「比内地鶏の純らーめん」を頂きました。
「比内地鶏の純らーめん」を頂きました。
この作品、麺、スープ共に極上の、まさに感動させる一杯でありましたね。
スープの素晴らしさはもちろんですが、今回は麺もスペシャルでありました。
今回新しい試みとなった自家製麺は、なるほど作り手の意識が行き届き、個性的かつ作家性に満ち満ちた内容に仕上がっていたのです。
ラーメンは間違いなく麺料理の一つでありますが、どうしても食べる側の関心がスープに寄ることも多く、その意味ではスープ料理という意味合いが勝る場合もあります。
しかし今回のような力強いメッセージを有した作品(麺)を頂くと、なるほどラーメンとは麺料理であるということが証明されるように思えます。
その珠玉の自家製麺は、切り歯24番の極細麺で、道内産の小麦と蕎麦粉を少しブレンドしたものとのことでした。
これまで淡麗スープに使用されてきた細麺は、角をしっかりと感じさせながら、舌触りから小麦の甘旨味が舌をコクリと打つものであり、正直なところ「これだけ美味しい細麺は他になし!リニューアル必要一切なし!」と感じてきたものでもあります。
―― しかし今回提供された自家製極細麺には、これを上回るインパクトが表現されていたんです!!!!
極細の形状を生かし、しなやかさ極めたストレート麺は、スープをその表面にゆるりと絡め、乳麺を思い出させるほどの艶めかしいつるっと感を覚えさせます。
自重軽やかに舌にふわりとその身を預けるこの麺は、舌触りから小麦の温かな甘旨味が感じられ、その味わいを舌の上で流れるように撫で上げていきます。
舌を力ませることなく、負荷をかけずにじわっと溶け込むようなその味わいは、これまでに感じたことのない…、それでいてどこか懐かしくも感じさせる程に肌馴染みの良い性格であり、なるほどこちらの淡麗スープに感じられる『気張らない複雑さによって、シンプルな美しさと彩りの深みを知的に溢れさすような世界観』にも馴染むように思えます。
後味には少し使用されたという蕎麦粉の個性が低域からすっと滲み、香味を残します。
名古屋の味噌煮込みうどんの超老舗山本屋総本家さんの麺にも蕎麦粉がほんのり使われていますが(打ち粉に使用?)、こちらでは蕎麦特有の清涼感が小麦に重なって感じられました。
しかし今回の卓朗商店さん自家製の極細麺では、蕎麦粉の苦味が小麦の甘旨味を支えるように、固く張りのある風味を下側から押し出し、舌の上から喉にかけてキリッとした野性味ある風味を立てるのです。
この蕎麦のアクセントはけして強いものではありません。
しかし蕎麦の風味の輪郭が凛と磨かれているために、極わずかでしかないその演出が食べる者の意識を惹きつけ、その魅力を煌めかすのです。
良質の蕎麦粉を使用しているのでしょうか?
量販店で市販されている蕎麦粉で蕎麦を打ったことがありますが、その程度の粉ですと曇った風合いが残ってしまうように思います。
石うすでゴリッと挽いた、逞しい蕎麦粉の個性に思えるのですが、いかがでしょうか?
それにしても素晴らしい麺です。
国産小麦ならではのもちっとふくよかな旨味が軸となりながらも、後味で感じられる蕎麦の個性によって、フィニッシュに一切のもたつき感を残さないのです。
そして極細麺という形状により、舌に触れる麺の表面積が非常に大きく、まるで舌を包み込むようにして、舌を穀物感で溢れさすのです。
そしてこれに共鳴するのは、今回の作品の主役でもある高級食材、比内地鶏!!!!
比内地鶏を使ったスープの上品さは、一般の鶏とは別格であり、透明感を感じさせるようなそのスープの表情は、まさにこの麺の性格にマリアージュするものでした。
―― 素晴らしい美味しさですね!!!!
欠点のない、完璧な一杯を楽しむことができました。
この作品にかかわった全ての料理人の皆様に感謝したいと思います。
さて、2014年がもうすぐ終わります。
残り5日間で、あと何杯のラーメンに出会えるでしょうか?
そしてその中に、特別と表現できるものが何杯現れるでしょうか?
今日あたり、大掃除ですっきりお疲れの方も多いことと思います。
こんな日は、皆さんも美味しいラーメンを夕食にしてみたらどうですか?(*´▽`*)