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柔らかく、優しく、穏やか


「甘くて、甘くて、甘い」の続き

蕩ける様な甘い行為を一旦終え、昼食に移る。
焦らしていたのにすっかり食事モードの彼女。
先程の艶やか雰囲気はどこへやら、今は可愛らしい女性に戻ってる。
曰く、切り替えが得意らしい。
確かにその様だ。

一緒に選んだサラダ、4種のチーズが入ったくるみパン、クロワッサン、カレーパン、茹で卵を机の上に並べる。
彼女と一緒にサラダ、茹で卵の順で食べ進める。

「タンパク質を取ると肌の調子がいいの」

ホテルに行く前のお決まりの彼女のセリフ。
彼女の肌触りを思い浮かべ、そうなのかも知れない。
いつまでも触れていたい。
会う度にそう思う。

彼女がパンに手を伸ばす頃、追加で生ハムとクリームチーズを用意する。
クリームチーズは家で作ったレアチーズケーキのあまり。
レモンの効いた爽やかな甘さが生ハムの塩味(えんみ)と合う。

彼女とは食の好みがすごく似ているので持ってきてみた。

「生ハムメロンが好きな人なら食べれると思う」

そう話すと興味を持ってくれた彼女。
クリームチーズを包んだ生ハムを箸で彼女の口元に運ぶ。
少し大きめだったが口一杯に頬張る彼女。
小動物みたいで可愛い。
口には出さないが。

「おいしい」

気に入ってくれたみたいで一安心。
包んだものは秘密にしたけど、一発で当てたられた。
彼女味覚に感心する。

お互いゆっくり食べているせいか、パン1つでお腹がいっぱいに。
一息ついた彼女が身体をあずけてくる。
心地いい重み、柔らかさ、そして甘い香りが五感をくすぐる。

「ねえ、お昼食べないの?」

食べてる時に抱きしめると、笑いながらそう言ってた彼女。
食べ終わるとすぐに受け入れてくれる。
うん、やはり切り替えが早い。

軽く髪を撫で、額や頬に触れるだけのキスをする。
頭を撫でるのが好きだけど、彼女は得意じゃないので匙加減が難しい。
本当はもっと柔らかな彼女の髪に触れたいが、我慢する。

触れ合いながら、話を膨らませていく。
お互いドジな事、それに関するエピソード、個人的な話。
最近の話から昔話、今急に思いついた話。
話せば話すほど、よく似てると思う。
お互いに。

抱き合ってた状態から少し離れ、彼女の顔を見つめる。
すると彼女は恥ずかしそうに顔を僕の胸に寄せる。

「どうしたの?」

「好きな顔立ちだから緊張する...」

もう会うのは4回目なのに、会う時は緊張するらしい。
そんな大した男じゃないのに、彼女は嬉しいことにそんなふうに思ってくれている。

「  さんの顔、僕も好きだよ」

「お世辞言わなくてもいいのに。ありがと」

恥ずかしそうにそう言う彼女。
自己肯定感が低いらしく、たびたびこんなことを言う。
思ってることはしっかり伝わるまで言わないといけない。

「本当にそう思ってるんだよ、真面目に話してもいい?」

そう切り出して、次の言葉を紡ぐ。

「  さんの雰囲気が柔らかくて優しくてすごく好きだよ。一緒にいてすごく落ち着く」

「ありがと」

まだ恥ずかしいのか、完全に顔は合わせないが、照れた様に返す彼女。
やっぱりしっかり伝えてよかった。
そこからキスが続き、また昂る2人。

「続きしよっか」

まだ全然足りない。
彼女が欲しい。
そうベッドに誘う。
時刻は13時40分。
2人の1日はまだ終わらない。

To be continued 

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