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ワイン投資を始める前に押さえておきたいアセットアロケーションとは?

ワイン投資を行っていくにあたり、『アセットアロケーション』と『ポートフォリオ』の概念を理解し、自身で戦略を考えていくことが非常に重要です。この記事ではワイン投資を実践する前に押さえておいてほしい資産形成の基礎要素である『アセットアロケーション』と『ポートフォリオ』について解説していきます。


アセットアロケーションとは何か?

資産運用における重要な概念として、『アセットアロケーション』というものがあります。日本語訳すると『資産配分』と訳せるこの用語は、株式、債券、現金などの異なる資産クラスにどの程度の割合で投資を行うかを決定することを指します。

資産運用においてアセットアロケーションは超重要

資産運用においてアセットアロケーションの存在はとても重要な意味を持ちます。 なぜならば得られるリターンや負うリスクは、このアセットアロケーションによってほぼ決定付けられるためです。
アセットアロケーションの重要性は、様々な論文で同様の結果が示されています。この重要性を学術的に研究し、最初に発表した論文は、米国の1986年にブリンソン、フッド、ビーバウワーらが1986年に発表した「Determinants of Portfolio Performance」(ポートフォリオ・パフォーマンスの決定要因)でした。

米国の年金運用データを分析したこの論文では、下記のようなことが結論付けられています。

どのアセットクラスにいくら投資するかという投資政策によって、企業年金の運用成果の約93.6%が決まってしまう
投資のタイミング(アセットクラスの投資比率を市況により変動させる)により発生した成果が約1.7%
個別銘柄の選択により得られた成果は約4.2%

つまり、資産運用における全体のリターンを決定するもっとも大事な要素は、投資する株式や債券の銘柄ではなく、投資のタイミングでもなく、どの資産にどれだけの割合で投資するかというアセットアロケーションであると、結論付けています。

この論文の発表をきっかけに、アセットアロケーションの重要度に関する議論が専門家のあいだで巻き起こりました。
議論の中ではこの論文への反対意見なども発表されましたが、2003年には、インデックスファンドで知られるバンガードグループが「Sources of Portfolio Performance: The Enduring Importance of Asset Allocation(ポートフォリオ・パフォーマンスの源泉:揺るぎないアセットアロケーションの重要性)」という調査結果を発表し、『平均で月間リターンの変化量の76.6%がアセットアロケーションによるもの』と結論付けました。

現在では、ポートフォリオにおけるアセットアロケーションの重要性が8割なのか9割なのかという数字に多少の開きはありますが、いずれにせよアセットアロケーションの重要性が非常に高いことは専門家のあいだでも共通認識となり、アセットアロケーションの重要性が広く説かれるようになりました。

アセットアロケーションの考え方

アセットアロケーションの重要性についてはご理解いただけたかと思います。要するにアセットアロケーションを組む最も重要な目的は、リスクとリターンのバランスを適切に管理することにあります。

株式投資は高いリターンを目指せますが、同時に価格変動のリスクも高いです。分散投資を目的としたインデックスファンドなども、長期的な視点ではリスク分散が出来ますが、短期間で切り取れば、経済状況の変動などによって大きくパフォーマンスが左右されます。

一方で債券や不動産などアセットクラスは経済状況の変動は受けにくく、変動リスクを下げることも可能です。
したがって、目指すリターンと自分が許容するリスクを考えて、アセットアロケーションを適切に行うことで、これらのリスクとリターンのバランスを保つことができます。

ポートフォリオとは何か?

アセットアロケーションは、株式や債券など資産クラスごとの資産配分を指しますが、その具体的な中身を『ポートフォリオ』と言います。

例えば1億円の資産でアセットアロケーションを組んだ時に、仮に金融資産を45%に設定します。45%(つまり4500万円)分の配分を、自分が良いと思う銘柄で組んでいくわけです。

下記図で見ると、金融資産45%(4500万円)のポートフォリオは、

  • 40%(4000万円)分が『eMAXIS Slim 先進国株式インデックス』

  • 5%(500万円)分が『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』

という内容になります。

アセットアロケーションにおいて、ポートフォリオは投資家が目指すリターンと許容できるリスクのバランスを最適化するための重要なツールになります。

株式、債券、不動産、現金といった異なる資産クラスを適切に組み合わせることで、リスクを分散させながら目標とする投資リターンを狙うことができます。ポートフォリオの構成は投資家のリスク許容度や投資目的に応じて、構築内容が異なります。

個人投資家が資産運用を考える時には、まずアセットアロケーションを決めて外枠を固めて、その後具体的なポートフォリオを組んでいくステップになります。


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