NNN(ねこねこネットワーク)の存在を確信しそうになった出来事
1年前の今頃。
午前中、道の駅に野菜を買いに出て、普段ならお昼に間に合うように、その後少しテツをクン活させてから帰るのだけれど、その日は新緑があまりに美しくて「まだ少し時間があるな」と、塩原の方へと足を伸ばしたことがあった。
なぜかあの日は、わざわざ遠回りの山の方へと足が向いたのだ。
すでに、NNNにロックオンされていたに違いない
道の駅湯の香塩原を通過し、国道400号線を上った先のトンネルの道は、温泉街へ早く抜けることができ、観光客はそちらに誘導される。
だが、トンネル手前を左にそれる旧道の方が、実は見るところが色々あって楽しい道々。たまにはこっち行ってみるかと、トンネル手前で左側の道に入った。
道は箒川に沿ってクネクネと続き、滝があったり遊歩道があったりする。
車が停められてテツと散策できて、滝があってマイナスイオンを感じられ、ベンチもあって休めるポイントで(連珠の滝)、道草することにした。
滝の周りを歩き、飼い主はその景観とマイナスイオンに満足、犬はクン活を十分やった、というあたりでさて帰ろうかという時。
テツが側溝に鼻を埋めてリードを引いても動こうとしない。
「帰るよ」
と引っ張っても四つんばって動かない。
すると手のひらに乗るような赤ちゃん猫が、鳴きながらテツの鼻の周りを徘徊しているではないでーすかー!
「え? どっから来た!?」と思っていると、落ち葉でそれとは分からなかったが、側溝に埋められるように置かれた箱からもう2匹が這い出して、テツの足元に絡み付いてくる。
テツは困り顔。
なんと。
こんな人気のない場所にこんな猫の乳飲子が。
平日、人の通りのない旧道の、滝のそばの側溝の中に、隠されるように落ち葉で埋められた箱の中に乳飲子が・・・!
まだ捨てられたばかりかな。もうずっとここにいたのかしら。
こんな人気のない場所でよくぞ生きていてくれました。
障害者的レスキュー作戦
見つけて しまった以上、そのまま放って帰るわけにはいかない。
まず全員の安全確保のため、予期せぬ行動を取りそうなテツを、ちょっと遠いところへ係留(置いてくな〜という心配顔のテツ)。
よし。次。
近くの1匹から抱き上げて、車の中にいつも置いてある買い物バスケットに 入れていく。
私の両膝と右股関節は人工関節で、リハビリをやったけどあまり可動域がよくならず、下にあるものを、ましてや生き物を拾いあげるのは大変。万一転んだら、まず自力で起き上がれない。転倒するならせめて前から。尻餅厳禁。
絶対転ばないようにゆっくりと慎重に、2匹目、3匹目と拾い上げていく。
見えてる3匹は無事回収。
取り残しがないか箱の中も確認しなければ。弱っている4匹目がいたりするかもしれない。
猫が入れられていた箱は、足場より低い場所に埋まっていて、そこから拾い上げるのは転倒リスクがより高い。
慎重を期すため、面倒だけど一旦車に戻ってドレッシングエード(手の機能をカバーする自助具)をとってきて、それで箱を起こしてみた。
落ち葉を避けて足場を確かめ、慎重に踏ん張って、中を確認。
(よし、いない。中はカラ)。
良かった〜。
3匹の猫は元気でじっとしていない。
買い物カゴなど、すぐによじ登ってきてしまうので、 蓋をしたいが蓋がない。
運転中にブレーキの下にでも這い出してきたら大変なので、テツ用の 敷物をかぶせてバッグを重しにする。
最後。
遠くのベンチにくくりつけていたテツを回収。
「おらを置いてくつもりかよぉ」と泣きそうな顔をしているので「置いてかないよぉ」と、いつもの(上からはがいじめするように)ぎゅうぎゅう抱っこ。
よし、みんな無事か、ちゃんと乗ってるか。ドレッシングエードとお散歩バッグはちゃんと車に戻したか。
もう一度確かめて撤収だ。
帰路。
3匹の赤ちゃん猫がミャアミャアミャアミャア。
つられてテツが ヒンヒンヒンヒン。
運転手は「鳴くなー!」と怒鳴る。
4匹がずっと鳴いていて、車の運転を 誤りそう。安全運転安全運転と念じながらの帰路だった。
冷静に考えて
帰宅後、3匹の猫がどこにも行かないようにしっかりした箱に移動させ、テツの足を拭きながら考えた。
これは運命の出会いかも。
「猫を飼いなさい。猫の面倒はその犬が見るから。3匹飼っちゃいなさい」
神様がそうおっしゃっているのかと。
昼休みで食事に来たオットが、猫の声を聞いて
「オバマが赤ちゃん産んだのか!?うちの軒下で!」
(※オバマは時々うちにご飯を食べに来る黒の野良猫。っていうかオバマはオスだ!)
「違う拾った」
そしてその後こんこんと諭された。
よく考えて。
てっちゃん一人だって結構大変だよ。
そのほかに赤ちゃんの猫を育てられる? 大人の猫と違うんだよ。
1匹じゃなく3匹もだよ。
数時間おきにミルク飲ませたり、うんちのお世話できる?
朝は早く起こされるし、取りつけてもらったばかりの網戸をよじ登るよ。
トイレはどこに置く? それを毎日掃除できる?
そういうお世話、ずうっとできる?
体調が悪い時、どうする?
入院するとなったら、誰に面倒見てもらうの?
今にして思うと案外テツが可愛がったのではないのかと思ったりするけれど(憶測)、しかし彼の意見はもっともだ。
赤ちゃんのご飯とトイレ、ケージ、そういうものを3匹分今日中に買いに行って、獣医さんのところに連れて行って・・・、無理かも。
私たちにはテっちゃんだけで手いっぱい。
その日連絡のついた友人知人に引き取れないかと相談したが、今日明日OK、という人は見当たらない。
同時進行で近隣の保護団体さんを検索。電話をかける。
すると車で40分くらいのところに4万円の寄付をすれば引き取ってくれる、と言ってくれるところを発見。
やむを得ぬ。
猫たちはその日のうちに保護団体さんのところに連れて行くことにした。
ん〜、イタタタタの出費だけれど、飼うことを考えればもっとお金はかかっていたと思う。
3匹が飢えることなく、一緒に大きくなれるのならいいことだと思ったし、「お給料から寄付します」とオットの了解もとった。
で、その日の夕方3匹を送って行った。
団体のお姉さん曰く、
「案外大きなオス犬は面倒見が良かったりするんですよね」・・・。
そうなんだ・・。少し時間をおいてみても良かったのかなぁ。
テツもまんざらでもなさそうだったしなぁ。
様々な思いが去来し、あの日は実に長い1日になったのでありました。
夢でした
テッちゃんと3匹の猫、みんな仲良し6人家族。
昔、テツがくる前にウチで21年生きた猫がいて、その子も私が土手で拾った子だった。
犬がいる暮らしが気持ち的に豊かになることはテツが教えてくれたけれど、猫がいる暮らしの素晴らしさは、その時の捨てられ猫「ひだり」が教えてくれた。
猫がいたら、日常が、よりカラフルになっただろうな。テッちゃんには弟(妹)分ができるし、お留守番も一人じゃなくなる。
いや。そんなにうまくは行かないか。
案外、高齢のテツにとってはストレスになっていたかも。
若い犬に絡まれるのだって嫌なんだもの。
せめてテツを褒め称える。
「テッちゃん、お手柄だよ。キミが見つけたから救えたんだよ」
テツがおかしな行動を取らなければ、猫の存在に気付けずに立ち去っていたところだった。気づけなかったら、次にいつ人が通りかかって、気づいて拾ってもらえるかわからなかったね。
だってみんなトンネルの方に行っちゃって旧道には来ないもの。
寒暖差の大きなこの季節の山奥では、凍えて死んでいたかも。
飢えてしまうか、野生動物に連れて行かれるかしていたかもね。
たった1日の出会いだったけど、幸せにしているかな。
あの時は一生懸命だったので忘れたけど、写真の一枚もとっておけばよかった。何の証拠写真もないのが悔やまれる・・・(上の写真は別の保護猫のものです)
恐るべし、ねこねこネットワーク
塩原は少し山登りをするし、遠回りになるので、ついでの用では行かない場所なのに、なぜかあの日は塩原に足が向いた。
塩原に行ったとしてもいつもはトンネルを突き進むのに、あの時はたまたま旧道に入って、滝のあるポイントはいくつかあるのにあの日はたまたま連珠の滝に車を停めて。
たまたまテツと私がいて(どちらかだけでは助けられなかった)。
そうしたらテツが捨てられた赤ちゃん猫を見つけてきた。
まるで見えない何かに引き寄せられたかのように、時間と場所がピンポイントな出会いだった。
NNNってやっぱりあるのかな。
ちなみに、時々うちにご飯を食べにきていた黒猫は、昨年の秋を最後に見ていない。
とても痩せていて、オバマのために外にご飯を置いておくのだが、他の猫(多分近所の飼い猫さん)に割り込みされてしまうことが多かった。
できたら家の中にお招きしたかったが、大人の猫だとテツがものすごい興奮するし、オバマも警戒して近づかないのだった。
テツが見えないようにドアを閉めた玄関先で、やっと私に背中を撫でさせてくれるまでお近づきになれた子だった。背中をさすると、毛でできているのか?と思えるほど、体が痩せていた。もっとたくさんご飯を食べさせてやりたかった。
オバマには何もしてあげられなかった。
どこかで保護されて、飢えと寒さのない暮らしができているといいのだけれど・・・。
この季節に思い出す猫のお話でした。
そして今また、「捨て猫、ちっちゃいの、赤ちゃん6匹拾ったのよどうしよう」、という連絡を、犬友さんからいただいた。
(ちなみにこの方は、しょっちゅう捨て猫に遭遇する。NNNがロックオンしやすい人なのかも)
でも6匹も!?
で、まずは快く許可してくださったお店などに張り紙中。
それで今私も、もらってくれそうな人たちにお声がけし、保護団体さんにもファーストコンタクトしたところです。