鈍刀
だいぶ以前に、とある大先輩からこんなこと言われたことがあります。
「君は鋭利な刃物じゃなく、どんとうだね。でも、どんとうはどんとうなりの良さがあるんだよなあ。」
「どんとう」、、始めはピンときませんでした。
「鈍刀」。。。
なまくら刀。切れ味の悪い刀のこと。
確かに、自分は切れ味鋭くなく、フットワークも良い方ではない。
とはいえ、「鈍刀は鈍刀なりの良さ」とはなんだろう。
そもそも「鈍刀」とは、そしてそのよさとはなんだろう。
「鈍刀」、「なまくら刀」。
切れ味が悪く価値が低い剣刀のこと。
この言葉から「なまくら者」とう言葉で対象が人となり、頭の回転が遅く感覚が鈍い人や怠け者、気の利かない人への皮肉言葉になったよう。
でも大先輩は、「鈍刀」を結構ポジティブに使って頂いた感じでもある。
よく解釈すれば、人間関係において鋭利な刃物で対応するより鈍刀くらいのほうがいいかも、、ということかなと勝手解釈しています。
そんなこと考えていた時に出会ったのが、坂村真民作の「鈍刀」という詩。
甚深微妙の「甚深」は、はなはだ深いこと。「微妙(みみょう)」は、「微」は、極めて細かいさま。物事の奥底、極めて細かいところまで観察したとき、そこに大切なこと(「妙」)が見えてくるという。
鈍刀はいくら磨いても名刀にはならない。
しかし、せっせと磨くことで光るのもに近づくもので、磨きがいののあるものなのかもしれない。
また、amazonで「鈍刀」のキーワードで見つけたのが、坂岡真の著作である「鈍刀」という時代小説。
この「鈍刀」に出てくる主人公は、生き方に筋を通したために浪人となり、さび付いた刀を持つに至ったものの、篤実な人柄で確かな剣の腕前を持つ人物。
器用な生き方ではないものの、そして刀はさび付いるものの、生き方を模索する姿勢に共感しました。
やはり、自分の鈍刀は自分なりにせっせと磨こうと思いました。