作業も追いつかない。
こうした時の対処は今後の大きな課題だ。
猛暑の夏は当たり前
昨年のような酷暑では無かったものの今年の夏も暑かった。どうしても前年の夏に比べてというふうになってしまうので今年の夏はそうでもないと思っていたが、平均気温は昨年よりも高かったようだ。りんごが焼け焦げるような事にはならなかったが、少なからず被害はあった、、、早生品種についてはこれからもっと作り辛くなるのだろうか?主力品種のサンふじでも気候変動の影響はあるように思える。私が就農した当時、11月のサンふじの収穫期には必ず何度も霜が降りたのだが、近年はなかなかその時期に霜が降りない。寒さに当たったりんごは美味しくなると思っている私にとっては気温を操作できないもどかしさがある。
良い出来秋なのか?
収穫期になり「つがる」はまずまずの出来だったが、「トキ」を収穫してみるとワンサイズ小さく、収量も1割ほど少なかったがお客さんの反応は過去1と言って良いほど良かった。園地によってはやはりワンサイズ小さく収穫量も減った園地もある。原因はなんなのか?仮説を立てながら来年の栽培管理に活かそう。収穫を終えてみると、昨年よりは収穫量は多く、平年よりも少しだけ少なく済みホッとしている。秋には季節風の影響、台風も来ず、全体的にみると良い出来秋だったのではないだろうか。100点満点の出来秋はいつか来るのだろうか?
相変わらずの売り切れ、ごめんなさい
当農園では収穫量の5割を直接お客さんへ販売する直販、5割をJAやりんご屋さんへ出荷している。この割合を直販7割、出荷3割まで持って行きたい。やろうと思えば数年前からは可能だが顧客満足度が下がってしまうことが容易に想像できる。この割合は佐藤農園としての規格に合うりんごが5割しか採れないと言うことでもある。この規格を下げることで直販7割まではすぐに達成できる。現に在庫の無くなった今でも毎日注文がくる。この時期は毎年お客さんにはごめんなさいと伝えなければならない。結局、生産力(自分の求める品質のりんごを作る力)が大事だと毎年毎年この時期になると考えさせられる。自慢するわけではないが、当農園の顧客満足度は高いと自負している。固定客もいる、ロイヤルカスタマーと言われるお客さんも何人も思い浮かぶ。ここ数年のリピート率は95%以上。これは佐藤農園としての規格の厳しさが顧客満足度の高さに繋がっていると思う。ただ売り切れが早いのでその点の満足度は低いと思う、、、。ごめんなさい。
対価を求めての直販
昨年、今年と産地市場は怖いほどの高値でりんごが取引されている。生産者としては喜ばしいことではあるのだが、20キロ木箱10,000円なんてのはザラ。品質の悪いりんごまでも今まで聞いたことないような高値だ。良いりんごが高値なのは良いとして、品質の悪いものまでも高値だと末端の消費者は品質の悪いものも高い値段で買わなければならなくなる。なんだかな〜
私が就農した当時、りんご暗黒時代だと思っていて20キロ1,500〜6,000円という市場価格だった。さすがにこれだとマズイと思い直販を始めたのだが、昨年や今年の市場価格を目にすると、夜な夜な荷造り作業、事務作業をしているのが億劫になることもある。それでも自分のお客さんには対価をいただいていると思っているので頑張れる。もちろん私の給料も価格に反映させてもらっている。生産コストできる限り抑えつつ、収穫量を増やすことで佐藤農園としての利益は大きくなるのだがこれが一番難しい。
今年もたくさんのご注文をいただき、9月下旬から今でも毎日出荷している。たくさんのお客さんに支えられていることを出荷個数をみると安易に感じる事ができる。
2パターンのお客さん
この時期になると、お歳暮駆け込み需要でたくさんのお問合せがある。
しかし、残念ながら当農園には余裕がありませんとお伝えすると大体2パターンの答えが返ってくることに気付いた。
一つ目は「残念だけど仕方ないね。来年は早く注文するね」
二つ目は「そこをなんとかならない?ダメなら誰か他の農家さん紹介して」
大体この2パターン。
当農園のお客さんは一つ目のパターンのお客さんがほとんど。これはりんごが買いたいから注文しているのではなく”佐藤農園のりんご”が欲しくて注文している方だ。
二つ目のパターンは”りんご”が欲しいと言うお客さん。
お客さんに優劣は付けないようにしているつもりだが私も人間です。どちらに感情が動き、どちらのお客さんにりんごを食べてもらいたいかはハッキリしている。
”りんご”が欲しいと言うお客さんにはネット検索してみたらとハッキリ伝えます。
当農園よりも品質の良いものが安価で売られているかもしれませんと。
”佐藤農園のりんご”が食べたいと思わせることのできなかった私の栽培技術の未熟さもあるだろう。お客さん全員が納得できるりんごは現実的に不可能だと思うが、最近は私が納得できなくてもお客さんが納得できるりんごが”良いりんご”なのではないだろうかと思うようになってきた。
明日からは荷造り作業に加え、園地での剪定作業も並行し進めていこうと思っている。お客さんの納得するりんごはどういうりんごなのか想像しながら、明日も頑張ろう。