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グローバルインフレーションの深層 河野龍太郎 がめちゃくちゃ面白かった件

とても面白かったのでメモ。
雑食性のなので本は色々なジャンルのものを読みます。なので、意外にも経済学の本なんかを読むこともありますがこの場合作者の99%は外国人(大体アメリカ人)です。というのも経済は繋がっているので、その中心地にいる人の方が全体がよく見えている可能性が高いからです。その点日本の作者の本は弱いなと感じています。

例えば、最近だとRay DalioのPrinciples for Dealing with the Changing World Order: Why Nations Succeed and Fail が死ぬほど面白かったです。歴史大事。今は日本語版もでているっぽいの是非読んでみて下さい。

そんな感じなので、経済がテーマで日本人が作者という時点で僕は自動的に弾いているのですが、偶然こんな動画を見ました。

ReHacQは偶にガチな人(物理の野村先生とか。これも神回)を呼んでくれるので侮れません。この動画を見るまで河野先生のことを知らなかったのですが、言っていることがあまりにも現在の状況を正確に説明していたように思えたので興味が湧いて本を買うことにしました。

それが、「グローバルインフレーションの深層」です。この本が無茶苦茶面白かった。出版社がそもそも應義塾大学出版会なので教科書とか論文とかそっち系に分類される類の本なのですが、河野先生の語りが上手く、噛み砕いて書いてくれているので俺のような素人にもサクサク読めました。

内容は全部面白いので是非本文を読んでもらうとして、全体を通して感じたのが経済状況の帰結(円安とかインフレ)とかは一つの原因では説明できず、その状況の最中にいる人間は原因(ときには状況そのもの)を正しく理解できていないのだなということです。

これの対する簡単な処方箋というものは多分なくて、自分の決定や認知そのものを常に疑いデータが手に入ったらその都度判断をアプデするということを行うしかないように思います(なんとなくベイズっぽい話です)。

あと、経済学が他の学問と違うのはこの入ってくる変数の中に人々の気持ちみたいなものが入ってくるからでこれを見誤るとえらいことになるうということです(細かい話になりますが、人々のインフレ予想の中央値が変化する前にグラフの形が先に変わるという話はとても面白かった。僕の研究にも応用できそうな話です。)で、この気持ちみたいなものを予想するときに経済学のエキスパートと俺たちのようなパンビーとの間に差があって、特定の状況だとどうもパンビーのほうが正しいことがあるようです(エキスパートの方が正しいこともあることが問題をややこしくしている)。

河野先生の見解をザクっとまとめるとこのインフレは供給ショック+拡張財政の結果起こっているので(財政の問題が主)なんで、インフレを安定化させるには財政を引き締めつつ金利を上げる必要がある(金利を上げるとことはあんま効果ないかもだけれど。)

なんで、日本に目を移すと円安の状況下で給付金とか減税とかの緩和的な政策は人気があるけれど、やってはいけないことになります(インフレと円安を結果的に悪化させます)。しかも、この問題は国際的な問題なので日本だけ頑張ってもその効果は限定的な可能性があります。

人気のない政策を、効果が限定的かもしらんと思いながら断行できる人(組織)が求められているような気がします。



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